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◇企業システム◇福岡銀行が日本ユニシス構築のWindows採用の勘定系システムを稼働

2008-05-09 09:19:32 | ユーザー
 日本ユニシスは、福岡銀行と広島銀行が共同利用する次期国際勘定系システム「Open’ARK(オープンアーク)」を開発し、08年5月7日から福岡銀行で業務を開始したと発表した。この「オープンアーク」は、Windows ServerおよびSQL Serverを基盤に開発した「次世代オープン国際勘定系システム」で、これまで各金融機関への導入およびサポートした実績による業務ノウハウおよび次世代オープン勘定系システム「BankVision」で培ったオープン基盤のノウハウを生かし、構築したもの。また、汎用機用オンライン・ミドルウエア「XIS」をオープンシステム環境に搭載した「MIDMOST」の採用によって、汎用機並みの機能をオープン機で実現させている。(08年5月8日発表)

 【コメント】これまで、金融機関の勘定系システムはメインフレームの牙城であった。これは集中処理による一元管理、高機能な処理能力によるリアルタイム処理など、メインフレームならではの機能を発揮できる市場であったからである。オープン化が主流になった現在でも、金融市場ではメインフレームは重要な役割を占めている。しかし、時代の流れは金融市場にも押し寄せ、金融機関でも勘定系にオープンシステムを採用する動きが出始めてきた。最近の事例では東京証券取引所が、Linuxサーバーによる勘定系システムを富士通がSIとなり導入している。この場合、メインフレームによる金融システム構築実績を、オープンシステムへいかに移植するという点が焦点になってくる。このため、いくらオープンシステムだからといっても、金融市場に限っていえば、メインフレームメーカーでなければ難しいのが実情である。

 ユニシスはメインフレームについてはIBMより長い実績を持つ、メインフレームの本家みたいなベンダーである。このことが逆にオープン化時代に足枷となり、米ユニシスの業績を悪化させた。日本ユニシスは、日本の大手ユーザーがメインフレームを長く使い続けた結果、オープン化の直撃は受けずに済んだ。この間日本ユニシスはオープン化の実力を地道に付け、現在ではオープン化に対応した大手IT企業の1社として存在感を高めている。今回の福岡銀行での勘定系オープンシステムの稼働開始は、こういった時代の背景を抜きに考えられない動きだ。

 問題は金融市場の勘定系システムのオープン化はLinuxを中心で進むのか、Windowsを中心に進むのかということだ。日本ユニシスはこれまで米ユニシスと米マイクロソフトの提携が背景にあることからすると、Windows中心に展開することが予想されるが、一般の企業システム市場全般はというとまだはっきりしないのが実情だ。これはWindowsの機能が上か、Linuxの機能が上かでなく、それぞれのノウハウを持った技術者がどのくらいいるかどうかにかかっている。金融機関のシステム部門にLinuxのノウハウを持った技術者が少ない場合には、Windowsシステムの導入へ傾くことが考えられる。こうなると製造業はUNIX技術者が豊富であるからLinuxか、金融市場はそうでないからWindowsかな、と考えられなくもない。(ESN)