1.a,b,c,d が実数の時、不等式
(a³+b³+c³-3abc)²≦(a²+b²+c²)³
を示す問題があった。
a³+b³+c³-3abc=(a+b+c)(a²+b²+c²-ab-bc-ca)
である。すると
A=(a²+b²+c²)³-(a³+b³+c³-3abc)²
=(a²+b²+c²)³-(a+b+c)²(a²+b²+c²-ab-bc-ca)²
このとき
(a+b+c)²=a²+b²+c²+2(ab+bc+ca)
だから、
A=(a²+b²+c²)³-{a²+b²+c²+2(ab+bc+ca)}(a²+b²+c²-ab-bc-ca)²
ここで
x=ab+bc+ca , y=a²+b²+c²
とおくと
A=y³-(y+2x)(y-x)²=y³-(y+2x)(y²+x²-2xy)=y³-(y³+x²y-2xy²+2xy²+2x³-4x²y)
=-(-3x²y+2x³)=x²(3y-2x)
ここで
3y-2x=3(a²+b²+c²)-2(ab+bc+ca)
=(a²+b²+c²)+(a-b)²+(b-c)²+(c-a)²
だから
A=(ab+bc+ca)²{(a²+b²+c²)+(a-b)²+(b-c)²+(c-a)²}≧0
となる。
等号成立は、ab+bc+ca=0 (a=b=c=0 を含む)のとき。
2.a,b,c,d > 0 , abcd=1 のとき、不等式
(a²+1)(b²+1)(c²+1)(d²+1)≧(a+b+c+d)²
が示されていた。
A=(a²+1)(b²+1)(c²+1)(d²+1)-(a+b+c+d)²
=(abcd)²+{ (abc)²+(bcd)²+(cda)²+(dab)² }
+{ (ab)²+(bc)²+(cd)²+(da)²+(ac)²+(ad)²+(bd)² }+(a²+b²+c²+d²)+1
-(a²+b²+c²+d²)-2(ab+bc+cd+da+ac+bd)
abcd=1 から
A=2+(1/d²+1/a²+1/b²+1/c²)+{ (ab)²+(bc)²+(cd)²+(da)²+(ac)²+(bd)² }
-2(ab+bc+cd+da+ac+bd)
=(1/a²+1/b²+1/c²+1/d²)+(ab-1)²+(bc-1)²+(cd-1)²+(da-1)²+(ac-1)²+(bd-1)²-4
≧4{ 1/(a²b²c²d²) }¹/⁴-4=0 (AM-GM不等式から)
等号成立は、a=b=c=d のとき、つまり、a=b=c=d=1 のとき。
3.a,b,c,d > 0 , abcd=1 のとき、不等式
1/(a+1)²+1/(b+1)²+1/(c+1)²+1/(d+1)²≧1
が示されていた。
まず、
1/(a+1)²+1/(b+1)²-1/(ab+1)={ (ab-1)²+ab(a-b)² }/{ (a+1)²(b+1)²(ab+1) }≧0
なので
1/(a+1)²+1/(b+1)²≧1/(ab+1)
同様に
1/(c+1)²+1/(d+1)²≧1/(cd+1)
すると
1/(a+1)²+1/(b+1)²+1/(c+1)²+1/(d+1)²≧1/(ab+1)+1/(cd+1)
=(ab+cd+2)/(abcd+ab+cd+1)=1 (abcd=1 から)
したがって、与式が証明された。
等号は abcd=1 から、ab≠0 なので ab=1 かつ a=b のとき、つまり、a=b=1 。
さらに cd≠0 なので、cd=1 かつ c=d のとき、つまり a=b=1 となる。まとめて
a=b=c=d=1
のときとなる。
以上
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