縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

ワインと和食と小田原(前編)

2007-06-16 15:34:18 | おいしいもの食べ隊
 先日、偶然『ラ・クロシェット・ドール』という店に入った。外の黒板に書いてあった“ホワイトアスパラ”に惹かれて入ったのである。場所は銀座3丁目、ちょうど王子製紙の向かいのビルにある。
 場所は一等地だが、ビルは飲食店というより普通の事務所が入っていそうな雑居ビル。これなら高くないかな、と思ったものの銀座であることに変わりは無い、油断は禁物。案の定、店の扉に手を掛けた途端、嫌な予感が。うっ、扉が重い。重厚な扉の店が必ず高級な店だとは言わないが、安い店に重厚な扉はあまりない。さらに店に一歩入ると、不安に追い討ちを掛けるような光景が。ここはどこ?ワイン・バーのはずが・・・・。思わず目を疑ってしまった。店の左側にはゆったりとしたソファーが置かれ、まるでサロンというか、どこかのお屋敷のような雰囲気。ま、まずい、帰ろうと思ったものの、一応席に着いた。そう、夜の11時過ぎで、他に開いている店がなく、漸く辿り着いた店だったのである。それに空腹には勝てない。我々はまだ夕食を食べていなかったのである。

 しかし、メニューを見るとリーズナブルな値段、それに今日はワインの試飲会があった関係でグラスワインが30種類以上あり、だいたい1,000円前後で出しているとのこと。これを聞いてほっと胸をなでおろし、二人はおいしい料理とワインを堪能した。

 ここはご夫婦の店で、ご主人が料理を作り、奥さんがワインを担当している。金曜の夜とはいえ、12時を過ぎると他のお客さんは帰り、それにご夫婦以外のスタッフも帰り、店には我々4人だけになった。そこでいろいろお話をお伺いした。
 この店は2年前に開き、その前は小田原でワイン・バーをやっていたこと。なぜ小田原かというと、ご主人がその前に箱根の『オー・ミラド』で働いていて偶々住んでいたから。奥さんは日本で第1号の女性ソムリエで、業界では有名な方であること。以前は六本木や代官山の店で働いていたこと。ワインスクールでも教えていて、その関係もあってよく試飲会をやっていること。試飲会の後に来店すると、その恩恵で珍しいワインを楽しめること(今日のようなケース)。等々。

 この店の何がすごいって、奥さん、松本和子さんのパワーがすごい。まず、よく喋る。言葉からはわからないが、聞けば関西出身とのこと。ここで納得、さすが関西のオバさんパワー恐るべし(因みに彼女は僕と同い年)。元々は料理人(芸人ではありません、念のため)を目指したものの、女性であることに加え左利きであることがハンディとなり断念、ワインの世界に入ったとのこと。
 彼女の偉いところというか、関心したのが、決して知識をひけらかさないこと。僕のような素人は、どこかスノッブを気取るワイン好き・ワイン通は苦手である。そう、あの『神の雫』の世界にはちょっと付いて行けない。ところが彼女の場合、その知識たるや相当なものであるに違いないが(長年のソムリエ経験に加えボルドー大学で醸造を学んでいる)、自分はワインが好きで“飲み”から入ったからと言って、まったく偉ぶらない。そして、お客さんからもよく教えてもらうんです、と言って笑う。勿論、お客様の気分を害しないよう気を遣っていることが多いのだろうが、本当に謙虚である。

 「能ある鷹は爪を隠す」、ことワインに関してはそうだと思うが、ご主人に対して彼女は爪を隠してない(?)、実力を遺憾なく発揮しているように見えた。
 我々が帰ろうとしたとき、ご主人は後ろで寝ていた。午前2時過ぎ、料理の仕込みなど大変だったのであろう、無理もない。と、そこに「あなた、起きなさいよ。」と、しきりに彼女の声。会計を済ませ店を出、そしてエレべーターを降りた我々の前に、なんと寝ていたはずのご主人の姿が。深夜で正面の出口が閉まっているため、我々を案内するため先回りして待っていたのである。

 ああ、男は、もとい、夫はつらいよ。

(長くなったので、小田原話はまた次回に。あしからず。)

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