今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

J1ビザ取得への長い道のり~その1

2008-02-28 23:34:12 | 臨床留学

 たらいまわし 盥回し

~にする send a person from one (place) to another.
政権の~ rotation of political power.

                               (goo辞書より、今日の必須単語です)

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せっかくレジデンシーに入れても、J1ビザの取得が遅れて、研修に出遅れた人を複数知っています

万全を期して、事前に準備できるものはしておこうと早めに動き始めました


ところでClinical J1ビザの取得に必要な書類にMinistry of Health Letterがあります

この書類は政府証明書のことで、

「この医者は将来日本に帰国して医学の向上に寄与します」

という証明で、厚生労働省が書いてくれるそうです

早めに問い合わせて申請用紙を送ってもらおうと連絡をしたのはかれこれ3週間ほど前です

まず厚生労働省に連絡をしたところ

「あなたの身分は国立大学にあるから文科省が管轄です」

文科省に連絡したところ

「大学で申請用紙をとりよせる手続きをしてもらいなさい」

大学の担当部署からは

「あなたは客員研究員です。1年ごとの契約の身分なのでうちでは書類の手続きを引き受けられません。所属の教授に書いてもらいなさい。それでOKか文科省に聞いてください。」

いずれにせよ、文科省から申請用紙を取り寄せる手続きをやってもらえないようです。

手続きをどうしたらよいものか、文科省に再度連絡すると、前回とは違う担当者で

「文科省ではそのような手続きはしていません。いずれにせよ、うちにはそんな申請用紙はありませんので、米国の在日大使館に聞いてください。」

返事待ちによるタイムラグを含めて、ここまでたどりつくのに3週間

次はアメリカ大使館

サイトにアクセスして確認すると、一つの要件を問い合わせるのに18.35USドルかかるとのこと

仕方ないのでその2000円ちょっとを払って、オペレーターと話しました

長々と事情を説明しては人が交代し、また同じ話をすること3度

「調べて後日返事をします」

・・・

「事前に動き始めて良かったぁ~
 

と、でも思わないとやってられません

長い道のりになりそうです

頑張れ、自分! 

「めまい」は苦手ですか?

2008-02-26 23:09:49 | 医療ネタその他
今日のティーチングカンファレンスで取り上げた話題は

 初期研修医用のカンファレンスで「めまい」

 後期研修医で「高血圧の外来管理」


私は研修医の頃「めまいの高齢者」と聞くと、こちらがめまいを感じたものですが、今も何となく苦手です

おそらく「めまい」を何となく苦手にしている医師は多いと思います

何故なのでしょう?

「めまい」というと、漠然としていて、

長々と神経所見をとらなくてはいけないし、

見逃してはいけない重症な患者さんがまぎれており

そのくせ終わってみれば、結局軽症だった

そんな経験が、「めまいアレルギー」を作り出しているのではないでしょうか?


おそらく一番最初の「漠然としている」のが一番のネックなのでは?と考え

「めまい」をもっと明確にすることを今回のティーチングパールにしようと思いました

改めて、オンライン教科書や様々な書籍をあたってみましたが、日本の教科書で「めまい」を気持ちよく定義してくれている記載がなかなか見当たりません

大抵の記載は「めまい」の鑑別としてvertigoが末梢性か?中枢性か?に終始しています

唯一見つけたのはやっぱり

頭痛・めまい・しびれの臨床―病態生理学的アプローチ (単行本)
植村 研一 (著)

私もかれこれ10年前に購入しましたが、長年を経ても色あせておらず

秀逸な本だと再確認です

植村先生の本を軸に、英語のdizziness, vertigo, floating sensationなどの表現を照らし合わせて

自分でまとめ直してみると以下のようになりました

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
めまい(dizziness)

