以上
1. まえがき
曲線 y=x²上の3点とある関係にある点の軌跡を求める問題があった。
2. 問題
曲線 y=x²上に3点P,Q,Rがある。点PからQに向かうベクトルをPQ>とする。すると
PS>=PQ>+PR> を満たす点Sをとる。また、点Pを固定して、∠QPR=90゜を保ちな
がら点Q,Rを移動するとき、点Sの軌跡を求めよ。
3. 計算
点Oを原点、点P,Q,Rの座標を(p,p²),(q,q²),(r,r²)とする。すると
PQ>=<q-p,q²-p²>, PR>=<r-p,r²-p²>、PS>=<q+r-2p,q²+r²-2p²>
であり、点Sの位置ベクトルは
OS>=PS>+OP>=<q+r-2p,q²+r²-2p²>+<p,p²>=<q+r-p,q²+r²-p²>
となる。つまり、Sの座標は
x=q+r-p・・・・・①
y=q²+r²-p²・・・・②
また、PQ>とPR>は直交するから、内積を取って
0=(PQ>)・(PR>)=(q-p)(r-p)+(q²-p²)(r²-p²)=(q-p)(r-p){1+(q+p)(r+p)}
→ 1+(q+p)(r+p)=0
→ -qr=1+(q+r)p+p²・・・・③
すると➂は①の xを使って
-qr=1+(x+p)p+p²=1+px+2p²・・・・④
また、(x+p)²=(q+r)²=q²+r²+2qr → q²+r²=(x+p)²-2qr なので②から
y=(x+p)²-2qr-p²=x²+2px-2qr
④を使って
y=x²+2px+2(1+px+2p²)=x²+4px+2+4p²=(x+2p)²+2・・・・⑤
以上
1. まえがき
絶対値を使うと角のある面白い図形が描ける。それを紹介する。
2. グラフ
(1) 図1に示すものはよく知られている。1、3、4番目は放物線、円、双曲線に対応している。
(2) 図2は、少し複雑な折れ線。
(3) 図3は3角形から5角形まで。
最初のグラフについて説明すると、y→ -y としても同じなので、x軸に対して対称となるか
ら y≧0 のみ調べればよい。x,y≧0 の第1象限のとき、2y+x=1 のグラフとなる。x<0,y≧0
の第2象限のとき、y+|x+y|=1 となる。さらに、x+y≧0 のとき、2y+x=1 となる。これ
らを合わせると、1=2y+x≧-2x+x=-x、つまり、x≧-1 となる。以上を合わせて、
-1≦x≦1 のとき、2y+x=1
残りの、x+y<0 のとき、y-(x+y)=1 → x=-1 となる。これで、y≧0 のグラフがわかった。
なお、2番目の4角形は図1の3番目の四角形を45゜座標回転したものになる(大きさは異な
る)。
(4) 図4は6角形と8角形。
最初のグラフは、(x,y)→(-x,-y)としても同じなので、原点で点対称になるから、y≧0 の
のグラフを調べればよい。第一象限の時、x+y+x+y=2 → x+y=1 となる。第二象限の
とき、-x+y+|x+y|=2 となる。さらに、さらに、x+y≧0 のとき、y=1、x+y<0 のとき
x=-1 となり、y≧0 のグラフがわかる。
3. あとがき
3次元空間ではもっと複雑面白い図形があるが複雑すぎる。
以上
つぎの東大入試実戦模試の問題というのがあった。
[問題]
xの2次不等式 2x²-4ax+a²-b≦0 が任意の実数aに対して、整数解をもつような実数bの
範囲を求めよ。
はじめ、問題の意味が分からなかったが、不等式の解 xはある範囲を持つが、その範囲に
整数が含まれる条件を示せ。という意味だった。
[解]
2x²-4ax+a²-b≦0 → 2(x-a)²-a²-b≦0 → 2(x-a)²≦a²+b
任意のaに対して、この式を満たすには、a=0とすると、
b≧0・・・・・①
である。したがって、aのよらず常にこれを満たす必要がある。このとき、2x²≦b だから
必ず、x=0 という整数解がある。したがって、これ以降は
a≠0・・・・・②
で議論する。つぎに
2x²-4ax+a²-b=0
の解は
x={2a±√(4a²-2(a²-b))}/2=a±{√(2a²+2b)}/2
となる。
したがって、①②から重根も無く、2つの実根となり、それをα、β(α≦β)とすると
α=a-{√(2a²+2b)}/2 , β=a+{√(2a²+2b)}/2
β-α=√(2a²+2b)
となる。不等式は 2(x-α)(x-β)≦0 となり、解の範囲は
α≦x≦β
となる。つまり、xの範囲は、x=a を中心として、幅(β-α) の間にある。
1. |a|≧1 とすると
β-α=√(2a²+2b)≧√(2+2b)>1
となる。つまり、aが整数の間のどこにあろうと(β-α)の範囲は必ず、xは整数を含む。し
たがって、任意のaのうち、|a|<1の範囲を考えればよい。
2. 1/2≦|a|<1 のとき・・・・③
このとき、aからの距離の短い整数は±1で、その距離は 1-|a| となる。つまり aが変化し
ても常に
(β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧1-|a|
を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
b≧(|a|-2)²-2
となるが、③の範囲で右辺の最大値はグラフから明らに、|a|=1/2 での1/4だから
b≧1/4・・・・・④
となる。
3. 0<|a|≦1/2・・・・・⑤
このとき、aからの距離の短い整数は 0で、その距離は |a| となる。つまり aが変化しても
常に
(β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧|a|
を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
b≧a²
となるが、⑤の範囲で右辺の最大値は明らかに |a|=1/2 での1/4だから
b≧1/4・・・・・⑥
となる。
4.
