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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語コラム(07)

2006年01月26日 | コラム
英語圏から来た外国人の方々で、日本語を習得する上で困難を感じるのは、やはり、漢字だと言われることが多いですね。韓国語にも漢字はあるんですが、読みは一定していて、いわゆる、「訓読み」、という読み方はありません。

でも、しかし、日本語には、「訓読み」と「音読み」の2通りがあるから、読みに関しては、学び取るのに単純に2倍のエネルギーが必要ということになります。 (おそらく、2倍以上でしょうけど。)よく考えてみると、日本語ほど文字体系が豊かなコトバも珍しいと思います。「平仮名」、「カタカナ」、「漢字」、とあり、それらを読むときには英語と違って、単語と単語の間にスペースがないから、どこで、名詞、助詞、動詞、助動詞、などといった構成要素を判別したらよいのか、判断がとても難しいんですね。

比較的、日本語との類似点が多いとされる韓国語ですら、「分かち書き」と言って、文節ごとにスペースを入れる表記法になっています。

自分たちにとって、日本語が母語であるということは、日常的に身に付けていて当たり前の能力を用いているわけだから、その難しさを認識すること自体がとても難しく、外国語として日本語を学んでいる人たちの苦労を聞かされて、初めて、日本語のハードルの高さがわかることって多いような気がします。

それは、やはり、初学者は、初めは解説本を使って学ばねばならないのに、目で得られる情報がいきなり難しすぎるということから来るもの。自分はどうやって日本語を読めるようになったんでしょうね。

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英語コラム(06)

2006年01月26日 | コラム
英語のリスニングって、難しいッスね。原因は多岐にわたるんですけど、一番多いと思われるのは、「音」の聞き取りと「意味」の解釈とがうまくシンクロしない、というものです。そこで、英語の音声が物理的に聞き取れないと思っているヒトは多いんですが、そんな方は、要注意です。

実は、物理的な音声自体は、そこそこ聞き取れてはいるんだけど、その瞬間に、意味の解釈が完了せずに次の文に移ってしまい、前に聞いた文に対して、整理ができてない状態で、どんどん文が先に進むから脳内でパニック状態になる、というケースの方が圧倒的に多いんですね。

逆に、解釈が瞬時にできるような表現に対しては、かなりいい加減に聞いていても意味がわかってしまいます。聞き取りは、慣れていくに従って聞いたことのある表現が増えていきます。すると、部分的に聞き取れなくても、脳内補完を自動的に行い、埋め合わせ、聞き取れていない表現でも想像で補う、という作業でこなせてしまうんです。

実は、日本人による日本語の聞き取りでも、同じことをよくやっているんですね。本当は、物理的な音としては聞き取れていないんですが、無意識のうちに、自分でよく使っている表現をストックしてある、言わば、「脳内リスト」から、推測によって、適合しそうな語彙を選び出して埋め合わせを行うというものです。

相手の発話から推測するに、適合しそうな表現の「照合」を行って、この文脈なら、この語彙を当てはめれば、意味的におかしくない。どうやら、今こう言ったのだな、と判断するわけです。そして、母語の場合、この作業は瞬時に行われます。

これがヒトの会話の流れの正体で、リスニングが難しいというヒトは、実は、「脳内リスト」の量が、まだまだ不十分なものだから、「照合」作業には十分に耐えられない、というわけです。だから、その場の、物理的な音声の聞き取りのみで、英語をわかろうとするのではなく、発話表現の音声パターンを、「句」単位である程度ストックしておいてから聞き取るようにするのが、実は、会話における自然な聞き取り (?)、ということになるんですね。

そこで、「単語」単位ではなく「句」単位、といったのは、イントネーションによって全く違った単語に聞こえていた、というものや、3語だなと思って聞いていたら、実は、5語だった、というようなことと関係しています。これは、「リエゾン」 (隣り合った単語の音が融合して、同化現象を起こすことです。) を、少し勉強すれば、何とか対応の仕方がわかってきます。

そして、音調は、実は、文法の影響もかなり関与しているということがありますので、やはり、多少は、多角的な学習も意識することがポイントになってきます。(EG48参照)

●関連 :EG48  

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英語コラム(05)

2006年01月26日 | コラム
EC04の続きです。学校で習う英語で、実用性がないと思われる表現をもう1つ。‘The game had no sooner started than it began to rain.’「試合が始まると、すぐに雨が降り出した。」、です。もちろん、これは、同じ意味を表現するなら、‘As soon as the game started it began to rain.’、の方がはるかに実用的でよく使われます。

この手の、「~ すると、すぐに ・・・」を表現する英語は、もう、とにかくいっぱいあって、枚挙にいとまがありません。‘scarcely/hardly ~ when/before ・・・’も、そうなんですけど、これは、‘no sooner ~ than ・・・’、とは、構文的には全く同じ使い方をします。

ただし、‘no sooner ~ than ・・・’とは違って、前半部分の、‘scarcely/hardly ~’と、後半部の、‘when/before ・・・’、におけるそれぞれの組み合わせは、自由だから、‘no sooner ~ than ・・・’、と合わせると、実に5通りの表現になるんですね。一応、列挙しますと、①・‘scarcely ~ when ・・・’、②・‘scarcely ~ before ・・・’、③・‘hardly ~ when ・・・’、④・‘hardly ~ before ・・・’、⑤・‘no sooner ~ than ・・・’で、合計、5通りになります。

これら、① ~ ⑤の表現は、構文的には全く同じ使い方をする、と言いましたが、前半部分、つまり、‘scarcely/hardly ~’、または、‘no sooner ~’、の使い方には、同じクセがあって、必ず「過去完了形」‘had+過去分詞’を用いなければなりません。

さらに、この、前半部分の、‘had+過去分詞’は、「倒置」 (語順変更のこと) を起こすパターンも、教えることになっていて、‘No sooner had the game started than it began to rain.’、のように使ってもOKなんですね。

けど、しかし、ここまで複雑で、とにかく、記憶するのに苦労する構文なんですけど、その割には、非常に実用性に乏しい表現なんであります。ホントに、死ぬまでに、何回、お目にかかれるんだろうかと思うと、こんな構文、真剣に覚えようなんて気にならない方が普通なんですね。(もう、覚えちゃってる自分としては、損した気分ですが。)

逆に、実用性があるのに、何かの偶然でもなければ、なかなか教えてもらえない表現は、‘right after ~’で、これは、‘as soon as ~’の位置に、そのまま置きかえればよいだけです。使い方も、‘as soon as ~’、と同じだから簡単です。実際、何度も見かけますし、自分もジャンジャン使っています。

実は、「~ すると、すぐに ・・・」の英語表現はシリーズ化してもよいくらい、まだまだいっぱいあるんですけど、もうイヤになるからやめときます。結構、素人目から観ても、昔よく覚えたな~、けど全然使わないよね~、という表現は、いっぱいあると思います。こういう表現を、どうしても教科書に残しておかなければならない理由って、何なんでしょうか。せめて納得のいく理由でも聞かせてもらえたら、ちょっとは救われます (泣)。

●関連: EC04

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英語コラム(04)

2006年01月26日 | コラム
本屋さんで、立ち読み。英語の学習参考書に目を通してみました。‘A whale is no more a fish than a horse (is).’「ウマが、魚でないのと同様に、クジラも、また魚ではない。」、という例文で、‘no more ~ than ・・・’「・・・ と同様に ~ でない」、という長年にわたって、「クジラの公式」、と呼ばれている伝統的な構文があります。

ただ単に、自分の経験不足のせいなのか、今まで、一度たりとも、この構文を用いた英語をしゃべっている英語話者を見たことがないんですね。学校で習う英文法は、よくできていると思うんですが、ごくたまに、本当に学習する必要があるんだろうか、と思うような表現が存在します。

「クジラの公式」は、自分の中では、未だにその存在理由が明らかになっていない構文のひとつで、知っていればいつかは使う日が来るんだろうなと思って、覚えておいてはいながらも、結局は、毎度もっと簡単な表現で似たような文を表現してしてしまいます。

例えば、‘A whale is not a fish as well as a horse.’、というように、‘as well as ~’「~ と同様に」、の方を圧倒的によく使うし、また、他人もよくこっちの方を使っているのを見かけるから、どうしても、「クジラの公式」を知っていなけりゃならないという必然性が感じられません。 (もっとも、実用性を度外視すれば、「教養」にはなると思いますけどね。)

それでも、高校で、「クジラの公式」を習うのは、やはり、受験対策に必要だからでしょうかね。 「使える英語」、という観点から教えるんなら、もっと他に知っていなければならない構文や、表現はあると思うんですけど、現場の英語教師さんたちは、どう考えているんでしょうか。(文部科学省に言ってやってくれ、って感じですかね。) いつかチャンスがあったら、訊いてみたいと思います。

