先日、日仏会館で、
渡邊守章先生と浅田彰氏のトークと、
お二人が企画、出演された
「マラルメ・プロジェクトⅢ」のビデオ上映がありました。
マラルメの詩を、日本語とフランス語で、
渡邊守章氏が朗読する。
そこに、坂本龍一氏の即興演奏と、
高谷史郎氏、白井剛氏、寺田みさこ女史のパフォーマンスが重ね合わされる劇。
「難解をもって知られる十九世紀フランス詩人マラルメの作品を題材に、フランス語と日本語とを往還しながら、プレオリジナルを含む異同テクストを、綿密な生成論的研究を踏まえたうえで、考え抜かれた演出と、即興を含む声と身体のパフォーマンスを通して「舞台」にかけようというのだから、一見無謀ともいえる企てであることはまちがいない。浅田彰、坂本龍一、高谷史郎、白井剛、寺田みさこ、そして渡邊守章という当代の名だたるパフォーマーたちの参加をえて、初めて可能になった、思考とコトバを巡る、音響とイメージ、声と身体で書く演劇的エクリチュールの実験なのである。」
舞台芸術17伝統×現代ーアーティストの「思考」から。石田英敬氏「マラルメ・プロジェクト」讃 より抜粋。
渡邊守章氏の朗読が素晴らしい。
なぜ、こんなに素晴らしいのか?
「ぼくは、若いころ東京でフランス文学者の渡辺一夫さんの家に下宿していたので、直接に聞いたんですが、渡辺一夫さんも、せっかくフランスに留学するならコメディ=フランセーズかどこかでフランス語の本格的な朗読法を修得しておくべきだ、と言っておられた。結局それができたのは渡邊守章さんだけだった、と」
舞台芸術17伝統×現代ーアーティストの「思考」から。磯崎新氏『マラルメ・プロジェクトⅢ』を観て より抜粋
なるほど。。。
渡辺一夫大先生。
フランス文学の、
一片でもかじった者には、
神みたいな方。
その神が学ばれたかったスキル。
なんにでも、
本流というものがあるんだなー、
と改めて認識させられつつ、
誰も行わなかった朗読法の習得を
若き日の渡邊守章氏が、
限られた時間を費やして学ばれ、
そして体得されたスキル。
先見からだったのか必然からだったのか。
なにしろ、
そのスキルが時を経て、
守章氏のご実績とお人柄と重なって、
絶対的な、無二の功績として刻まれた、
このプロジェクト。
ビデオではありましたが、
ご本人もいらっしゃる会場で、
拝見することができて、
本当に良かったです。
実際、鳥肌が立ちました。。。
冒頭の写真は、
今回の内容とはまったく関係なく、
先日、藤沢で見つけた喫茶店。
名前の由来は存じ上げませんが、
弊社「ファブリス」と同じではないかと。
なんとなく、そんな気がします。。。