縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

「入れない、捨てない、拡げない」

2006-08-29 23:57:00 | おいしいもの食べ隊
っていう今日のタイトル、何の話かご存知だろうか。非核三原則? いいえ、あれは「持たず、作らず、持ち込ませず」。では、いったい何か? これは「外来生物被害予防三原則」というものである。

 先日の『動物奇想天外!』で石垣島でグリーンイグアナを捕獲する話を見た。ペットとして飼っていたイグアナが大きくなって飼いきれなくなり、それが捨てられ、野生化したものである。亜熱帯の沖縄とはいえ生息は困難と考えられていたが、どうも繁殖もしているらしい。一見、イグアナは人間に害のないように見えるが、イグアナそのものに加え、体内に棲むバクテリアなども含め、生態系、更には人間に対する影響など、計り知れないものがある。まったく、恐ろしい話である。
 最近、似たような話をよく聞く。農作物を荒らすアライグマ、獰猛なワニガメが不忍池で産卵、そして驚異的な繁殖力で拡がるアルゼンチンアリなど。アルゼンチンアリは何かに紛れて日本にやって来たのだろうが、それ以外の多くはいずれもペットとして飼われていた動物が手に負えなくなって捨てられたものである。

 こうした動物、更には植物等の被害を未然に防ごうと作られたのが「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、いわゆる「外来生物法」である。特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的としている。

 さて、本件に関し、僕にとっての最も身近な問題、切実な問題はというと、モズクガニ、そう上海蟹である。(なんて不謹慎な、と怒られそうだが、食べ物のブログなのでお許し願いたい。)
 今年2月、上海蟹も外来生物に指定された。上海蟹の繁殖力は強く、かつ共食いをするため、わが国固有のモズクガニを駆逐する恐れが高いためだ。もっとも、せっかくの上海蟹を捨てる人はいないと思うのだが。中国から船などで意図せず運ばれてきたものが繁殖するのを防ぐのは必要だが、食用のために輸入されたものまで厳しく規制することはないのではないか。正規の手続きが面倒になると、価格が上がったり、ヤミで隠れて輸入する者が出て来ると思う。その方が却って危険だ。

 因みに、現在の法律では「特定外来生物飼養等許可」を取ると、生きたまま上海蟹の輸入や卸売りができる。食品衛生法第52条飲食店営業許可を持っている飲食店が、上海蟹を調理して出す分には、その許可も不要だ。ただ一般消費者の手に生きたまま渡すことはできないため、小売店が生きた上海蟹を販売することはできなくなった。ということは何が起きるか。
 問題その1、我々一般人は、スーパーは勿論、築地など市場に行っても生きた上海蟹を買うことができない、つまり高いお金を払って飲食店で食べるしかない。(注:上海蟹は生きたまま料理をしないとおいしくないので)
 問題その2、直接卸しから仕入れている飲食店でしか上海蟹を食べることができない。これまた値段の高い恐れ。
 一方で新たなビジネスチャンス(?)。卸業者や惣菜業者・大手スーパーなどが自ら、酔っ払い蟹など上海蟹を料理して売り出す?

 以上、秋を間近に控えた、食いしん坊のたわごとである。