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英語コラム(03)

2006年01月26日 | コラム
街角で、急に外人さんに話しかけられて道を訊かれたりすると、心拍数がバクバク上昇してしまい、どうしてもアタフタしてしまう人は多いんですね。そんなときに備えて、初心者の方は英語の「疑問文」をある程度覚えておくとよいかも知れません。

と申しますのも、会話というものは、「尋ねられて、答える立場」になるよりも「尋ねて、答えさせる立場」になる方がよっぽどラクだからです。

例えば、道を尋ねられても、最初は、‘Please speak more slowly.’「もっと、ゆっくり、しゃべって下さい。」、とでも言っておいて、なんとか相手にゆっくりとしゃべらせるようにします。あとは、‘Do you know ~?’という、「疑問文」を使って、相手が目的地に辿り着くまでの情報を、どのくらいもっているのかできるだけ多く聞き出します。

大体は、信号や何らかの建物を基準にして、真っ直ぐ行ったり曲がったりの繰り返しだろうから、‘Go straight until ~.’「~ まで、真っ直ぐ、行って下さい。」と、‘Turn right (left) at ~.‘「~ で、右に (左に) 曲がって下さい。」、という風に、進行手順を繰り返せばOKです。あとは、歩いていく時間などを、‘It's about ten minutes.’「着くまでに、10分くらいですね。」、などと答えるのは簡単だから、最後に教えてやればよいと思います。

こちらから「疑問文」を発して、さっと切り返し、「尋ねる・答える」、の立場を逆転させると、こちらは多くをしゃべらなくて済むから、初心者の方はあんまりストレスを感じなくて済むんじゃないでしょうか。

英会話は、どうしても、駆け出しの頃はこちら側のカードが少なくて、外人に接触するのが、おっくうになりがちだから、最初のうちは、このやり方で当面の間通す、という風にすれば、ネイティヴ恐怖症も次第に自己改善されていくと思いますよ。

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英語コラム(02)

2006年01月26日 | コラム
いきなりですが、英語のことわざです。‘Practice makes perfect.’「習うより慣れよ。」、というコトバが、英語学習では頻繁に耳にする効果的な学習法のひとつとされています。しかし、ただ、「慣れる」、と言っても、一応基本的な英語習得の「手順」というのはあるもので、ただ闇雲に、暗唱例文の丸暗記をしてみたり、アメリカやイギリスの映画を字幕なしで何度も観たりでは、ちょっと無謀な学習なんじゃないか、と思ってしまいます。

でも、あまりにも、この‘Practice makes perfect.’の精神を説く方たちに、どこに行っても出会うものだから、ちょっと、ホンマかいな。んなら、いっちょ、やってみよっかな~、なんて、魔がさしたわけですね。んで、この無謀とも思えるやり方を、自分自身を人柱に使って実験してみたことがあります。でも、英語は既に長年やっている外国語だから実験素材にならないんで、そこで、全く新しい外国語として、「韓国語」を選んでみたわけです。

まず、「100円ショップ・ダイソー」で、韓国語の例文集とそれに対応しているCDを計210円 (税込み) にて購入。これで準備完了。(って、究極の、どケチ精神。) んで、 その教材の中身は、ただ何の説明もない、対応する日本語訳が付いてるだけのもので、あとはCDの音声があるだけです。んで、ただ、家にいるときは、繰り返し繰り返し「読むだけ&聞くだけ」。クルマの運転してるときは、ちょっと危ないんで、「読むだけ」を抜きにして、繰り返し繰り返し「聞くだけ」。

これで、ほぼ1ヶ月の間、韓国語の学習を続けてみたんですが、予想通りというか何と言うか、効果は全くと言ってよいほどありませんでした。もう、何を言ってるんだか、さっぱりわからず、とにかくストレスの連続なんですね。当たり前だってば。(2ヶ月なら、わからんぞ、なんてツッコミは、なしにして下さい。)

そこで、ちょっと妥協しまして、単語だけは別に調べて覚えておいてから、それ以外は同じやり方で、またしばらく続けたんですね。でも、やっぱりダメでしたね。ちょっとした短い文ですら、アタマに入ってこないんです。で、次にとった方法は、例文の中で、該当する文法項目を、韓国語学習に関するインターネットの優良HPで調べてから、再度トライする。ん?おお、意外と簡単にわかるぞ。なかなか例文がアタマに入りやすい。

やはり、文法のレベルまで、前もって学習しておかないと、ただ慣れるだけの学習は何倍もツラいことが実体験でわかりました。

この世の中、英語が好きなヒトでさえ、文法だけはキライだ、というケースが圧倒的に多いんですが、しかし、文法嫌いの英語好きは、やはり、学習効率が悪く、すぐに実力が停滞してしまうように感じます。何が何でも「チカラ技」 (ただ、「慣れる」やり方) だけで勝負するというのは、絶対に無理があると思います。

「技術」 (この場合、「文法」) も、同時に身に付けなければ、効率の良いストレスの少ない学習は不可能でしょうね。「文法アレルギー」は、何としてでも早期治療が重要です。

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英語コラム(01)

2006年01月26日 | コラム
英語の勉強に苦しんでいる方々は、世の中、ワンサカいると思います。日本語と英語は、相性がかなり悪いコトバだから、日本語話者が、英語特有の言い回しや発音に付いていくのは困難を極めます。

英語学習困難のよくある原因の中で、とりわけ語順は筆頭に上がりやすいですね。英語の場合は、‘I love you.’を文法の基本文型で言うと、‘I (S)+love (V)+you (O)’ となり、‘S+V+O’、の語順になります。しかし、一方、日本語は、「私は、あなたを愛しています。」を基本文型で言うなら、「私は (S)+あなたを (O)+愛しています (V)」、だから、‘S+O+V’の語順が基本ということになります。

こういった語順の問題は、英語学習者の間ではよく話題になるようですが、しかし、自分の見解では、この語順の学習過程でさほど苦労している人を見たことがありません。ちゃんと‘S+V+O’の語順を守って、英語をしゃべっている人の方が圧倒的に多いんですね。

ちょっと考えてみても欲しいんですが、どうしても、 ‘I you love.’、つまり、‘I (S)+you (O)+love (V)’、となってしまい、これがなかなか直らない人なんて本当にいるんでしょうか。おそらく、語順に苦労させられるというのは、もっと高度な次元の問題だと思うんですが、それにしても、英語と日本語は、どちらも、主語が文の先頭にくるとか、形容詞が名詞にかかる場合のみ同じ語順になる、などの例外を知って、あとは日本語とは、大まかにほぼ逆の語順だと覚えておけば、さほど苦労はしないと思うんですが。

一般的に、ヒトはある事柄に対して、統一的な規則性なり法則性を見抜いたならば、それをマスターするのは、結構得意で、さして難しいこととは思わない生き物なのだから、練習によって慣れてしまえば、何てことはないと思います。

むしろ規則性の見えてこない要素に難しさがあるのであって、記憶しなければならない単語の数が膨大だとか、文化の違いとしか言えないような、日本人にとっては馴染みの薄い表現法などが本当の原因なんだと思われます。

英語学習法は色んな紹介例があるけど、やはり外国語は五感をフルに使って、継続的に学習するのが最も効果的だと思います。要するに、可能な限り、目や耳や口を同時に使って、「運動」をするような感じで慣らしていく、というもの。継続的にできるかどうかは、まあ、本人の根性の問題だとして、五感を使っての学習の方は、まず、環境が大切ですよね。

やはり、英語圏に住み着くのがベストですけど、これは万人向けではないから、やはり、英会話学校に通うなどして、ネイティヴと接触することによって、定期的に五感を刺激するしか方法はないようです。解説本などによる、文字からだけで記憶するやり方だと、なかなか身に付いていかないから、ある程度の基礎学力 (高校で習う内容程度の学力) がついた時点で、このやり方にシフトしていかないと、「読み」だけしかできないネイティヴ恐怖症の持病を抱えたままの英語人生を送るハメになってしまいます。

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英語学習法(108)

2005年11月28日 | 比較
EG107の続きです。比較の構文‘-er than ~’です。以下、見ましょう。

(1)John is more careful than Tom. (ジョンはトムよりも注意深い。)

(1)の文は、‘more’+‘careful’(‘much’→‘more’の変化) の成り立ちになっていますが、文字通り、注意深さという点では、ジョンの方が、トムよりも上であるという関係、つまり、‘John’>‘Tom’の関係を表現しています。

(2)John is less careful than Tom. (ジョンはトムよりも注意深くない。)

