goo blog サービス終了のお知らせ 

寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第88回例会

2009年03月28日 | 例会履歴

2009.03.28 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】目なし毒虵考―『仮名本粉河寺縁起』「紀伊守朝輔朝臣女子受持三帰吐出毒虵第十二」から―  土橋由佳子
【要旨】『仮名本粉河寺縁起』「紀伊守朝輔朝臣女子受持三帰吐出毒虵第十二」は粉河寺の檀那となった藤原朝輔の、特に康和元年春のできごとを中心として語る縁起説話である。本発表では、藤原朝輔の事跡と、康和元年春の史料をもとに、本文に見える「目なき毒虵」を表現した経緯について、縁起製作時、あるいは縁起製作者の視点から考察したい。


第87回例会

2009年01月31日 | 例会履歴

2009.01.31 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表1】縁起と武士団―『日光山縁起』と宇都宮氏との関わり合い―  佐藤 優
【要旨】『日光山縁起』は、寺社縁起研究史において画期とされるべき日本思想大系『寺社縁起』(岩波書店、1975)に諸本の1本が収録されている(萩原龍夫校注)。また、研究史を概観するなら、柳田國男『神を助けた話』(『柳田國男全集』第3
巻〈筑摩書房、1997〉所収。初出は1920)以来、歴史学・文学・民俗学等の多くの視点からの研究蓄積があり、諸本の翻刻や分類整理も進んでいる縁起テキストといえるだろう。そこで本報告においては、縁起の成立に関して関東の中世武士団の視点から考えてみたいと思う。具体的には、『日光山縁起』成立背景を中世期宇都宮二荒山神社(宇都宮大明神)の社務職でもあった宇都宮氏の武士団としての勢力拡大期における史資料から考察してみたい。

研究発表2】韓国寺刹縁起に関する資料と研究  松本真輔
【要旨】韓国の寺院にもその由来を語る資料が存在する。ただし、その多くは「寺志」「事蹟」等の名が付され、発表題目に便宜上使った「縁起」はあまり用いられない。今回の発表では、許興植『高麗仏教史研究』(一潮閣、1986)「寺志の刊行と展望」と、キム・スンホ『韓国寺刹縁起説話の研究』(東国大学校出版部、2005)を参照しつつ、韓国の寺刹縁起の研究と、資料に関する全般的な見取り図を紹介したい。


第86回例会

2008年12月18日 | 例会履歴

2008.12.18 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】素盞嗚流神道について―日御碕社と高野山―  大東敬明
【要旨】日御碕神社は島根県出雲市大社町に鎮座する。近世前期に同社別当・学雄は同社検校・小野尊俊に神道伝授を行い、高野山には神祇書を送っている。これらのなかには日御碕社の祭神である素盞嗚尊を重視するものがみえ、「素盞嗚流神道」の名称がみえるものもある。発表では、國學院大學図書館所蔵『唯一神道集』を紹介しつつ、素盞嗚流神道は日御碕社においては学雄の代のみにとどまるものであったが、高野山に送られたものは日光院・英仙が書写し、御流神道に関わる伝書として相伝されたことを述べる。
関連論文:大東敬明「素盞烏流(出雲流)神道について―日御碕神社宮司家・小野家所蔵文書を中心にして―」(『國學院大學研究開発推進センター研究紀要』第2号、2008)


第85回例会

2008年11月28日 | 例会履歴

2008.11.28 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】禅竹能楽論にみる舞歌の〈起源〉と仏教的身体観をめぐって  高橋悠介
【要旨】金春禅竹の能楽論「六輪一露説」において、「寿輪」や六輪全体をつなぐ「一露」には、舞歌の発生と芸感発現にあたっての根源的な性格が付されている。特に「一露」に関する記事には禅竹の遡源的思考が特徴的にうかがえ、これは歴史的な起源とは別種だが、ある種の〈起源〉を説く言説としてみることもできよう。本発表では、こうした舞歌の発生をめぐる言説を検討する。なお、世阿弥の『遊楽習道風見』最終条についても、「寿輪」を理解するための前提として検討し、世阿弥から禅竹への継承を考えてみたい。