  1. 回転性めまい vertigo ~中枢性と末梢性
  2. ふらつき ~中枢性平衡障害(脳幹・小脳)
    • 一定の方向に倒れこむ disequilibrium
    • 動揺感、浮動感 floating sensation 
  3. たちくらみ ~脳幹網様体、ARAS
    • 眼前暗黒感 presyncope (lightheadedness)
    • 一過性意識消失 syncope
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カンファレンスでは、プロブレムリストから鑑別を挙げている途中で行き詰まったときに、この定義をおさらいしました

それによりfocusを当てた鑑別をあげることができるようになったと思います

研修プログラムを選ぶ基準

2008-02-23 14:53:31 | 臨床留学
プログラムの構成、家族のこと、住み易さ

正直どのプログラムも魅力的で、ハッピーになりそうな予感

逆に完璧な条件のところはありません

こんなときは、基本に立ち返るのが一番

可能な限り、立ち返ってみました

どんな研修をしたいのか?
    ↓
どんな医者になりたいのか?
    ↓
どんな人生を送りたいのか?

残りの「人生」について考えました

すると、自分がプログラムを選ぶ基準の優先順位が見えてきます

心が動いたプログラムと、
客観的に考えて自分が何を学べるかを満たすプログラム

直観を信じるか、条件を熟考するか

プログラムで学べるコース設定なのか、誰と一緒に働きたいかなのか

テクニカルなことよりも、心の平安をどう構築するかの方が重要な気はしています

2月27日がNRMP(National Resident Matching Program)へのRank order listの提出期限です

携帯小説「産科病棟24時」

2008-02-22 23:55:31 | 家庭医療

最近知った産婦人科の先生のサイト


Dr.半熟卵のつぶやき~女性医療の現場で働く産婦人科医の日記~


「貯徳問答」と「女性医療」が私との共通言語です


その先生がかかれた携帯小説「産科病棟24時」を読みました


どこまでがフィクションなのか分からないくらいリアルです


おそらく彼女の実体験や見聞きしたことがかなりベースになっているのではと思います


過酷な産婦人科医の生活と、産科領域が抱える社会問題


医師患者関係の変遷


共感せずにはいられませんでした


「それでもあなたは家庭医としてお産をしたいのですか?」


そう問いかけられている気がしてなりません


オーダーメイドの健診をデザインする

2008-02-19 13:48:43 | けんしん
以前も書きましたが、

健診で行われている24項目のうち医学的根拠があるのはわずか6項目です
(最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査研究班報告 2005)  

こんな発表が出ても、相変わらず健診、ドックは大盛況

多くの人々は今も有用であると信じています

国も「受けなさい」と法律であいかわらず規定していますが

大部分の項目は、メリットがデメリットを上回るという証拠はありません

多くの人々は、無駄な可能性が高いと分かっている検査を、きっと有用だと信じて受けているんでしょう

一方で、本当に必要ながん検診を、本当に必要な人たちが受けていない現実もあります

例えば「主婦」

大企業のサラリーマンは、会社が社員に健診を受けさせる義務がありますので、半ば強制的に検診を受けていますが

家族である「主婦層」はがん検診とは縁遠い環境です

結局「けんしん推進派、反対派?」と思われるかもしれませんが、

私はどちらでもありません

言いたいのは

「ほとんどが無駄に終わる、健診やドックのために毎年、数千億円を垂れ流すのではなく、もっと効率よくお金を使いましょう」

「個々の年齢、危険因子にあったオーダーメイドのがん検診や予防医療を受けましょう」

どうやってオーダメイドをしたら良いか?

医師向けに、根拠に基づく予防医療のワークショップをやったり

医師の意識調査の論文を書いたりしてきましたが、

実際にけんしんを受ける側への働きかけをできないものかいつも考えていました

大学からの友人で、より効果的な予防医療の推進を目指している市橋先生のサイト(しあわせで健康な人生)で面白い試みを始めました(私もお手伝いしました)

オーダーメード人間ドック作成フォーム

アルゴリズムにどの程度の数字を入れ込むか、どの程度厳密なエビデンスを要求するか

議論の余地がありますが

自分で自分の健康をデザインするお手伝い」をする

大変面白い試みです

もちろん無料

隠れたニーズは絶対にあると思うのですが、どうやってみなさんに作成フォームにたどりついてもらうか?