今度は(2)ですが、ちょうど、‘more’「より上、より多く」の反対になる表現、‘less’「より下、より少なく」(‘little’→‘less’の変化) を使っています。そこで、(2)の場合、‘less careful’「注意深さが、より下」、と言っているわけですから、注意深さという点では、ジョンは、トムには及ばないという関係、つまり、‘John’<‘Tom’の関係を表現しています。

(3)more than ten girls (女の子10人より上 → 11人以上の女の子)
(4)ten girls or more (= ten or more girls) (10人、または、より上 → 10人以上の女の子)

そこで、(3)と(4)ですが、これらのコントラストから、ハッキリわかることは、(3)のように表現した場合、明らかに、女の子が10人の場合は含まれていない、ということです。‘more than ~’は、正確な日本語訳の場合、「~ 以上」とはならず、「~ より上」なわけですから、結局は、女の子11人以上でなければなりません。

ですので、‘more’を使って、女の子10人を含む、「10人以上」を表現したい場合、(4)のように、予め、別に、‘ten’「10」という数字を出した上で、‘~ or more’「~ または、(それより) 上」と表現しなくてはならないわけですね。このような表現のやり方は、日本語の立場からすると、ちょっと意表を突くものだと言えそうです。今度は、否定文を見ましょう。

(5)John is not more careful than Tom. (ジョンは、トムより注意深くない。)
(6)John is not less careful than Tom. (ジョンは、トムより注意深くないということはない。)

(5)は、(1)の否定文であり、一方、(6)は、(2)の否定文です。単純なことですが、‘not’が含まれることによって、(5)における‘John’と‘Tom’の関係は、注意深さという点では、‘more careful’ではない、つまり、「‘John’>‘Tom’ではない」、ということになりますから、結果的には、‘John’≦‘Tom’である、と言っていることになります。

そして、(6)に関しても、同様に単純なことですが、‘not’が含まれることによって、‘John’と‘Tom’の関係は、注意深さという点では、‘less careful’ではない、つまり、「‘John’<‘Tom’ではない」、ということになりますから、結果的には、‘John’≧‘Tom’である、と言っていることになります。

そこで、‘not’が含まれている(5)と(6)で表現されていることを、客観的に言いかえるならば、(5)の場合、精々、ジョンとトムの注意深さは、同等であるか、または、トムの方が上である、と言っているわけです。一方、(6)の場合、精々、ジョンとトムの注意深さは、同等であるか、または、ジョンの方が上である、と言っているわけです。

このことからもわかるように、比較の構文‘-er than ・・・’や、‘more/less ~ than ・・・’を用いた比較の構文は、「同等 (=)」の解釈が含まれておらず、ある点において、お互いの優劣をハッキリとさせる解釈のみしかないのがわかります。これは、‘-er than ・・・’や、‘more/less ~ than ・・・’の最も基本となる概念なので、必ず押さえておかなければならないものです。あと、ややカタチの上での変則例を紹介しておきます。

(7)John is the more careful of the two. (その2人では、ジョンの方が注意深い。)
(8)Mary is the older of the two sisters. (その2人姉妹では、メアリーの方が年上 (姉) だ。)

(7)や(8)にあるように、‘-er’や‘more ~’の後にくるのは、‘than ・・・’と決まっているわけではありません。‘than ・・・’の場合は、「比較の相手」となる、もう片方のみが表現されますが、一方、‘of ・・・’の場合は、「2つの内で」や、「2人の内で」、というような、自分と相手を足し合わせた、2つから成る、「集合」の表現がきます。この‘of ・・・’の後には、2つから成る表現しかこないので、もちろん、‘of the two (~)’とおぼえてしまえばよいわけですね。

あと、(7)や(8)の構文の特徴として、なぜか、‘the more ~’や、‘the -er’のように、‘the’が付きますが、これは、「~ の中で」というような、ある集合の存在が前提となっている状況で、その集合中、「唯一的」とされるものには、‘the’をつける、という一般法則からくるものです。‘two’「2」という最小の集合の中で比較が行われれば、どちらか一方が排除された時点で、必然的に、残りが唯一のものになりますから、‘the’が必要になる、というわけですね。

(9)You study harder. (より頑張って勉強する。)
(10)You become smarter. (より賢くなる。) 

(11)The harder you study _、the smarter you become _.
  (勉強すればするほど、賢くなります。)

今度は(11)ですが、「‘the -er ~’ (前半の文)+‘the -er ・・・’ (後半の文)」のカタチで、「~ すれば、その分だけ・・・だ」、の意味になるものです。(9)の‘harder’に‘the’を付けてから、文の先頭に移動させ、一方、同様に、(10)の‘smarter’に‘the’を付けてから、文の先頭に移動させれば、(11)のような文が完成します。

(12)You become (the) smarter、the harder you study _. (訳同(11))

ところが、(12)のように表現しても、(11)と同じ意味を表すことができます。(12)と(11)を比較して明らかなことは、前半の文と後半の文が入れかわって、順序が逆になっているということです。そして、‘the -er’の移動が、(9)に相当する文 (「~ すれば」の側) でしか起こっていないということです。ちなみに、移動がない方の文では、‘the’は、あってもなくても構いません。

このように、‘the -er’が、片方の文では移動するが、一方、もう片方の文では移動しない、というようなことが起こることで、前半の文と後半の文が入れかわって、順序が逆になっているということを示すことができます。もし、これがないと、「賢くなればなるほど、勉強します」、の意味に取られてしまいますからね。

(13)The sooner、the better. (早ければ、早いほど良い。)
(14)The more、the better. (多ければ、多いほど良い。)

あと、(13)や(14)のように、単独の‘the -er’同士をつないで、「‘the -er’+‘the -er’」のカタチにして使うこともよくやります。複雑な(11)や(12)に比べると、随分と単純なので、このような使い方は、とても便利ですね。

今回のポイントは、比較の構文‘-er than ・・・’の基本的な概念を理解することと、そこから生まれた派生的な構文の一部を紹介した、ということです。今回扱ったようなことも、学校で習うようなことと、大きな違いはありませんが、いずれも、なかなか使用する機会は多いと思われるものです。今回扱った内容以外にも、まだまだ扱うべきことがありますので、またの機会です。

●関連: EG107

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英語学習法(107)

2005年11月26日 | 比較
比較の構文です。今回、基本的なことですが、‘-er than ~’「~ よりも」というカタチについてです。以下、見ましょう。

(1)John is tall. (ジョンは背が高い。)
(2)John is taller than Tom. (ジョンはトムよりも背が高い。)

(1)の‘tall’「背が高い」の語尾に、(2)では、‘-er’というカタチが加わっています。さらに、その後で、‘than Tom’という表現が続いています。この‘-er than ~’のカタチを使って、(2)のように表現することで、「~ よりも」という、英語では、最も一般的に使われる比較の文を表現することができます。ちなみに、‘taller’は、「形容詞+‘-er’」ですが、「副詞+‘-er’」も可能です。

(3)John runs fast. (ジョンは速く走る)
(4)John runs faster than Tom. (ジョンはトムよりも速く走る)

(3)の‘fast’「速く」は、意味的に、動詞‘run’「走る」にかかっています。さらに、‘run’「走る」は、自動詞としての扱いを受けますので、目的語を取らないとされます。ですので、(3)の‘fast’は、もちろん、目的語ではなく、動詞にかかる副詞として使われています。 (EG39、EG40、参照)

そこで、(4)では、「‘fast’+‘-er’→‘faster’」となることに加えて、‘than Tom’を後に続けることで、「トムよりも速く」という表現が可能になります。これだけで、「~ よりも」という、比較の構文が完成するわけですから、かなり簡単な部類に入りますね。ただし、カタチとしては、形容詞や副詞の語尾に‘-er’がつくのではなく、単語の前に‘more’を置いて、‘-er’のかわりにする場合もあるので、この点、注意が必要です。

(5)Mary is more beutiful than Susan. (メアリーはスーザンよりも美しい。)
(6)John drives more carefully than Tom. (ジョンは、トムよりも注意深く運転する。)

ところで、この‘more’ですが、形容詞や副詞の前に置かれるだけでなく、単独で使われる場合もあります。実は、‘more’は、単語しては、原形ではなく、活用形のカタチであり、そのもととなる単語が2つあって、それは、‘many’である場合と、‘much’である場合があります。

(7)John has many books. (ジョンは本をたくさんもっている。)
(8)John has more books than Tom. (ジョンは、トムよりも本を多くもっている。)

(9)John loves baseball very much. (ジョンは、野球をとても愛している。)
(10)John loves baseball more than soccer. (ジョンは、サッカーよりも野球を愛している。)

(7)の‘many books’をもとに、(8)では、‘more books’と変化しています。一方、(9)の‘much’は、(10)では、‘more’と変化しています。あと、注意点ですが、比較の構文‘more’の変化によって、この‘more’の強調をしたい場合、‘very’が使えなくなる、という約束事があります。そこで、「‘many’→‘more’」の変化、「‘much’→‘more’」の変化に対応して、それぞれ、‘many’と‘much’が、‘very’の代わりとなる強調表現にシフトします。

