Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

Billy Joel

2006年07月19日 | diary
 ビリー・ジョエルを何枚か聴いた。『52nd Street』とか。やっぱりよかったりする。

 ビリー・ジョエルといえば、僕の世代にとっては、洋楽の入口的役割を果たしたアーティストだった。“Honesty ”や“Just the Way You Are”などは、ビートルズの“Yesterday”や“Let It Be”、S&Gの“Bridge Over Troubled Water”や“Sound of Silence”、イーグルスの“Hotel California”などに匹敵する存在感を放っていた…ような気がする。FM雑誌なんて言うともう隔世の感があるけど、熱心な音楽ファンは、自分の好きな曲をエアチェック(なんて言葉さえ隔世的だけど)するためによく買っていたもので、そんな各誌の人気投票でもビリーはことごとく第一位だった。年間ベスト・アルバムに『Nylon Curtain』が選ばれていたのもよく覚えている。

 さすがにそんな時期は長くはつづかなかったけど、ちょうど僕が中学に入学して卒業するまではそんな感じだった。友達はみんなビリー・ジョエルのことが好きだったし、悪く言う人は(少なくとも僕の周りには)いなかった。新曲が出るたびに、「聴いた?いい曲だよねー」と言い合ったもので、“Uptown Girl”なんて、それはもうとても人気があった。

 ビリーの新作が出ても買わなくなったのはいつ頃だったか?よく覚えてないけど、彼の古いレコードは折に触れてターン・テーブルにのせつづけた。けっして頻繁ではないけれど、それは今でもつづいている。

 ビリー・ジョエルの歌に、僕は非常に個人的なノスタルジーを感じる。友達と話したことや、そのときのクラスの雰囲気や、学校からの帰り道に見た夕焼けの美しさなどを、僕はビリーの歌を聴くと思い出す。でも、もしそれだけの意味や価値しかない音楽なら、今まで聴きつづけることはなかったと思う。

 ビリーが歌う美しいメロディや、ほどよくパンチの効いたヴォーカルや、そこそこ垢抜けたサウンドは、時代の流れを上手に乗り越えて、今も新鮮な息吹をたたえている。それはきっと、彼の卓越したソングライティングの手腕によるものなのだろうし、言葉は悪いかもしれないけど、どこか中庸的なセンスの賜物なのかもしれない。そして、それらの歌は確実に、僕に音楽を聴く楽しさを教えてくれた。

 うまく言えないのだけど、とにかくビリーは30年以上という年月に絶えうる素晴らしい曲をたくさん作り、歌ってきた。そして、個人的な想い出をこえて、自分の世代が共有してきた音楽のひとつの象徴として、僕の音楽体験の入口に彼のようなアーティストがいてくれたことを、僕は嬉しく思っている。