ここが課題です

試してみて面白ければ、是非知人にご紹介ください

リンク、トラックバックも大歓迎です

Personal Statement

2008-02-17 12:24:00 | 臨床留学
留学に必要な書類にPersonal Statement(PS)があります

日本人にはなじみが薄いですが、結構重要だそうです

特に臨床留学で、倍率が高くなっている昨今

ふるいわけを通り抜けて、インタビューに呼んでもらう為には、最高のPSを書く必要があります

PSは自分を表すEssayなのですが、

その目的を海外留学--Never be a Loserというサイトから引用しました

自分という人間を描いてみせる ことです・・・補足すると、Personal Statementとは「自分はこんな人間で、こんなことを目指している。こんな理由で自分は(その大学に入る、その仕事につく、などの)価値のある人間である」をいうことを全面的にアピールするためのものです~

家庭医のレジデントをしたい人は、

  • 何故家庭医なのか?(General Internal Medicineではなく)
  • 何故このプログラムなのか?
  • 何故あなたを採用する必要があるのか?

をポイントに書くと良いと思います

そして重要なのは、添削をしてもらうこと

Nativeの知り合いに添削をしてもらうのも良いのですが、一番のお勧めはプロに頼むことです

私は下記サイトで頼みました

EssayEdge.com

一つ添削してもらうのに125ドルほどかかりますが、得られるものを考えると、はっきりってお値打ちです

彼らは英語を母国語とするだけでなく、PSを書くこと自体に慣れていますので、内容まで添削してくれます

「ナンボのものか、後の話のネタに1回だけ頼んでみよう」

とお願いしてみたのですが

これがあの自分の文章?! とびっくりするほど芸術的な文章に仕上がりました

某プログラムのディレクターには、「あなたのPSには感動した」とわざわざインタビューのときに言われました

もしかしたら、インタビューに呼んでもらう決め手になっていたかもしれません

EssayEdge.com

お勧めです(宣伝っぽいですが、紹介しても私には一銭も入ってきません)

しないことリスト(プロフェッショナルだけど私生活はダメ人間)

2008-02-14 00:32:21 | 時事ネタ
梅田望夫さんのブログMy Life Between Silicon Valley and Japanの

「しないことリスト」で考えてほしいこと


という記事が興味深かったです

自分も「しないことリスト」を考えてみました
  1. 高齢で認知症の患者さんを「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばない(ちゃんと名前で呼ぶということ)
  2. 患者さんを患者様と呼ばない(医師患者関係は対等て充分です)
  3. 患者さんや同僚、後輩医師と接するときに感情的にならない(怒る、怒鳴る等)
  4. 空腹なのに無理して働くこと(緊急でもないのに、食事を後回しにすること)
  5. 診療中の知ったかぶり(相手の不安をあおらない態度は必要ですが)
  6. 診療中の「まあいいか」(なあなあにしないということ)
  7. 就寝2時間以内に食べること
何と、最後の項目以外は仕事関連

プロフェッショナル意識でのこだわりはたくさん思いつきます

逆に、私生活はほとんど浮かびません

6.は幼少時より経験的に学んだことで、どうやら胃食堂逆流(GERD)があるという自己診断です


逆に、「やめたいこと(やめられないこと)リスト」

  1. 家族に対して感情的に接すること(子供を叱るときにカッとしてしまうことなど)
  2. 間食
  3. 腹いっぱいまで食べること
  4. 炭水化物の取り過ぎ(ラーメンばかり食べ過ぎ)
  5. エレベーターの使用
  6. ネットサーフィン
  7. テレビ
  8. 無駄な夜更かし
  9. カルテの象形文字
こちらは逆に、最後を除いてほとんどプライベート

職場ではしっかりしている(自称)のに、私生活はダメ人間

診療中や、後輩を教えるときにできることを、なぜ私生活でできないのでしょう?