(11)John has very more books than Tom. (×)
  (ジョンは、トムよりも、はるかに本を多くもっている。)
(12)John has many more books than Tom. (○) (訳同上)

(13)John loves baseball very more than soccer. (×)
  (ジョンは、サッカーよりも、はるかに野球を愛している。)
(14)John loves baseball much more than soccer. (○) (訳同上)

(11)では、‘very more ~’がアウトになっていますが、数えられる名詞の複数形‘books’につく‘more’には、その原形である‘many’が、強調表現としてシフトし、(12)にあるように、‘very’の代わりを果たします。一方、(13)でも、‘very more ~’がアウトになっていますが、‘love’「愛する」にかかる‘more’には、その原形である‘much’が、強調表現としてシフトし、(14)にあるように、‘very’の代わりを果たします。

次に、英語の単語が語形変化する際の特徴です。こういった単語の活用には、よくありがちなことですが、比較の構文‘-er’にも、やはり、あの厄介な、いわゆる、不規則変化というものがあります。この場合も、一般的な傾向として言えることですが、よく使われる単語ほど、不規則変化の対象となっています。もちろん、暗記する以外に方法はありませんが、数は、ほんのわずかです。

(15) good (良い) → better (より良い)、 well (よく) → better (よりよく)、
    bad (悪い) → worse (より悪い)、ill (病気の) → worse (より病気の)、
    little (少し)→ less (より少し)、その他

そして、これもよく解説されることですが、語形変化が、比較の意味に応じて、カタチが2種類に分かれることがあります。1つの例として、‘late’「遅い、遅く」は、意味的に、「時間」が遅い場合と、「順序」が遅い場合がありますが、それぞれの意味に応じて、カタチが異なる変化をします。

(16)three years later (その時から見て、3年遅い時期に → それから3年後に)
(17)the latter half of the game (ゲームの順序で後の半分 → ゲームの後半)

(16)では、「‘late’→‘later’」の変化であり、一方、(17)では、「‘late’→‘latter’」の変化となっています。ちなみに、(16)の‘later’の前についている、‘three years’「3年」は、程度の副詞表現であり、‘later’「より遅く」が、どの程度なのかというと、3年という程度で、という意味になります。 (EG40、参照)

今回のポイントは、比較の構文‘-er than ~’「~ よりも」の、最も基本的な理解です。語形変化に重点を置きましたが、概ね、学校などで教わるとおりの理解で、基本的な表現は問題なく使えるようになります。また、続きは次回にやりたいと思います。

■注 :語尾に‘-er’をつけるか、それとも、前に‘more’を置くかは、概ね、音節を目安にするのが、一般的です。3音節以上の単語には、‘more’がつきますが、2音節の単語だと、‘-er’と‘more’の、どちらもあり得るケースが少なくありませんし、これらの選択基準は、個人差もあります。こういった基準を、あえて、感覚的に言うならば、「単語の発音上の長さ」、ということになりますね。

●関連: EG39EG40

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英語学習法(106)

2005年11月16日 | 比較
EG105の続きです。比較の構文‘as ~ as ・・・’です。以下、見ましょう。

(1)John is careful. (ジョンは注意深い)
(2)John is as careful as Tom. (ジョンはトムと同じくらい注意深い。)

(1)をもとにして、(2)のように、‘as Tom’「トムと同じくらい」を、後半に付け足した文をつくります。すると、(2)では、‘careful’の前に、もう1つの‘as’を付け足すことになります。ですので、「・・・ と同じくらい ~ だ」という意味をもった文をつくろうとすると、結果的には、‘as ~ as ・・・’というカタチになります。

(3)John is not as careful as Tom. 
(4) a. ジョンは、トムと同じくらいの注意深さではない。 (×)
   b. ジョンは、トムほどには注意深くない。 (〇)

今度は、(2)に‘not’を加えて、(3)のような否定文にしてみました。そこで、(3)の解釈として、(4a)と(4b)のような日本語訳が候補となりますが、何と、(4a)はアウトで、一方、(4b)がOKである、ということなんです。そこで、(4a)では、ジョンとトムは、同じ程度に注意深い、ということではない、と表現しているわけですね。しかし、一方、(4b)では、注意深さという点では、ジョンはトムには及ばない、と表現しているわけです。

これは、比較の構文‘as ~ as ・・・’における、ちょっとした盲点と言えそうです。そもそも、単純に考えるならば、「同等 (=)」の否定は、ただ単に、「同等ではない (≠)」ということですから、(4a)のような解釈は、しごく真っ当なもので、真面目に考えれば、(4a)がアウトになるはずはない、と考えたくなります。

つまり、(4a)が表す意味は、ジョンとトム、それぞれの注意深さは同等ではないと言っているだけで、要は、ジョンの方がトムより注意深い (‘John’>‘Tom’) かも知れないし、または、その逆で、トムの方がジョンより注意深い (‘John’<‘Tom’) かも知れない、ということになり、結局、単純に、「同等ではない (≠)」と述べるのみにとどまる解釈です。

その一方で、(4b)がOKになっていますが、こちらの解釈は、明らかに、トムの方がジョンよりも注意深い (‘John’<‘Tom’)、という、お互いの優劣がハッキリする解釈になっています。この(3)において、(4a)がアウトになり、(4b)がOKになる解釈の妥当性は、通常の否定文の解釈という観点からは、明らかに、「言い過ぎ」となるものです。と言いますのも、‘not’が独自にもっている否定の役割は、まさに、文そのものを否定するだけ、というものだからです。 (‘not’の基本的な役割については、EG32、EG36、参照)

ですので、ここは、どうやら発想そのものの転換が必要になりそうです。つまり、比較の構文‘as ~ as ・・・’は、実は、一般的に教わるような、「同等 (=)」解釈のみが許されるわけではない、という考え方です。では、以下を見ましょう。

(5)John is as careful as any boy.
(6) a. ジョンは、いかなる男の子とも同じくらい注意深い。 (×)
   b. ジョンは、いかなる男の子よりも注意深い。 (〇)

(5)に対する解釈としては、(6a)がアウトで、(6b)がOKとなります。そこで、(5)は、常識的に考えれば、可能な解釈が、多少わかりやすいと思います。つまり、(6a)のように、ジョンは誰と比べても同じ程度に注意深い、と考える場合、すなわち、ジョン以外の男の子が、全て同等の注意深さをもっているという、常識的にあり得ない状況を想定しなければ、(6a)の解釈など成立するはずがありません。しかし、普通、ヒトの注意深さなど、千差万別で、差があるのが当たり前ですから、(6a)の解釈は常識的にあり得ません。

しかし、それにもかかわらず、英語として、(5)はOKの文なんです。これは、もちろん、可能な解釈として、(6b)がOKだからで、つまり、お互いの優劣がハッキリする解釈です。ここで、もし、比較の構文‘as ~ as ・・・’が、「・・・ と同じくらい ~」の解釈しか許さないとガッチリ決められている構文ならば、(6b)の解釈もアウトになるハズなので、そもそも、(5)のような英語そのものが、意味不明でアウトでなければなりません。

ですので、ここで結論として言えることは、比較の構文‘as ~ as ・・・’は、「・・・ と同じくらい ~」の解釈に加えて、実は、「・・・ よりも ~」の解釈もある、ということなんです。つまり、(5)の場合、常識から考えて、必然的に、(6a)の可能性は消えてしまいますので、その時点で、(6b)の解釈が浮上してきたもの、と考えられるわけですね。

そこで、この観点から、もう一度、(3)を考えると、実は、‘not’は、「・・・ と同じくらい ~ (‘John’=‘Tom’)」の解釈に加えて、「・・・ よりも ~ (‘John’>‘Tom’)」の解釈をも、同時に否定しているということになります。つまり、(4a)の解釈では、「・・・ と同じくらい ~ (‘John’=‘Tom’)」の解釈が消えただけなので、それだけでは、「言い足りない」、ということになってしまいます。

ですので、そこから、さらに、「・・・ よりも ~ (‘John’>‘Tom’)」の解釈をも消さなければなりません。すると、結果的に、‘John’<‘Tom’となる解釈しか残されていませんので、結局は、(4b)の解釈が、正しい (より正確な) 表現ということになります。つまり、(3)に対して、(4b)の解釈が正しくなる原因は、もともと、否定語‘not’の問題ではなく、比較の構文‘as ~ as ・・・’固有の問題だったわけですね。