第84回例会

2008年10月30日 | 例会履歴

2008.10.30 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】久我長通撰『八幡講式』とその周辺―中世八幡信仰の一側面―  舩田淳一
【要旨】中世八幡信仰の縁起・言説を考察する上で、『八幡講式』は重要なテクストであり、諸寺社に多数の伝本が確認される。石清水八幡宮には三段と五段の二つの『八幡講式』が伝来しており、五段式は後中院太政大臣久我長通(1280~1353)の作である。まずこの二種の本文を比較分析することで三段式を流布本と位置づけ、そこから五段式(久我本)が増補される形で展開したという試案を提示する。そして阿弥陀・釈迦を八幡の本地仏とする通説に立ち、天台の安居院の圏域で成立したと想定される三段式に対し、愛染明王本地説を打ち出す久我本の真言密教的特質に注目すると、その成立には久我家と密接な関係にあり、鎌倉幕府の祈祷僧としても活躍していた醍醐寺地蔵院流の親玄(1249~1322)・房玄(1282~1351)師弟の影響が窺えるのである(なお親玄は鶴岡八幡別当であった佐々目流の頼助の弟子)。本報告では、久我本を南北朝動乱という歴史的背景と中世神道説のコンテクストの中に定位し、そこから室町幕府の八幡信仰と武家祈祷の問題にも言及したい。
参考:舩田淳一「真言系『八幡講式』とその周辺―鶴岡座不冷本地供と別当頼助の中世神道説―」(『仏教文学』21号、2007年)


第83回例会

2008年09月25日 | 例会履歴

2008.09.25 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】光明皇后湯施行譚の変遷―縁起を中心として―  太田有希子
【要旨】光明皇后湯施行譚は、『建久御巡礼記』以後、種々の寺院縁起に散見する。縁起が社会状況と連関して生成されたテクストとすれば、既存の言説がある寺院の縁起にとりこまれてゆく契機および展開の様相をしっかりとふまえ、当該縁起を読み解いてゆかねばならない。したがって、本発表ではその背景に留意しつつ、諸寺院の縁起にとりこまれた縁起説としての光明皇后湯施行譚をみてゆきたい。


第82回例会

2008年08月27日 | 例会履歴

2008.08.27 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】『東宝記』編纂の背景とその叙述について  貫井裕恵
【要旨】南北朝に成立した東寺初の総合的寺誌『東宝記』は、その史料的性格から同寺関係の研究に資するところが大きい。しかし、『東宝記』もまた歴史的所産である以上、その成立の背後にある社会状況を考慮して読み解く必要がある。以上の問題意識から、本報告は『東宝記』編纂開始時期の社会的背景について考えたい。


第81回例会

2008年07月30日 | 例会履歴

2008.07.30 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表1】『神道集』の本地説―巻五「春日大明神」を中心に―  有賀夏紀
【要旨】南北朝期ごろの成立とされる『神道集』は、しばしばその雑纂性が指摘される。そこで展開される神道論は、ひとつの立場によるものというよりは、さまざまな説をとりこんで編まれており、それゆえに、当時の信仰の諸相を垣間みることができる。本発表では、その言説の一端をとりあげ、中世神道説における『神道集』の位置づけをかんがえる。神々の本地を比較、検討しつつ、『神道集』の独自性に言及したいと思う。

【研究発表2】三条西実隆の寺社縁起読申  伊藤慎吾
【要旨】三条西実隆は寺社縁起にしばしば関与した。個人的な理由によるものがある一方で、禁裏の仕事としてもこれに関わっており、後土御門・後柏原朝期における寺社縁起の収集と制作、受容の中で実隆は重要な働きをしていたようである。中でも禁裏での縁起の読申はもっぱら実隆が担っていた。今回はその近臣としての意義と実隆以降の読申の展開とを考えてみたい。


