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◇企業システム◇電子自治体共通基盤「OSACフレームワーク」が「地域情報プラットフォーム」に準拠登録

2009-01-19 16:04:16 | システム開発

 【システム開発】三井物産戦略研究所(東京都千代田区、社長:寺島實郎)、野村総合研究所(NRI、東京都千代田区、会長兼社長:藤沼彰久)、電通国際情報サービス(ISID,東京都港区、社長:水野紘一)、フライトシステムコンサルティング(東京都渋谷区、社長:片山圭一朗)の4社が共同提供する、オープンソースを活用した電子自治体共通基盤システム「OSACフレームワークVersion1.0」が、このたび総務省が推進する「地域情報プラットフォーム」に準拠登録された(地域情報プラットフォーム準拠登録番号:K000349-0001) 。今後4社は、地方自治体など公共セクター向けにサービスを提供しているシステムインテグレーターやパッケージベンダーに対して、OSACフレームワークの導入支援を共同で推進する。 (09年1月14日発表)

 【コメント】現在、全国の地方自治体の電子自治体共通基盤プラットフォームについては①電子自治体アプリケーション・シェア推進協議会(アプリシェア協議会)②オープンスタンダード化支援コンソーシアム(OSAC)-の2つの全国組織がある。アプリシェア協議会は、SOAやXMLなどオープンスタンダードに基づく技術により、地方自治体のシステムを連携させるシステム「地域情報プラットフォーム」に基づいた組織で、総務省管轄の全国地域情報化推進協議会(APPLIC)が推進している。一方、OSACは三井物産戦略研究所、野村総合研究所、電通国際情報サービス、フライトシステムコンサルティングの4社が共同提案するオープンソースソフトウエア(OSS)に基づいた電子自治体共通基盤システム「OSACフレームワーク」を基に組織化されたもので、自治体をはじめとする公共分野におけるアプリケーションの共同利用をサポートし、システム開発におけるオープンスタンダード化の普及・促進を図ることを目的としている。

 「地域情報プラットフォーム」は、北九州市と北海道の西いぶり広域連合などが採用したのを基に、現在全国自治体への拡大を図っている。一方、「OSACプラットフォーム」は、埼玉県の「鳩ヶ谷共通基盤」と福岡県の「電子自治体共通化技術標準」の2つを基に、野村総合研究所のOSSプラットフォー「OpenStandia」をベースとしたもので、埼玉県上越市などが採用している。アプリシェア協議会とOSACは、08年2月に合同研究会を開催し、相互に協力し合うことで合意に至った。今回の「OSACプラットフォーム」の「地域情報プラットフォーム」に準拠登録は、わが国の電子自治体システムの推進の意味から大きな収穫だといえよう。特に「OSACプラットフォーム」が普及することは、全国の自治体にOSSが普及することを意味し、わが国全体のシステム化のあり方が、メインフレーム中心からOSSへと大きく方向転換する契機になる可能性を秘めたものであることが大きい。

 地方自治体のシステムは、これまでメインフレームを中心に推進されてきた。メインフレームはシステムの安定性は確保できるものの、柔軟性やコストが高くつくなど、問題を抱えてきている。これらメインフレームは数社の大手ITベンダーが元受となり、各自治体から一括請負契約でこれまでシステム構築が行われてきた。この結果、大手ITベンダーの子会社のSI企業に開発作業が移行され、さらにこれらの系列SI企業が独立系の中小ソフト会社に仕事を出すといった、いわゆる下請け、孫請け体制が長年にわたり行われてきている。この結果、システム構築に多大な経費がかかる上、現在のWebシステムに十分対応しきれないシステムが構築されてしまった。これに対しOSSを軸にシステムを構築すれば、コスト削減が実現し、Webシステムにも十分に対応できる。さらに大きいのは地方の独立系ソフト会社が長年にわたる下請け、孫請けに体制から脱却でき、独立したソフト会社としての基盤を築く可能性が出てくることである。全国の知事の皆さんには、地場のソフト会社の育成という自治体本来の使命達成のためにも、積極的にOSSシステムの採用をお願いしたいものだ。(ESN)