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縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

そして、アイヌ(★★★★☆)

2025-05-22 18:09:39 | とある田舎のミニシアター
 この映画は、アイヌの文化を継承し、次の世代へと引き継ぐべく活動されている方々のドキュメンタリーである。

 僕は北海道の出身である。が、アイヌのことに詳しいかというと、そうでもない。正直、身近にアイヌを感じたことがないからだ。アイヌの人たちは、明治以降の同化政策により和人、大和民族として生きることを強いられた。そのため実際にアイヌの人を見るのは白老など観光地に行ったときだけだった。
 アイヌの人たちは、差別や偏見などから自分がアイヌであることを隠している人が多いという。僕のクラスにもアイヌの人がいたかもしれないが、誰も気づかず、皆何も気にせず一緒に過ごしていた。知らないのだから当然そこに差別はない。それはそれで良かったが、一方でアイヌの方の民族としての思いやアイデンティティを考えると、やはり良いとは言えない。
 僕がアイヌへの差別を詳しく知ったのは昨年のこと、『カムイのうた』という映画だった。知里(ちり)幸恵という、大正時代にアイヌの詩(ユーカラ)の和訳を行った女性の映画である。日本でも、アメリカで白人がネイティブ・アメリカンに行ったのと同じようなことがあった。哀しい事実である。

 さて、映画は東京でアイヌ料理店『ハルコロ』を営む宇佐照代さんを中心に描かれている。彼女は“アイヌ文化アドバイザー”としてアイヌの踊りや、ムックリ(口琴)・トンコリなどアイヌに伝わる楽器の紹介を行っている。またアイヌとしての自らの経験を踏まえ、人権問題に関する講演などもされている。祖母や母親から受け継いだアイヌの文化、そして民族の誇りを、自分の娘や娘たちの世代に伝えたいと願い、活動されているのである。
 また、人類学の研究のためと称してアイヌの墓を盗掘し、遺骨を持ち去り今も保管する京都大学などに、遺族への遺骨の返還を求める陳情などもされており、まさに八面六臂の活躍である。

 僕は白老にあるウポポイ(民族共生象徴空間)の国立アイヌ民族博物館に行ったが、今のアイヌの方の生活や思いなど、この映画を見て知ることが多かった。『ゴールデンカムイ』でアイヌに興味をもたれた方には、アイヌの今を知るためにも是非この映画を見て欲しい。といっても、この『そして、アイヌ』は元々上映する映画館が少なく、さらに既に上映が終了した映画館が多く、現状では見るのが難しいだろう。皆さんの声が盛り上がり、上映する映画館が広がることを望みたい。この映画が、日本にも民族問題があることを考えるきっかけになると良い。



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