自覚するだけでもマシでしょうか

ちなみに、「しないことリスト」の特集がのっている日経ビジネス・アソシエ2月19日号はおもしろそうです

第3回若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナー その2

2008-02-12 01:50:14 | 家庭医療
第3回若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナーに参加しました

前回は自分たちが担当したセッションについて書きましたが

参加者としても以下の三つのセッションに参加しました

  • 「家族志向のケア」
  • 「生物心理社会モデル 家庭医療における診療教育モデルを学ぶ」
  • 「これで安心!親と子のケア」

3つとも参加した甲斐のある、学びの多いセッションでした

全部コメントすると長くなるので、一つだけ

生物心理社会モデル」は藤沼康樹先生が指導医のセッションでした

「藤沼先生のセッションはいつも勉強になるな~」と漠然と思っていたのですが、これを書いていて、すごいことに気づきました

過去に2回、藤沼先生のワークショップに出ています

一つは
2005 WONCA Asia Pacific Regional ConferenceでのSignificant Event Analysis

もう一つは
2007 第22回日本家庭医療学会 学術集会・総会での家庭医療における高齢者外来診療の理論と方法

実は両方とも参加した後、ティーチングでその内容をレジデント達に教えました(実際に自分もやってみたのです)

そして何と今回も「これやってみよう」と自分の中で決めています

たまたまです

ワークショップに出て、「おもしろいなあ~」と思うことは多くても

「それを実際に持ち帰って、実践する」経験がどれだけあるでしょう?

しかも正確には「診療で実践」ではなく「教育で同じことを実践」です

ワークショップで「教えてもらった内容を、現場で実践できる」割合は、その後のサポートが無いとかなり低いことが分かっています

ちょっと文脈が違いますが、「教えてもらったセッションの再現を実践」できる割合もそんなに高くないはず

藤沼先生と波長が合うのか(同じようなニーズを持っているのか)

藤沼先生が「参加者が実践することを意識して、ワークショップを担当している」のか

今回学んだことを自分がティーチングで本当に使うことになったら

「ワークショップに3回参加して、3回とも取り入れるってすごい確率です!」

田坂佳千先生

2008-02-11 00:17:13 | 家庭医療

あれから、もう一年・・・


日本中の多くの医師がその悲報に驚き、悲しみに暮れたあの日から・・・

 



ちょうど1年前の2月11日、田坂佳千先生が亡くなられました

49歳でした

田坂先生といえば、TFC

全国2500人以上の医師が参加する、メーリングリストです

田坂先生は一人で全てのメールに目を通され、全てに暖かいコメントをつけて配信していました

メールが一日平均10から20通は来ていたでしょうか?

何ともいえぬ暖かいコメントと、細心の注意を払った気遣いで、TFCはすばらしい学びの場でした

私も全国の皆さんからのコメントよりも、田坂先生からどんなコメントをもらえるかにドキドキしながら投稿していました

せっかく田坂先生が身を削って作り上げた学びの場を、消してはいけないと、TFCは共同運営になりました

もう田坂先生のコメントはありませんが、なんとか学び合いの精神は保たれています

私はといえば、TFCのメールは読んでいますが、めっきり投稿が減ってしまいました

今日という日を機に、もっと積極的に発言をしようと思っています


そして、田坂先生が残されたのはTFCという場だけではありません

一言でいえば「ロールモデル」

田坂先生の学びあいの姿勢、それこそが私を含めた多くの医師の心に残っています


ちなみに今日は、私の高校の同級生でもある家庭医の守屋君と会います

彼もTFCの常連さん

田坂先生の話もたくさんしようと思っています

田坂先生との出会いに、あらためてありがとうございました


第3回若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナー その1

2008-02-10 22:39:45 | 家庭医療
第3回若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナーに参加してきました