今回のポイントは、比較の構文‘as ~ as ・・・’がもっている固有の意味は、実は、一般的な認識とズレがあるということです。‘as ~ as ・・・’を、「・・・ と同じくらい ~ 」である、とガッチリと固めて暗記してしまうことは、本来の‘as ~ as ・・・’の概念からすると、派生的な構文の解釈に関して、矛盾を引き起こしてしまう場合があるため、危険ですらあります。

しかし、ここで、また新たな1つの疑問が生じます。比較の構文‘as ~ as ・・・’を使った(2)の文は、なぜ、「・・・ と同じくらい ~ 」、という日本語訳のままでOKなのか、ということです。今回のお話からすると、(2)の日本語訳は、「ジョンはトムと同等、あるいは、トムよりも注意深い」、となってもよいハズなのに、(2)のような日本語訳は、むしろ定番となっているではないか、という疑問が残るわけですが、この問題は別の機会に扱いたいと思います。

■注 :(3)において、(4a)の解釈が、OKになる場合があります。ただし、この場合、文の「真・偽」を問題にしているのではなく、「ジョンは、トムと同じくらいか、あるいは、それ以上の注意深さだ、という言い方程度では不適切だ。」、というような、「適・不適」を問題にする意味になる場合で、特徴としては、前の方の‘as’にストレスを置いて、強く発音します。ですので、この解釈に限り、(3)のあとに、‘He is much more careful than Tom.’「彼は、トムより、はるかに注意深い (というのが適切だ)。」、というような表現を続けても、矛盾していることにはなりません。

●関連: EG32EG36EG105

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英語学習法(105)

2005年11月12日 | 比較
比較の構文についてです。‘as ~ as ・・・’という構文の基本です。以下、見ましょう。

(1)John is as tall as Tom. (ジョンは、背の高さがトムと同じくらいだ。)

(1)は、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい、~ だ」という表現が用いられて、‘John’と‘Tom’の背丈が同じだ、という解釈になるもので、中学校くらいで習う構文です。ですので、比較的、英語の構文としては、簡単な部類に入るものとして理解されています。

(2)John looks as old as Tom. (ジョンは、トムと同じくらいの年齢に見える。)
(3)Mary is as pretty as Susan. (メアリーは、スーザンと同じくらい、カワイイ。)
(4)This car is as fast as an airplane. (このクルマは、飛行機と同じくらい速いぞ。)

(2)~(4)を見たって、全て同様に、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい、~ だ」、という公式で当てはめて考えれば、OKですね。ですので、この‘as ~ as ・・・’を覚えて使いこなすのは、こんな感じで使っている分には、全く問題ないので、とても使いやすい表現だと言えます。

(5)John runs as fast as Tom. (ジョンは、トムと同じくらい速く走る。)
(6)Mary cooks as well as Susan. (メアリーは、スーザンと同じくらい料理が上手い。)

(5)や(6)も、同じ‘as ~ as ・・・’を使って、「・・・ と同じくらい、~ だ」、を表現していますから、その点、(1)~(4)と同じ部類に入る表現ですが、しかし、(5)や(6)のような表現は、ちょっとだけ、(1)~(4)とは、違うと言えそうな点があります。

それは、「形容詞」と「副詞」という品詞の違いです。(1)~(4)では、‘as ~ as ・・・’の‘~’の部分には、形容詞‘tall’「背が高い」、‘old’「老いた」、‘pretty’「かわいい」、‘fast’「速い」が含まれていますが、一方、(5)と(6)の‘as ~ as ・・・’の‘~’の部分には、副詞‘fast’「速く」、‘well’「上手に」が含まれています。

ですので、形容詞や副詞といった表現が、この2つの‘as’の間に挟まれて、「‘as’+形容詞+‘as’」や、「‘as’+副詞+‘as’」のカタチで、「・・・ と同じくらい、~ だ」、を表現している、と言えますね。

(7)John has books as many as Tom. (×) (ジョンはトムと同じくらい本をもっている。)
(8)John has as many books as Tom. (〇) (訳同上)

ところが、(7)はアウトで、一方、(8)はOKということです。(7)のような間違いは、よく文法の解説書でも指摘されているものです。‘as ~ as ・・・’の公式を覚えていて、‘~’の部分には、形容詞か副詞のどちらかしか入らない、と無意識のうちに決め込んでいるヒトには、ありがちな間違いだからですね。

OKである(8)の‘as many books as’には、‘many books’という「形容詞+名詞」のカタチが含まれています。このあたりから、‘as ~ as ・・・’の公式は、どうやら、使い方にコツが要りそうだな、ということがわかり始めます。そこで、以下のような文を見ましょう。

(9)John has books many. (×) (ジョンは、たくさん本をもっている。)
(10)John has many books. (〇) (訳同上)

(9)はアウトで、一方、(10)はOKですが、これらの文を、もとにして考えなければ、‘as ~ as ・・・’の公式は使いこなせない、ということなんです。つまり、OKである、(10)の‘many books’を出発点にして、それを、‘as’と‘as’で挟んでやらなければならない、ということですね。

そこで、(9)がアウトになるのは、‘many ~’が、「たくさんの ~」という意味で、名詞にかかる表現だからです。‘many’を副詞として解釈して、例えば、‘has’のような動詞にかかると考え、「たくさんもっている」としても、英語がこのような表現を許容しないコトバなので、勝手に想像をはたらかせて、(9)のような文をつくることは不可能です。

しかし、辞書などでは、‘as many as ~’「~ と同じくらい多く」、という表現は見られますので、単純に、この表現があると、どうしても、(7)のような文をつくってしまいたくなるんですね。これは、日本語の類推から出発するならば、ごく自然なプロセスでつくられる誤った英語です。

まず、(7)の、日本語訳を、「トムと同じくらい」+「ジョンは、本をもっている」という、2つに切ってから、英語を組み立てるやり方をやってしまうので、どうしても、‘John has books.’の方を独立した文として、先につくってから、後で、‘as many as Tom’を付け足したくなります。ですので、(7)のような誤った英語が多く見受けられるのは、それなりに秩序だった手順を踏んでいる、言わば、規則性のある間違い、ということになります。

この規則性のある間違いは、‘as ~ as ・・・’が、単純に、「公式」と呼べるほどには、熟成された体をなしていないことに原因があるもので、ここから、前の‘as’と、後の‘as’は、それぞれ、独立した役割をもっていると考えることから出発する必要があります。

まず、覚え方としては、①・前の‘as’は必ず、「程度」や「数量」を表し得る表現の前にくっつく、そして、②・後の‘as’は、何と比べられているのかを、ハッキリと明示する役割をもっている、と言えます。ですので、まず、2つの‘as’を、それぞれ、一度、切り離して考え直すことが必要です。

この2つの‘as’が、それぞれ独立したものである、という考えがあると、まず、順序としては、(10)のような文が先にあって、あとから、前半の‘as’を、①にしたがって、‘many books’の前に付け足す、という作業になると思います。普通、誤って、(9)のような文を先に思いつくということは、まずありませんからね。この考え方の順序は、(7)のような間違いを防ぐ上では、かなり有効です。

あとは、後半の‘as’を、何と比較されているのかを、ハッキリと明示するために、‘as Tom’のようにして、付け足すだけです。こうすれば、(8)のような正しい文をつくることはあっても、(7)のような誤った文をつくることはなくなるはずです。

今回のポイントは、とても簡単なことですが、比較の構文‘as ~ as ・・・’の基本的な考え方です。‘as ~ as ・・・’の構文は、よく、セットにして習うだけで終わってしまうことが多いので、単純な文をつくる際には、使いやすく便利な印象があるんですが、だからと言って、ガッチリ固めて暗記しているだけで、構文を組み立てる方法までは知らないとなれば、結局、まともに使えないことがわかったと思います。

今回の基本的な考えがあると、様々な他の派生構文の理解にも、スムーズにつながっていきますので、まずは、柔軟体操です。

■注 :‘as ~ as ・・・’は、あえて、品詞は何か、と問われれば、前半の‘as’が副詞で、後半の‘as’が接続詞、ということになりますが、とりあえず、一応の目安という程度に理解しておいた方がよいと思われます。英語では、‘as’の用法は多様なので、分類しても、ややこしくなるだけで、意味がない場合が多いからです。‘as many as ・・・’という構文では、‘many’の品詞は、一応、名詞になりますが、だとすると、前半の‘as’は、名詞にかかる「副詞」という、奇妙な分類を受けることになります。ですので、①のように、前の‘as’は必ず、「程度」や「数量」を表し得る表現の前にくっつく、とした方が、本質をとらえた一般化だと思われます。

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英語学習法(104)

2005年11月08日 | 変形
EG23の続きです。‘easy’構文における通行禁止エリアです。以下、見ましょう。

(1)It is impossible to take care of John. (〇) (ジョンの面倒をみるなんて、不可能だね。)
(2)John is impossible to take care of _. (〇) (訳同上)

