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◇企業システム◇米サンがOSSの「OpenSolaris」をコミュニティと共同で出荷

2008-05-12 11:27:27 | システム開発
 サン・マイクロシステムズは、米サン・マイクロシステムズがOpenSolarisコミュニティと共同で、OpenSolaris Operaiting System(OpenSoralis OS)の出荷を開始したと発表した。同OSは新しいデスクトップ機能や各種オープンソース・コミュニティ(GNOME、Mozilla、Free Software Foundation)が開発したアプリケーションなどのツールを組み合わせている。また、アマゾンとOpenSolarisコミュニティは、アマゾンのクラウド・コンピューティング・サービス「Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)上でOpen Solaris OSの提供を開始すると発表した。これによりAmazon EC2サービス・プラットフォームからMySQLのプレミアム・テクニカル・サポート、OpenSplaris OSの主要機能(ZFS、DTraceなど)が利用可能となる。(08年5月9日発表)

 【コメント】サンのSolarisがオープン・ソース・ソフトウエア(OSS)化を宣言して以来、初めて具体的な動きを開始した。もともとSolarisは数奇な運命を背負ったUNIX OSである。UNIXはバージョン7からカルフォルニア大学バークレー校のBSDとAT&TのシステムVに枝分かれしてしまった。これを統一しようとX/Openが結成されたが、サンは独自にSystemⅤリリース4(SVR4)リリースし、これに反発したベンダー達はOSF(Open Software Foundation)を結成し、新たなUNIX OS「OSF1」をリリースした。一方AT&TはUNIXインターナショナル(UI)を結成し、UNIXはUIとOSFのニ大陣営に別れ、世に言う“UNIX戦争”が繰り広げられることになる。しかし、この戦争は互いに消耗し合うだけの無意味な戦争として、後世に伝えられることになる。戦争中は相手陣営を打ち負かして、UNIXの世界統一を両陣営とも夢見ていたわけであるが、結果は統一はならず、現在はThe Open Gropによって世界標準のUNIXが存在するが、実効性はない。

 サンのSolarisは、このUNIX戦争下に生き残ったUNIX OSの1つであるが、OSSのLinux(UNIXをベースとしたOS)の出現の前には無力同然だった。そこでサンはSolarisをOSS化することにより、さらにUNIXの生き残りを図ったわけである。05年にOpenSolarisコミュニティが結成され、UNIXのOSSバージョン「Open Solaris」がリリースされた。OpenSolaris.orgの登録メンバー数は現在10万を超えている。今UNIXユーザーがLinuxへと流れ出しているが、この流れを果たして、SolarisがOSS化したことによって食い止めることができるのか、世界が注目している。

 今回の発表の注目点のもう1つは、アマゾンが提供している仮想サーバー・ホスティング・サービス「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」に、今回発表されたOpenSolarisがRed HatおよびWindowsに続き対応したことだ。「Amazon EC2」はアマゾンが自社のプラットフォームを一般に開放したもので、今後普及するかどうかも注目されているサービス。今後、サンはOpenSolarisをあらゆる市場に向け普及を図ることになる。(ESN)