来年から家庭医のレジデントをやるとはいえ、いち参加者として参加するほどの「若手」というより

ちょっと「中堅」になりつつあるので、

「できれば講師で参加して、空いた時間に他のセッションも覗きたいな~」

などと思っていたら、お邪魔している三ッ葉在宅クリニックが「在宅での終末期ケア」というセッションを担当することになりました

「まぜてよ」とお願いしたところ、医師経験年数を考慮してか「指導医」にしていただきました 

それならば、指導医らしいことをせねばということで

全体の進行の打ち合わせに携わりました(偉そうに、注文ばかりつけて私自身はほとんど実働しませんでしたが)

ここ数年で今回のワークショップと「ロールプレイ→ディスカッション→理論のレクチャー」という基本骨格がほとんど一緒のワークショップを何度か担当していますし

またHANDS-FDFでプレゼンテーションのセッションなどを学んだこともかなり活きて

一応もっともらしい仕上がりになりました

そして何といっても、素材が良かったです

最近立て続けに、3つほど三ッ葉在宅クリニックを取材したテレビ番組があり、それらの映像を交えながら

締めのレクチャーは舩木先生のポイントを絞った秀逸なものでした

仕上がりの段階でかなり「いける」と思っていましたが、

終わった直後の参加者の反応からも、かなり良いセッションであったと思います

時間がなく反省会がまだなので、皆さんからのフィードバックにまだ目を通せていませんが

パッケージ化して他の場でこれからも使えるセッションになりそうな予感です

早速、今月24日に三重で開催する、第6回東海家庭医療ネットワークでこのセッションをやらないかという打診を頂きました

まだ打診ですけど、ちょっとその気になっています

また先日のカナダ-名古屋-長崎 国際医学教育ワークショップで多職種間教育Interprofessional Education(IPE)について学びましたが、

今後の展開としては、このネタをIPEに活かせないかと考えています

後は、
どの程度の頻度でケアカンファレンスをやっているのか?
ケアカンファレンスとこのセッションによる教育それぞれが 
 ケアや診療の質の向上にどの程度役立っているのか?
 患者満足度にどの程度寄与しているのか?

