【システム開発】KDDIとマイクロソフトが協力して提供中のパートナー支援プログラム「Business Port Support Program」を活用し、GCT研究所がSaaS型アプリケーションサービスの提供を開始した。KDDIとマイクロソフトは、マッシュアップと呼ばれるアプリケーション同士の連携や「KDDI Business Outlook」との連携など、これまでにない新しいサービスを市場に提案していくことにしている。 (08年12月11日発表)
【コメント】これまでもSaaSについては書いてきたが、要はユーザー側の使い方がポイントであり、SaaS自体は今後進展を見せることは間違いない。ITには昔から“アルファベットの3文字用語にご用心”という“格言”が存在するように、どうもわけの分からない用語が氾濫しがちである。SaaSやクラウドコンピューティングもこれらの一種と見られがちだが、問題はユーザー側の期待感が勝手に膨らみ、実態以上にその能力を評価するところにある。セキュリティについても、例えば口座を一つにするのではなく、10の口座を開設すれば、例え、被害にあっても10分の1に食い止めることができる。これを何が何でも1口座にして、完璧なセキュリティを構築して守ろうとすると、高額な資金とわけの分からないテクノロジーに翻弄されることになる。
今回、KDDIとマイクロソフトがSaaSのインフラを提供し、その上でソフト企業がアプリケーションを提供するというスタイルは大変いい。大手企業は細かなアプリケーションまで包括するのは所詮無理だ。今回米国の大手自動車メーカーが苦境になったのは、大手メーカーの論理をユーザーに押し付けたところにある。大手企業は大きな金額を追うあまり、ユーザーの小さなニーズに無神経になりがちだ。ある日本の大手IT企業では、課長の仕事は何千万円以上、部長の仕事は何億円以上とノルマ果たしているが、これではユーザーの細かな要求に応えられるはずがない。
ユーザー側にも問題がある。なにやら分けの分からない用語にユーザーはからきし弱い。SaaSとかクラウドと言われると、たちどころに冷静さを失う。SaaSにしても、ベンダー側が何を言っているのかを冷静に判断すればいい。SaaSはセキュリティとか価格についてだけ考えると、とてもすぐ飛びつくものでないことは自明のことだ。ただ、特定のアプリケーションに特化させればSaaSは威力を発揮できよう。昔から“バカとはさみは使いよう”という言葉があるが、“ITとはさみは使いよう”と考えればほとんどのITの問題は解決することができる。