第80回例会

2008年06月19日 | 例会履歴

2008.06.19 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】北条泰時と地下楽家の交流  中本真人
【要旨】鶴岡八幡宮で催される芸能は、源頼朝の時期にほぼ固定している。これに続くものとして、『吾妻鏡』によれば、第三代執権の北条泰時の時期にも、芸能の伝授に関わる記事が集中してみられる。泰時の時期には、多氏などの京の地下楽人との交流が活発化したほか、京の楽人の鎌倉移住も増加している。これは泰時自身が芸能を愛好したということにもよるが、頼朝の芸能の方針を受け継いで、地下楽人との関係を維持するとともに、鶴岡八幡宮を興隆しようとしたことが背景にあると思われる。本発表では、泰時の芸能に対する姿勢を考察することによって、鶴岡八幡宮の祭祀の展開と鎌倉前期の芸能をめぐる環境の一端に触れてみたい


第79回例会

2008年05月30日 | 例会履歴

2008.05.30 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】東大寺醍醐寺本末相論における記録・官符と“縁起”  牧野淳司
【要旨】先月末、臨川書店から『真福寺善本叢刊10 東大寺本末相論史料』が刊行された。正和二年(1313)から正和四年にかけて、東大寺と醍醐寺との間で真言宗の本寺をめぐって争われた訴訟に関係する資料で、東大寺から提出された3度の訴状(初度訴状・重訴状・三重訴状)と、醍醐寺の返答である2度の陳状(初度陳状・重陳状)、および訴状とともに提出された具書(証拠書類)を収録している。これら一連の訴陳状では、上醍醐山略要記・弘法大師記文案・弘法大師行化記・御遺告・真言付法纂要抄といった記録類の他、承和二年八月二十三日太政官符案・延喜十三年十月二十五日太政官符案といった官符類が数多く用いられている。訴訟の過程で、どのような記録(書物)や官符(文書)が注目されているか、また、もとの書物や文書に含まれている縁起的記述がどのように活かされているか、まとめてみる。


第78回例会

2008年04月28日 | 例会履歴

2008.04.28 早稲田大学早稲田キャンパス

【資料紹介】早稲田大学図書館千厓文庫の寺社縁起関係資料・瞥見  藤巻和宏
【要旨】早稲田大学名誉教授であり日本金石文研究史に偉大な足跡を残した加藤諄は、自ら蒐集した文献資料類を早大図書館に寄贈した。金石学・国語学・書道史を中心とし、宗教・文学・美術・地誌…等々、4500点にのぼるそのコレクションは「千厓文庫」と呼ばれる。その中には寺社縁起関係の資料も数多く含まれ、『和州寺社記』(写本)、『本朝因縁諸国古寺談』(版本)等の未公刊の縁起集や、『興福寺草創之由来』『東大寺記』(ともに写本)といった他に所蔵の確認されないものもある。これらを中心に、千厓文庫の縁起関係資料を紹介し、その価値に言及する。

※2008年4月1日より、「西早稲田キャンパス」が「早稲田キャンパス」に改称されました。


寺社縁起研究会・合同例会記録(共催・協力等も含む)

2008年03月19日 | 例会履歴
関東支部・関西支部 合同例会 2002.03.23 早稲田大学
 
研究発表
「護国寺本『諸寺縁起集』について―その特性と位置付け―」 日本学術振興会特別研究員 藤巻和宏
「仏舎利相承と鎌倉期王権の正統性―胡宮神社蔵「仏舎利相承」をめぐって―」 慶應義塾大学大学院生 大橋直義
「老女の図像学―『画図百鬼夜行』前編・陰「山姥」の解釈をめぐって―」 大谷大学特別研修員 北城伸子
 
総合司会
  京都精華大学 橋本章彦



巡礼記研究会 第2回研究集会(共催:慶應義塾中世文学研究会・寺社縁起研究会関東支部) 2005.09.17 慶應義塾大学
 
研究発表
「荒神の縁起と祭祀」 東京大学大学院生 高橋悠介
「冥界遍歴と巡礼―『西国巡礼縁起』をめぐって―」 日本学術振興会特別研究員 恋田知子
「六角堂縁起異説―聖徳太子伝承のことなど―」 京都大学非常勤講師 橋本正俊
「千葉妙見の本体・本地説―『源平闘諍録』と『千学集抄』との間―」 四天王寺国際仏教大学 源健一郎