以上の、①➃⑥から
b≧1/4
とすればよい。
以上
[問]x²+ax+b=0が実数解を持つ。それらが|x|>1であるときの条件を求め、それを満たす点a,bを
ab平面に図示せよ(a,bは実数)。
[解] 解を x₁=(-a+√(a²-4b))/2 , x₂=(-a-√(a²-4b))/2 とします。
1. まず、a²-4b≧0 です。b≦a²/4 ・・・・①
ですから、等号の放物線の下側となります。
2. x₁>1 , x₂>1 のとき
-a+√(a²-4b)>2 , -a-√(a²-4b)>2 これを並び替えると
√(a²-4b)>2+a , -√(a²-4b)>2+a
このとき、√(a²-4b)≧ -√(a²-4b) は自明だから、後者だけ成立すればよい。
まず、左辺は0以下だから 2+a<0、つまり、a<-2 ・・・②
上の両辺が負であることに注意(不等号の方向)して2乗すると
a²-4b<4+4a+a² → b>-a-1・・・・③
これで、①②③から図のように、領域ABCが指定できた。ABの線は含まれるが、BCの線とB点は
含まれない。
3. x₁<-1 , x₂<-1 のとき
-a+√(a²-4b)<-2 , -a-√(a²-4b)<-2
これも上の2項と同様に議論できるが簡便のため、両辺に(-1)を掛けて変形すると
-(-a)-√((-a)²-4b)>2 , -(-a)+√((-a)²-4b)>2
となって、2項の条件で、a→(-a)としたものと同じだから、2項の結論の領域とb軸に対称な
a>2 側にある領域 DEFとなる。
4. x₁>1 , x₂<-1 のとき
-a+√(a²-4b)>2 , -a-√(a²-4b)<-2 後者を変形して
-a+√(a²-4b)>2 , a+√(a²-4b)>2
(1) a≧0 のとき・・・④
a+√(a²-4b)≧-a+√(a²-4b) は自明なので -a+√(a²-4b)>2 だけ
満たせばよい。2+a>0なので、-aを移行して両辺を2乗すると
-4b>4+4a → b<-a-1・・・・⑤
したがって、①④⑤により、領域GHIが求まる。
(2) a<0 のとき・・・・⑥
同様に、a+√(a²-4b)>2 だけ満たせばよい。2-a>0 なので、aを移項して、2乗すると
-4b>4-4a → b<a-1・・・・⑦
したがって、①⑥⑦により、領域GHJが求まる。
(1)(2)まとめて、IHJの領域がもとまり、IHJのオレ線は含まれない。
5. x₁<-1 , x₂>1 のとき
-a+√(a²-4b)<-2 , -a-√(a²-4b)>2 前者の両辺に(-1)を掛けると
a-√(a²-4b)>2 , -a-√(a²-4b)>2 となる。さらに
a≧a-√(a²-4b)>2 , -a≧-a-√(a²-4b)>2 つまり a>2かつ、a<-2
となり、このような aは存在しない。以上ですべての条件と領域が求められた。
6. なお、B,E点で、直線は放物線の接線となっている。それは1項で b=a²/4, b=-a-1 からbを
消すと、(a+2)²=0となって、交点が重根となることからも明らか。

以上