(1)をもとにして、‘John’が、(2)にあるように、文の先頭まで移動しています。 (かわりに、‘it’には退場してもらいます。) この構文の特徴は、(1)の‘to’不定詞の中にある「目的語」が、そのまま、‘be impossible’「不可能だ、無理だ」、の主語位置に現れて、不定詞内における、本来、目的語があるべき位置が、空家 (空所) になってしまうところにあります。 (EG23、参照。)

(3)It is impossible to take pictures of John. (〇) (ジョンの撮影は、無理だね。)
(4)John is impossible to take pictures of _. (〇) (訳同上)

もちろん、(1)から(2)の変形が、OKになるのと同じように、(3)から(4)の変形も、OKになります。(3)における‘of ~’の目的語‘John’を、(4)では、‘be impossible’の主語位置まで移動したのですから、当然、OKですよね。

ところで、今回は、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が使われていますが、こういった表現は、学校などでは、よく、1つのまとまった慣用表現として覚えるように習うことが多いと思います。しかし、‘take pictures of ~’の場合、別の解釈として、「~ の写真をもっていく」というような、単純な意味に取っても構いません。

(5)It is impossible to take pictures of John. (〇)
  (ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。)
(6)John is impossible to take pictures of _. (×) (訳同上)

ん?(6)はアウト?ナンデですか?そうですね。(5)からの変形である、(6)はアウトになってしまいました。これはどういうことなんでしょうか。ここで注意して欲しいのは、(4)と(6)は、英語としての姿カタチは、全く同じである、ということです。しかし、ただ、解釈は異なっている、ということなんですね。

つまり、解釈の変化が、‘easy’構文の移動の可否に影響を及ぼす、ということらしいのですが、これをどう見るべきなんでしょうか。そこで、‘take care of ~’のような表現は、カタチの上では、「動詞+名詞+前置詞」という姿をしています。ですので、こういった点に着目するならば、他の表現にも、同じカタチをしているものは、いくらでもありますね。

(7) a. It is impossible to give a big house to John. (〇)
    (ジョンにデカイ家を与えるのは、無理。)
   b. John is impossible to give a big house to _. (〇) (訳同上)

(8) a. It is impossible to buy a present for John. (〇)
    (ジョンにプレゼントを買ってやるのは、無理。)
   b. John is impossible to buy a present for _. (〇) (訳同上)

(7a)から、(7b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘give A to B’「A を B に与える」、が使われています。そして、その変形は、OKです。一方、(8a)から、(8b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy A for B’「A を B に買ってやる」、が使われています。そして、その変形も、OKです。これらは、いずれも、「動詞+名詞+前置詞」、という姿をしています。

(9) a. It is impossible to give pictures of John. (〇)
    (ジョンの写真をあげるのは、無理。)
   b. John is impossible to give pictures of _. (×) (訳同上)

(10) a. It is impossible to buy pictures of John. (〇)
    (ジョンの写真を買うのは、無理。)
   b. John is impossible to buy pictures of _. (×) (訳同上)

今度は、(9a)から、(9b)における変形ですが、‘to’不定詞の部分が、‘give pictures of ~’「~ の写真を与える」になっています。そして、その変形は、アウトです。一方、(10a)から、(10b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy pictures of ~’「~ の写真を買う」、が使われています。そして、その変形も、アウトです。

(7a-b)~(10a-b)の共通点は、いずれも、‘to’不定詞の部分が、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という姿をしていることです。しかし、異なっている点は、(7a)では、‘to John’が、‘a big house’にかかる表現ではなく、同様に、(8a)でも、‘for John’が、‘a present’にかかる表現ではない、ということである一方、(9a)においても、(10a)においても、共に、‘pictures of John’「ジョンの写真」は、1つのまとまった名詞句であり、つまり、‘of John’が、‘pictures’にかかっている、ということです。

ここから、1つの結論として言えることは、‘easy’構文においては、‘to’不定詞内の目的語が、名詞句の一部になっている場合、例え、「目的語」というステイタスをもっていたとしても、移動の対象とすることは不可能である、ということです。

この結論を踏まえて、(6)が、なぜ、アウトになるのかを考えると、やはり、「~ の写真をもっていく」、の解釈になる場合、「動詞 (take)+名詞句 (pictures of ~)」、のような成り立ちが原因である、と考えるのが、妥当であることがわかると思います。

一方、(2)や(4)が、なぜ、OKになるのかは、おそらく、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が、慣用的に1つのまとまった、いわゆる、イディオムとして見なされて、「動詞+名詞句」、の成り立ちを、キャンセルしているためだと思われます。

つまり、名詞句という成り立ちを無視して、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という、単語の並びのみから、その中身 (「名詞+前置詞=名詞句」という成り立ちになっているか否か) を問うことなく、即座に、慣用表現としての意味をつくり上げていると判断されるケースに該当するためである、と言えそうです。

(11)Pictures of John are impossible to take _.
(12)a. ジョンの撮影は、無理だね。 (×)
   b. ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。 (〇)

(11)では、本来、‘take’の後にあるはずの、‘pictures of John’が、‘be impossible’の主語位置にありますが、この場合、(12a)の解釈がアウトであり、一方、(12b)の解釈ならば、OKであることから、やはり、‘pictures’+‘of’+‘John’のつながりが、1つの名詞句として、見なされるか否かがポイントであることがわかります。

今回のポイントは、‘easy’構文において、その移動をブロックする環境です。‘easy’構文の移動は、‘to’不定詞の中に名詞句がある場合、その名詞句内の目的語は、移動が不可能であることがわかりました。これまで、他でも見てきたようなことから、考え合わせると、‘easy’構文は、ちょっと神経質なところがありますね。 (EG83、EG99参照。)

■注 :‘take pictures of John’「ジョンの写真を撮る」の場合は、イディオムとして見なされることが多いのですが、一方、類似した意味の、‘take John's pictures’は、‘John's pictutes’の部分を、1つのカタマリと見なして、名詞句ととらえる傾向があります。ですので、(11)を、‘John's pictures are impossible to take.’、と言いかえると、(12a)の解釈を、OKにし易くなります。

●関連: EG23EG83EG99

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英語学習法(103)

2005年11月06日 | 変形
EG83と、EG102の続きです。EG102で示した移動の性質とは、異なるものについてです。では、以下、見ましょう。

(1)John seems _ to be said _ to be hated _ by Mary. (〇)
  (ジョンはメアリーに嫌われていると、言われているみたいだね。)

(1)では、‘John’が、‘seem’の主語になっています。しかし、これは、もともと、‘seem’が、直接的に‘John’を主語に指定いるわけではありません。むしろ、‘John’は、‘seem’の後にある‘to be said’によって、「ジョンは ~ と言われている」、という、意味関係から選ばれた表現であると言えます。

しかし、今度は、‘John’が‘to be said’から、直接的に指定された表現かというと、そうではなく、‘John’は、そのさらに後にある‘to be hated’から選ばれたものであり、「ジョンが嫌われている」、という意味関係が、本来、基本となる表現です。そして、もっと言えば、受身文のもともとのカタチは、能動文なので、‘John’は、‘hate’の目的語だった、と言えます。

ですので、(1)での‘John’の解釈は、‘seem’の主語でもあり、また、‘be said’の主語でもあり、そして、また、‘be hated’の主語でもある (‘be hated’を能動文にするなら、‘hate’の目的語)、ということになります。こういったことが起こってしまうのは、英語の文法には、移動から移動によって成り立つ「連鎖」があるためです。 (EG102、参照。)

(2)I think [ (that) Mary hates John ]. ([ メアリーはジョンを嫌っている ] と思う。)

(3)Who do you think [ _ hates John ] ? ([ 誰がジョンを嫌っていると ] 思う?)
(4)Who do you think [ (that) Mary hates _ ] ? ([ メアリーは誰を嫌っていると ] 思う?)

しかし、一方、英語には、そのような規則性を示さない移動もあります。(2)をもとにして、(3)と(4)のような疑問詞‘who’を使った疑問文がつくれます。(2)は、‘that’節内の主語‘Mary’と、目的語‘John’が、(3)と(4)のように、‘who’で置きかえることができます。そして、その‘who’は、文の先頭まで移動しています。 (疑問詞の移動に関しては、EG47、参照。また、(3)における、‘that’が消去されなければならない条件に関しては、EG59、参照。)

こういった移動は、EG102で見たような、予め、もとの位置と移動先を、ガッチリ指定している構文 (受身文、‘seem’の構文、‘easy’構文、など) における移動とは、明らかに性質が違うものです。つまり、疑問詞の移動は、どの位置からであろうと、必要とあらば、何らかの疑問の対象となるものを疑問詞に変えて、一足飛びに、文の先頭にもっていくことができる、という点で、かなり自由度が高い移動である、と言えます。 (ただし、移動を妨げるような要因もあります。EG49など、参照。)

(5)It seems [ (that) everyone says [ (that) Mary hates John ] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ メアリーはジョンを嫌っていると ] 言っている ] みたいだね。)

(6)Who does it seem [ (that) everyone says [ (that) Mary hates _ ] ] ? (〇)
  ([ 皆は、[ メアリーが誰を嫌っていると ] 言っている ] 様子なのさ?)