シンポジウム「寺社縁起の文化学―新たな縁起研究をめざして―」(共催:寺社縁起研究会・伝承文学研究会) 2006.03.18 学習院女子大学
 
パネリスト
「室町・江戸期の長谷寺縁起―〈本縁起〉から絵巻・絵入版本・略縁起へ―」 早稲田大学非常勤講師 藤巻和宏
「中将姫物語の近世的変容―物語・狂言・略縁起―」 花園大学非常勤講師 菊池政和
「近世高僧伝の周辺―略縁起から見えるもの―」 京都精華大学 堤 邦彦
 
コーディネーター
  学習院女子大学 徳田和夫
 
コメンテーター
  恵泉女学園大学 佐谷眞木人
  栃木南高等学校 久野俊彦
 
総合司会
  京都精華大学非常勤講師 橋本章彦



早稲田大学高等研究所フォーラム
シンポジウム「縁起の東西―聖人・奇跡・巡礼―」(主催:早稲田大学高等研究所/協力:寺社縁起研究会・巡礼記研究会) 2008.03.19 早稲田大学
 
パネリスト
「日本の寺院縁起と僧伝・霊験譚―東大寺・長谷寺縁起の周辺―」 藤巻和宏(早稲田大学高等研究所助教/日本宗教文学)
「南アジアの寺院縁起―ヒンドゥー教シヴァ・リンガ崇拝の神話と巡礼―」 山口しのぶ(東洋大学教授/南アジアの儀礼・図像)
「中世ヨーロッパの修道院建立譚―10-12世紀南ネーデルラントの事例を中心に―」 青谷秀紀(日本学術振興会特別研究員/西欧中世史)

コメンテーター
「聖地の継承と再構築に関する言説と行為―聖徳太子信仰をめぐる託宣と巡礼の視点から―」 近本謙介(筑波大学准教授/日本中世宗教文芸)
「サンスクリット語圏の拡大と聖域の形成―中世期南アジアの聖典と聖地という視点から―」 杉木恒彦(早稲田大学高等研究所助教/南アジア密教史)
「コンスタンティノープルの奇跡―総主教アタナシオスに注目して―」 橋川裕之(早稲田大学高等研究所助教/ビザンティン帝国史)
 
講演
「一神教と寺院縁起」 松原秀一(慶應義塾大学名誉教授/中世フランス文学)
 
司会
  黒田 智(早稲田大学高等研究所助教/日本中世図像学)

第77回例会

2008年02月04日 | 例会履歴

2008.02.04 早稲田大学西早稲田キャンパス

【研究発表】『神道集』の位相―権者、実者をめぐって―  有賀夏紀
【要旨】『神道集』におさめられる縁起類は、しばしばその在地性が指摘される。それらの物語が当時の社会ではたした役割については、すでに述べたところである(『学習院大学国語国文学会誌』48)。だが、本書が神道論を冒頭におく漢文体の編纂物であることに注目するとき、『神道集』と、土地の伝承とのあいだには位相の差が生じてくる。本発表は、冒頭におかれた「神道由来之事」を中心に展開される権者・実者の論から、編纂物としての『神道集』について考察する試みである。


第76回例会

2008年01月25日 | 例会履歴

2008.01.25 早稲田大学西早稲田キャンパス

【研究発表】亳州太清宮年代記  酒井規史
【要旨】亳州太清宮は、道教の教主である老子の出身地(とされる場所)に位置する道観(道教の寺院)である。歴代の道教徒や皇帝から信仰を集めたため、関連する資料が多く残されている。本発表では、碑文や霊験譚などをもとに、亳州太清宮の変遷をたどる。それは同時に、中国北方の道教史を描くことにもなるであろう。また、道観に関する資料調査の方法についてもふれる事にしたい。


第75回例会

2007年11月08日 | 例会履歴

2007.11.08 早稲田大学西早稲田キャンパス

【研究発表】神護寺縁起・勧進状と再興事業  黒田 智
【要旨】大永年間の慶真から天正年間の晋海、元和年間の龍厳へと引き継がれる神護寺再興事業の歴史を、縁起・勧進状により明らかにする。あわせて、足利義満像と足利義持像とが像主名に混同をきたしてきた背景を解き明かしてみたい。

※今回より、会場を西早稲田(本部)キャンパスに変更いたしました。