おまけの時間

仕事に追われて過ぎゆく日々の“しおり”として。

バッテリー

2004年09月21日 01時19分42秒 | 本の紹介
日曜日は午前中からテニスをしたり、街を散策したり。
ブログの題材は多々あったような気もするけれど、書けませんでした。
理由はこの本です。

「バッテリー」 あさのあつこ・著 

街を散策中、「この良き日を読書で過ごすのもいいか…」と思って本屋へ。
最近流行のPOPには影響されずに本を選ぶという決心も束の間、

「こんな傑作を読んでこなかったのかと 猛烈に反省」 北上次郎
「これは本当に児童書なのか!?」

というちょっと大袈裟な帯が目に入ってめくってみました。
買うつもりはなかったので、適当なところを2、3ページ読んでたら

>「おばさん、野球ってさせてもらうもんじゃなくて、するもんですよ」

という主人公(?)巧の言葉が目に入りました。
当然、途中から読んだから細かい流れとかはわからないけど、このストレートな言いように惹かれたのかな。
何か入り込んでくる感じがしたので、「バッテリー」「バッテリーⅡ」とまとめて買ってしまいました。


たまに入り込んでくる本ってあるものです。

原田巧は類稀な才能をもつ中学1年生のピッチャー。
彼は野球において本当に純粋で、ひたむきで、そして自信家です。
物語は、彼の一家が岡山県の新田に引越し、彼の球を受けることを熱望していた同級生・永倉豪に出会うことで進んでいきます。

これだけでは、単なる野球を通した少年の成長物語のようです。
でも、そう思うと裏切られます。
確かに1巻目の読みやすさは“児童書”のようでした。
しかし、巧の家族や永倉豪の『個』としての魅力が丁寧に描かれていきます。
読むと誰に対しても感情が入ります。
誰の心の内にも抵抗なくスッと入り込んでくる弟の青波。
親の期待に悩みながらも、巧のボールを受けることに純粋に惹かれ、巧の支えとなっていく心優しい豪。
巧からは「何にも自分のことを見ちゃいない」と思われながらやはりどこか家族の中心にいるように感じられる父・広。

巧の投げるボールの力強さや、投げ込むことに伴う“感覚”描写も魅力です。
巧にしか投げられない球を精一杯投げて欲しい、そんな気にさせます。
ボールを投げる快感を知っていることで、「この作者、本当に女性?」と思うこともありました。(これは偏見ですね。すみません)

今日は仕事だったので夜からでしたが、先ほど読みきりました。
何か色んな思いのままに、ブログを書いています。(これ以上、本の解説はしません。逆に本の魅力を損ねてしまうことばかりなので)
あとがきを読むに、文庫では2冊だけど、まだ続きがあるようです。
決して万人に好かれない(身近にいたら好きになるだろうか?)巧の性格に反発し、そして共感しながら続きが読みたくなりました。

この本、プロ野球のオーナーたちにも読ませてやりたいなぁ…
コメント (2)
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