(5)をもとにして、‘John’を疑問詞‘who’に変えて、(6)のように、文の先頭にもっていった疑問文はOKです。(6)の移動は、(1)の移動とは明らかに違っていて、文の末尾から先頭まで、一発で移動しています。そして、‘that’節から‘to’不定詞への書きかえも必要ありません。

(7)a boy [ who it seems [ (that) everyone says [ (that) Mary hates _ ] ] ] (〇)
  ([ [ 皆は、[ メアリーが _ 嫌っていると ] 言っている ] 様子の ] 少年)

今度は(7)ですが、‘who’以下が関係節となって‘a boy’にかかっている例です。関係節が長いんで、ちょっと解釈がややこしいんですが、基本的にはOKです。(7)の場合も、関係代名詞‘who’が、関係節の末尾から先頭まで、一発で移動してきたと考えられます。この点、疑問詞の移動と、関係詞の移動は、よく似た性質をもっていると言えますね。

ここで、疑問詞と関係詞は、EG83では、「‘wh-’表現」として、ひとまとめにされたのを思い出してほしいのですが、「‘wh-’表現」は、‘that’節内からであっても、その外に自由に移動できるほどの力がある、「強い移動」として扱われました。

一方、予め、もとの位置と移動先を、ガッチリ指定している構文 (受身文、‘seem’の構文、‘easy’構文、など) は、‘that’節の中から、直接、外に飛び出す力がないので、‘that’節内から移動の際は、‘to’不定詞への書きかえがなければ、アウトになってしまう、という点で、「弱い移動」として扱われました。

こういった分類に加えて、今回扱った移動の性質の違いからも、やはり、「‘wh-’表現」という、ひとまとめの扱いは妥当である、ということになります。つまり、移動の「連鎖」が、どうしても必要である特定の構文と、一方、移動の「連鎖」など必要とはしない、「‘wh-’表現」の違いです。

(8)Who seems _ to be said _ to be hated _ by Mary ? (〇)
  (誰がメアリーに嫌われていると、言われている様子なの?)

(8)の場合、OKですが、ここでは、‘who’が、直接的に、‘hated’の後から移動しているというわけではありません。(1)の‘John’が、ただ、‘who’に置きかわっただけです。そこで、「‘wh-’表現」の移動は、特定構文の移動の「連鎖」が混じっている場合、その構文の連鎖が、全て完了してから、適用されるもので、それは、以下の例からも明らかです。

(9)It seems [ (that) everyone says [ (that) John is hated _ by Mary] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ ジョンはメアリーに嫌われていると ] 言っている ] みたいだね。)

(10)Who does it seem [ (that) everyone says [ _ is hated _ by Mary ] ? (〇)
  ([ 皆は、[ 誰がメアリーに嫌われていると ] 言っている ] 様子なの?)

(9)はOKですが、最も小さな‘that’節内で、受身文による‘John’の移動があるだけです。そして、移動はそこまでで終了していても、‘John’が、それ以降、‘say’の受身文や、‘seem’による特定構文の移動をされていないならば、もちろん、「連鎖」はストップしていても構いません。

ですので、この場合、(9)における「連鎖」は、最も小さな‘that’節内で完了している、と考えてもよいわけですから、(9)における‘John’は、(10)のように、‘who’になって、「‘wh-’表現」として、一発で文の先頭まで移動できるわけですね。

今回のポイントは、英語における移動の性質を考えていくと、どうやら、2種類の移動に分類できそうだ、ということです。長距離の場合、目的地にたどり着くまでに、通過点でのチェックを受けてからでないと、先に進めない移動と、一方、長距離であっても、寄り道などせずに、一発で、行きたい場所に行ける移動がある、ということです。

前者の特徴は、特定構文の移動をうながすようにするために、1つ1つ移動を進めていかなければならないのですが、後者の特徴は、基本的には、どこからでも行きたいところに一発でたどり着ける、という点にあるので、前者のほうが、はるかに手続きがややこしい、と言えます。

ですので、これら2種類の移動が混じっている場合は、前者の方が規則正しく行われているかを確かめてから、後者の移動を適用する方が、間違いなく、正しい英語をつくる上でのコツと言えますね。

●関連 :EG47EG49EG59EG83EG102

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英語学習法(102)

2005年10月31日 | 変形
英語によく見られる、移動の性質についてです。以下、見ましょう。

(1)It seems [ that Mary hates John ].
  ([ メアリーは、ジョンを嫌っている ] みたいだね。)

(2)Mary seems _ to hate John. (訳同上)

(1)の文は、いわゆる、‘seem’の構文ですが、‘that’節内の主語を、‘seem’の主語位置に移動させることができますね。この場合、(1)の‘Mary’が、‘that’節内の主語ですから、それを‘seem’の主語位置に移動させると、(2)のようになります。 (‘seem’の構文については、EG62、参照。)

(3)John seems [ (for) Mary to hate _ ]. (×) (訳同(1))

ところで、(3)にあるように、(1)の目的語‘John’は、‘seem’の主語位置には、直接的には移動が不可能です。しかし、‘John’の移動が、全く不可能かというと、そうでもなく、「‘that’節内の主語」が移動の対象となる、という条件さえ守られていれば、移動は可能となります。以下を見ましょう。

(4)It seems [ that John is hated _ by Mary ]. (〇)
  ([ ジョンは、メアリーに嫌われている ] みたいだね。)

まず、(4)では、(1)の‘that’節内の能動文を、受身文にしてみました。受身文というのは、もちろん、能動文の目的語を、主語位置に移動させる変形です。(4)では、‘that’節内で‘John’が、目的語の位置から、主語位置に移動しています。 (受身文については、EG35、参照。)

(5)John seems _ to be hated _ by Mary. (〇) (訳同上)

そこで、(1)が、(4)の状態になった時点で、‘John’が、that’節内の主語位置にあることが確定していますので、(5)のように、‘John’を、‘seem’の主語位置まで移動しても、OKになります。つまり、この場合、受身文にする、という移動変形が、たまたま、‘seem’の構文における移動を可能にする状態をつくりあげた、と言ってもよいでしょう。

(6)It seems [ that it is easy to deceive John ]. ([ ジョンを騙すのは簡単 ] そうだな。)

今度は、(6)の文です。‘seem’の構文の‘that’節内が、いわゆる、‘easy’構文になっています。この‘easy’構文を、‘seem’の構文とからめて使った場合は、ちょっと、ややこしいことが起こります。 (‘easy’構文については、EG23、参照。)

(7)It seems _ to be easy to deceive John . (〇) (訳同(6))

(7)はOKです。(6)と比較して、パッと見た感じ、‘it seems’の部分には、何ら変化がないように見えますが、一方、(6)では‘that’節だった部分が、(7)では、‘to’不定詞に変化しています。そこで、‘seem’の構文は、‘that’節内の主語が、‘seem’の主語位置に移動した場合、‘to’不定詞への変化がある、と考えるわけですから、(7)の‘it seems’の部分は、実は、‘it is easy ~’の‘it’が、移動によって、‘seem’の主語位置に移ったと考えるのが、妥当であることがわかります。 (移動前と後のニュアンスの違いについては、EG90、参照)

そこで、(6)のようなカタチは、‘seem’と、その主語である‘it’の組み合わせを、予め知っておくことが肝要ですが、一方、(7)のようなカタチでは、‘it’と‘seem’の組み合わせではなく、むしろ、‘it’と‘easy’の組み合わせがもとにあるのを、予め知っておくべきで、‘it seems to be ~’というカタチを、ガッチリ固めて、暗記構文のようにして覚えていても、正しい英語を使えるようになる保証には一切ならず、何ら、本質的な理解に到達できないことは、明らかです。

(8)It seems [ that John is easy to deceive _ ]. (訳同(6))
(9)John seems _ to be easy to deceive _. (〇) (訳同(6))

そこで、今度は、(8)ですが、(6)との違いは、もちろん、‘deceive’の目的語である‘John’が、‘is easy’の主語位置まで移動している、ということです。そしてさらに、(8)があると、今度は、(9)のように、‘John’を‘seem’の主語位置まで移動させることが可能となります。

(10)John seems [ that it is easy to deceive _ ]. (×) (訳同(6))