データを出していくこともセットで考えてみたいです


ちなみに今回のワークショップに参加者としても三つのセッションに参加しました

これらについては次のエントリーにアップしたいと思っています

Last lecture by Randy Pausch

2008-02-08 00:10:04 | 教育
Carnegie Mellon大学のRandy Pausch教授によるLast Lecture

これまたいつも読ませていただいているブログFamily Physician の独り言
紹介されていました

1時間15分と長編です

普通の講義を1時間15分は本来、結構つらいです

パソコンのYoutubeでみるのは、さらにつらいかと思っていましたが、苦もなく最後までみることができました

このLast Lectureは、若くして膵癌に蝕まれたPausch教授にとっては文字通り人生で最後のLecture

最後のメッセージとして、自分のすべてを注いで、ユーモアたっぷりの1時間ちょっとでした

話は3部構成で
  1. 自分が幼き日に見た夢を如何に実現したか、
  2. 後進の夢を如何に実現させるか、
  3. その他の伝えたいこと

結局、夢を実現させる(教育)という背景には、

「人生でどうやって幸せになるか」ということがテーマなのですが

逆に言えば、「若くして死ぬが、自分はこんなに幸せだ」というメッセージにも感じました

後進の教育を「educate」ではなく、「help them realize their dream」という言葉であらわしているのがとても良かったです


そして、head fakeという言葉がよく出ていました

googleで調べてもはっきりとは分からなかったのですが、文脈等から察するに、hidden curriculumと同じような意味で使われているようです

何かを学習するとき、習い事そのもだけでなく、それを習うプロセスの中で学べる他の多くのことをあらわします

例えば野球部のクラブ活動を通して、野球を上達するだけでなく、チームプレイ、上下関係、忍耐力、挨拶等の礼儀などを教えることです

スピーチの締めくくりとして「今日のスピーチの2番目のhead fakeは?」

という問いかけがあったのですが、その答えとして

「このスピーチは実は、目の前にいるあなた達聴衆に向けたもの(だけ)ではなく、自分の子供に向けたものなのです」

という締め(半分冗談)をしていたのですが、思わず涙が出てしまいました。

考えてみれば、子供に対するこれ以上の遺言は無いです

いや~インターネットって、すごいですね

自宅でこんなすばらしい講義に出席できるんですから

惜しむらくはこれが英語だと言うこと

微妙なジョークは、言葉の機微が分からないものがいくつかありました

日本のもっと多くの人に見てほしいですが、誰か字幕ボランティアいないですかね~?

戸田奈津子さんとか?


Baumol's disease

2008-02-06 16:55:21 | Faculty Development
いつもお邪魔している、岡田先生のブログ

毎日精いっぱい生きる事が一番の修行なのです


自分の中でとても「へえ~」なエントリーでしたので紹介です

Baumol's diseaseについての考察なのですが、詳しくは岡田先生のブログを直接見てください

またAAFPのサイトの元論文はこちら

Baumol's disease -- Health care in general may suffer from an incurable disease. (Are you surprised?)


この考えは何となく感じていました

Web2.0の世界、テクノロジーのすすんだ世界でどのように医師として生きていくか考えたときに

自分が行う医療は結局、人対人が基本だな~

アナログな世界は無くならず、医者として、家庭医として、指導医としての自分を磨いていけば、それが自分の商品価値になるという妙な安心感、でも何か違うかもしれないという不安感

医学はサイエンスかもしれませんが、医療はアートと表現されるように、効率や生産性を超えた商品価値が有るのは確かなのですが、それはあくまで相対的なものであり

国が基本価格をつくりあげて保証しているからこその、守られた商品価値であり

真に市場原理に任せてしまえば、価値の暴落もあるわけです

医師の専門分野ごとの価格でいえば、市場原理に近いアメリカでは専門医の価格が高く、ジェネラリストは安いです

相対的に、日本におけるプライマリケア分野は守られてきました

これからは削られていくでしょう

現に削られ始めていますし、ターゲットにされています

日本のプライマリケアは、余裕のあるときに質を追求することを怠ってきたように思います

基本価格を下げられていくこれからの中で、どうやってPayしにくい「質の向上」を意識し続けられるのか?

岡田先生は下記のように書かれています

以下引用~
「黙っていてはテクノロジーの恩恵を受けられる領域ではないからこそ、今までのやり方とは全くちがう医療提供の枠組みによって、innovationを起こ すことが必要なのではないか。キーワードとしてはChronic Care Model, group visit, virtual visitというあたりだろうか」

なるほど

Rochester大学の、Idealized Medical & Micro-team Practice
などはまさにその流れに対する、アメリカでの答えの一つなんでしょうね

基本診療価格が安すぎる日本には、なじまないものだと思いましたが

これから、ずっと意識しなければいけないテーマですね

カナダ-名古屋-長崎 国際医学教育ワークショップ

2008-02-04 10:09:49 | Faculty Development
カナダ-名古屋-長崎 国際医学教育ワークショップに参加しました

Prof. Helen P. Batty(Toronto大学医学部地域家庭医学)を特別ゲストとして、名古屋大学医学部附属病院総合診療部と長崎大学医学部 へき地病院再生支援・教育機構の主催でした

地域医療の取り組みが根幹ですが、「多職種間教育Interprofessional Education(IPE)」というのが、今回のキーワードでした

Batty先生は、家庭医の世界だけでなく、カナダの医学教育の大御所の女性です

私も昨年参加したHANDSは、岡田先生が北米で行われている、Home and Away 方式のFD Felloshipを参考に日本でも企画されたものですが

Batty先生は、その元企画の一つであるカナダの5 Weekend National Family Medicine Fellowship ProgramのCo-Directorもされています

