縁側でちょっと一杯 in 別府

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“20 FEET FROM STARDOM (バックコーラスの歌姫たち)”

2014-02-18 00:10:20 | 芸術をひとかけら
 先日CNNを見ていたら、今年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた作品として、“20 FEET FROM STARDOM”という映画が紹介されていた。直訳すれば「スターの座から20フィート(約6m)」。何分英語なので内容はよくわからなかったが、スターのバックで歌う人達の話のようだ。
 そういえば、スターのバックバンドがデビューして有名になった話はよく聞くが(例えば、ボブ・ディランのザ・バンドや、リンダ・ロンシュタットのイーグルスとか)、バックで歌っていた人が有名になった話はあまり聞いたことがない。スターのバックで歌うというのは、いったいどういうことなのだろう。興味を持った僕は、早速映画館を調べ、見に行くことにした。

 ブルース・スプリングスティーン、スティング、ミック・ジャガー、スティーヴィー・ワンダーなどのスターが、バックで歌う女性たちの思い出を語り、皆その歌の素晴らしさを称える。そして彼らと彼女たちのステージの様子が映し出される。聞き覚えのある歌、それに聞き覚えのあるハーモニー。彼女たちの名前は表に出ないことが多いが、確かにその歌声は我々の記憶に残っている。
 バックで歌っていた女性たちのインタビューや独白が続く。彼女たちはスターに負けない歌唱力を持ちながらも注目を浴びることはない。物理的にはわずかな距離、20feetどころかスターのすぐ隣りで歌うこともあるが、現実のスターへの道のりは果てしなく遠い。
 バックで歌う人間とスターとでは求められる資質が違うという。バックの人間に個性は必要ない。皆と合わせること、コーラスを乱さないことが重要なのである。映画で“background singer” という言葉が使われていたが、自らを背景と化し、スターを引き立てる役に徹する存在という意味なのであろう。

 バックで歌うことに慣れ、居心地の良さを感じ安住する者も多いが、中には夢を忘れずバックから中央で歌うことを目指す者もいる。元々歌唱力は抜群、忘れていた個性を取り戻せばスターへの道が・・・、と思いきや、そんな甘い世界ではない。この世の中、歌の上手い人間はいくらでもいる。自ら曲を作れない彼女たちはプロデューサーに依存せざるを得ない。変なプロデューサーにあたると、自らが録音した曲が他人の名前で発売されることすらあるという。良いプロデューサー(そもそも いればの話だが)に会えるかどうか、スターへの道も運次第である。
 そんな中、チャンスを掴みかけている女性がいる。“This is it”でマイケル・ジャクソンと歌ったジュディス・ヒルである。彼女は副業(?)としてバックで歌いつつ、今もセンターで歌う夢を追いかけている。

 この映画は日本では昨年12月中旬に公開された。当初は渋谷Bunkamuraだけの上映であったが、その後順次地方でも公開されている。もっとも既に上映を終了している映画館も多いようだ。
 60年代から80年代にかけての洋楽の好きな方(注:なぜか最近はバックコーラスを使わない歌が多い)、夢を追い、挫折し、それでも夢を追い続ける彼女たちの人生に興味のある方は、急いで映画館へどうぞ。大きな感動とまではいかないものの、彼女たちの歌に、人生に励まされ、しっかり前を見て映画館を出られる、そんな映画だと思う。


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1 コメント

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アカデミー賞 (ダーレン・ラヴ)
2014-03-03 12:28:38
祝! 長編ドキュメンタリー賞 受賞!!
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