おまけの時間

仕事に追われて過ぎゆく日々の“しおり”として。

やられた!『サクリファイス』

2007年09月23日 15時40分19秒 | 本の紹介
『サクリファイス』(新潮社)
著・近藤史恵

この本にはしてやられました。


主人公はロードレースでチームのエースを勝たせるための“アシスト”
彼は、自分がゴールに飛び込むこと以上の喜びや意味があることを見つけていきます。

それだけ聞くと爽やかな小説なんですが、
読み終わった時、2つの意味で「やられた!」と思うのです。

ひとつは、作者の仕掛けたミステリーに完全にはめられたこと。
帯にあるように、この本はミステリー小説。
いきなり冒頭から読み手はある疑念を抱きながら読み進めることになります。
そして、主人公に思い入れを強めれば強めるほど、
“嫌な感覚・不安感”に縛られたまま一気に読まされてしまうのです。
僕は思い通りにやられてしまいました。

そして、何より大きいもうひとつの「やられた!」は
ロードレースの面白さに気づかされてしまうことです。
この本を読むまで、ロードレースの仕組みやルールを良く知りませんでした。
「ツール・ド・フランス」が有名だというくらいは知っていても、名前だけ。

しかし、この本を読んだ直後、どうしても実際のロードレースがどんなものか見てみたくなり、
「ツール・ド・フランス2007総集編」を借りて観はじめてしまいました。

個人の闘いでもあり、チームの戦いでもあるロードレースって…面白い!!



この本、読後感は決して悪いものではないのですが、
登場人物の行動を良しとするか、納得するかは人によってわかれるところだと思います。
しかし、久しぶりに面白い本に出会いました。




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