トロント大学ではInterprofessional Education(IPE)が大学をあげての最も重要なキーワードであるとのことでした

医学教育というと、「指導医」による「研修医」教育を強くイメージしていましたが

家庭医の指導医だけでなく、医師の指導医自体が不足している現状を考えると

IPEというのは、家庭医の教育の大変大きなテーマであるということに、気づかされました

つまり、医師以外の職種の人々みんな、地域全体で研修医を育てていくという考え

地域の診療所にどっぷり浸かっている人に取っては、当たり前のことかもしれませんが、この辺りが地域での経験が不十分な私にとっては、眼から鱗でした

忙しくはないが、いつもとは違う一日

2008-02-03 01:27:00 | Weblog
金曜日は午前中が外来です

子供が熱を出したので、保育園ではみてもらえず、病院の託児所にお願いしました

大抵の風邪でもみてもらえるので、ものすごくありがたいです

ただ、昼食が出ませんので急遽昼食を準備して、保育園へ送り届けます

 外来の合間に自分も健診を受けました

さんざん現行の健診のエビデンス欠如を唱えていますが、今回は

  1. あるグラント申請に必要だということ
  2. 自分の健康で気になっている項目だけチェックしたいということ
  3. 渡米すると自由に(安く)検査もできないので、日本にいるうちにやっておこうということ
  4. 自分が入っている医療保険では50000円分までタダだということ(これは理由になりませんね)

と理由を並べ立て、

「自分のは無症候者へのマススクリーニングの一貫ではない」

自らに無理矢理言い聞かせ、自己正当化です

2は案の定でした

試験勉強中のお菓子と、繰り返す渡米の影響で総コレステロールが基準値超え

失意のうちに外来を終え

ロチェスターでもらった「Motivate Healthy Habits(Dr. Rick Botelho著)」を読みながら、ヘビーな昼食を食べ

「本格的に有酸素運動を週3以上でしなければ」と決意しながらも、

「って、何でこんなに食っているんだよ」と一人でのり突っ込み

いったん子供を迎えにいってから帰宅

早めの夕食をとらせて(当然一緒に自分も食べます)

再度託児所へ送り届け(迎えは妻におまかせ)

名古屋市公会堂で、本田健さんの講演の最初だけ参加

ちょっと聞いたところで、残念ながら退出して道路の向かい側にある名大病院のキャンパスへ移動

来週末、「若手家庭医のための家庭医療学冬期セミナー」で在宅での終末期医療のワークショップを担当するため、19時から打ち合わせ

まだまだ完成度が低い状態ですが、ネタの内容やワークショップの構成は結構おもしろいと思います

21時半に打ち合わせが終わり、本田健さんの講演会のアフター会に合流

今回の講演会のチケットは、本田健さんから貯徳問答講竹田和平さんや大浦浩さん(大学の先輩)へ進呈されたチケットを、友人の市橋君経由で希望者に配ったものです

そのチケットを頂いた人たち(主に貯徳問答の参加者)でアフター会ということで飲み会がありました

悲しいかな、2度目の夕食(夜食か?)

目の前に出たものは、条件反射的に食べてしまいます

たまたま同席したのは、私が行きつけのラーメン屋の店主さんや某外食チェーンを経営されていた若手実業家の方等

竹田和平さんも途中から参加されました

「貯徳旦那」の幸せオーラをたくさん浴びてきました

大浦さんにも会えるという噂がありましたが、来名されておらずあえずじまい、残念

本田健さんの講演をほとんど聴けなかったのも残念でしたが、多くの出会いがありました

子供の発熱でも出掛けている自分に少し罪悪感を感じつつ
行動変容の難しさを体感しつつ
新しい出会いに感謝、感謝の一日でした

今日も一日、ありがとうございました