念のため、(10)のように、‘that’節内の目的語‘John’を、直接的に、‘seem’の主語位置に移動させてみましたが、やはりアウトになりました。そこで、今回の話の流れから、確実に言えそうなことは、ある構文における移動が、他の異なる構文においての移動を可能にする環境をつくりあげる、ということです。

これを言いかえると、ある移動が他の移動をうながすという、移動の「連鎖」とでも言うべき現象が英語にはあり、それは、ある一定の文法の法則にもとづいて保証されている、ということです。こういったことは、ある特定の構文における変形の特徴を知っておきさえすれば、あとは、ルールにしたがって各構文をつないでいくだけですから、でき上がった文が、正しい「連鎖」であるかどうかは、自分で判断することができます。

ですので、問題は、その各構文の変形の特徴を、予め知っておく、ということが、労力として支払うべき代償ではあるものの、組み合わせのやり方、つまり、比較的長い文をつくること自体は、それほど難しいことではない、ということなんです。

(11)It seems [ that everyone says [ that Mary hates John ] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ メアリーはジョンを嫌っていると ] 言っている ] みたいだね。)

(12)It seems [ that everyone says [ that John is hated _ by Mary] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ ジョンはメアリーに嫌われていると ] 言っている ] みたいだね。)

(13)It seems [ that John is said (by everyone) _ to be hated _ by Mary ]. (〇)
  ([ ジョンはメアリーに嫌われていると (皆から) 言われている ] みたいだね。)

(14)John seems _ to be said (by everyone) _ to be hated _ by Mary. (〇)
  (訳同(13))

今度は、3回のステップで移動する例を見てみます。まず、(11)からスタートして、(12)では、最も小さな‘that’節内で、‘John’が、‘hate’の目的語から、主語位置に移動していますが、これは、単純な受身文ですね。次に、(12)から(13)ですが、やはり‘John’は、that節内の主語位置から、‘be said’の主語位置に移動が可能です。 (EG83、参照)

そして、もちろん、(13)から(14)では、‘seem’の構文における移動ですから、(13)で、‘seem’に続く‘that’節内の主語位置に‘John’があれば、‘John’は、‘seem’の主語位置に移動が可能なわけですね。このように、英語の移動には、順にステップを踏んで、最終的には、かなり遠くまで行くことができるという性質があります。

今回のポイントは、英語には、規則的な手順を踏まえて移動を繰り返すことで、1つの要素が、ある構文から他の構文へとまたがって、かなり遠くまで移動することができる、ということです。これを言いかえれば、どうしても正しい表現を身に付けるには、移動の出発地点から最終地点まで、どうやってたどり着いたのかをチェックできるだけの知識が必要、ということになります。

つまり、ある表現の上に、別の表現を、ただ単純に付けたすと考えるだけでは、豊かな表現力を身に付ける上では、片手落ちで、そのつながり方、つまり、「連鎖」も見ておかなければならないということです。

実は、英語では、大半の場合、こういったやり方で複雑な意味を表現する文がつくられているわけですから、「英語脳」的には、見たまんまそのとおり、文の丸暗記だけでやっつける方法では、かなりツライことがわかります。逆に今回のような法則性を見抜いてしまえば、複雑な意味をもった文を表現することは、案外やさしいことだな、とわかります。今回の話は、多様な表現力を身につける上では、かなり要に位置するものになりますが、まだ話すべきことはありますので、そのときまで。

■注 :(12)から(13)のような、‘say’の‘that’節内にある主語が、その外に移動する際に、‘that’節は、‘to’不定詞にならなければならないのですが、これは、‘seem’の構文と、共通した特徴であると言えます。この条件に関しては、EG83を参照して下さい。

●関連: EG23EG35EG62EG83EG90

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英語学習法(101)

2005年10月28日 | 代名詞
EG100の続きです。代名詞です。以下、見ましょう。

(1)Mary lost her glasses. (メアリーはメガネをなくした。)

(1)の文では、‘her glasses’に、‘her’「彼女の」が使われていますが、この‘her’は、誰のことを指しているのか、というと、普通は、‘Mary’「メアリー」だと思います。しかし、別に、メアリー以外の他の女性を指している場合もあります。例えば、メアリーがスーザンからメガネを借りた場合、その後で、(1)のような文が続けば、‘her’は、スーザンを指すと解釈するのが普通になりますね。

つまり、(1)の‘her’が誰を指すか、などといったことは、状況に応じて、どうとでも変わるものですから、代名詞が指すべき対象は、文法的に決定することは不可能である、ということになります。つまり、結局のところ、代名詞が何を指すかなんて、取り立てて、文法的に説明できることなんてないんだから、わざわざ、代名詞について語るなど、しなくてもいいんじゃないか、という話になるわけです。

これは、確かに、その通りなんですが、しかし、そこから、代名詞は文法による制限は全く受けない、とまで断定することはできない、と思われる現象があります。以下を見ましょう。

(2)John respects himself. (‘John’=‘himself’) (ジョンは自分を尊敬している。)
(3)John respects him. (‘John’≠‘him’) (ジョンは彼を尊敬している。)

(2)は、再帰代名詞‘himself’、一方、(3)は、代名詞‘him’を目的語にとっています。そして、直感的に、意味の違いとして、(2)では、‘John’=‘himself’の解釈がOKですが、しかし、一方、(3)では、‘John’=‘him’の解釈は、まず、ないのではないか、という判断になると思います。つまり、直感的に、(3)の‘him’は、‘John’以外の別の男性を指して言っているのだな、と思うわけですね。

そこで、(2)では、‘John’=‘himself’の解釈は、予め決定されているもので、他の男性を指していると解釈することは、(2)をいかなる文脈に置こうとも、不可能なわけですが、一方、(3)の場合、文脈によっては、‘John’=‘him’と解釈することは可能かどうか考えてみたいと思います。

(4)No one can work harder than John.
  (ジョンよりも、せっせと働ける者など誰もいない。)

(4)の後に、(3)が続くと考えてみます。そこで、誰よりも働き者であるジョンは、故に、自分で自分のことを尊敬している、ということを表現した文 (つまり、(3)における、‘John’=‘him’の解釈) として、正しいかというと、そういった解釈は不可能で、やはり、‘him’を、(2)のように、‘himself’に変えない限り、アウトの解釈になります。

しかし、(3)の‘John’と、(4)の‘John’が、ただ単に名前が同じであるだけの別人として解釈し、(4)の‘John’と、(3)の‘him’を、イコール (=) 関係で結びつければ、OKの解釈になります。つまり、ジョン (A) は一番の働き者だから、それを見たジョン (B) は、ジョン (A) のことを尊敬する、という解釈は可能、ということです。

ですので、(3)は、(4)のような、かなり、もっともらしい文脈を与えても、なお、‘John’=‘him’と解釈することは不可能であることがわかります。つまり、文脈に左右されることなく、文そのものから、‘John’≠‘him’(‘John’=‘him’ではない) が決定できるということになります。

そこで、ここから言えることとして、代名詞の場合、「指すべき対象」は、文法による制限は受けないけれど、しかし、一方、「指してはならない対象」は、文法による制限を受けるのではないか、と思われます。

(5)He respects John. (‘he’≠‘John’) (彼はジョンを尊敬している。)

(5)は、(3)の主語と目的語が入れかわっているだけですが、やはり、どのような文脈を想像してみても、‘he’=‘John’とは、解釈できません。つまり、もともと、「文法」的に、‘he’≠‘John’は決定されている、とみてもよさそうです。そこで、(2)、(3)、(5)から、ハッキリ言えることは、「主語+動詞+目的語」のカタチでは、目的語が再帰代名詞でない場合、「主語 = 目的語」の解釈は不可能になる、ということです。

(6) a. John and Tom respect themselves. (〇)
    (ジョンとトムは、自分たちを尊敬している。)

   b. Themselves respect John and Tom. (×)
    (自分自身、ジョンとトムを尊敬している。)


(7) a. John and Tom respect them. (〇) (ただし、‘John and Tom’≠‘them’) 
    (ジョンとトムは、彼らを尊敬している。)

   b. They respect John and Tom. (〇) (ただし、‘they’≠‘John and Tom’) 
    (彼らは、ジョンとトムを尊敬している。)

ここで、再帰代名詞、(6a-b)と、代名詞、(7a-b)を比較して、それらの性質をまとめてみます。まず、(6a-b) です。(6a)はOKですが、‘John and Tom’=‘themselves’の解釈でなければなりません。一方、(6b)は、‘themselves’=‘John and Tom’が成り立たない、と言うよりも、もともと、(6b)自体がアウトです。

これは、再帰代名詞は、それ自体、現れる位置に対して、文法上の制限がある上に、その相手となる表現に対しても、文法的な位置制限があるためです。この場合、‘themselves’が主語になっている (「主格」を与えられている) ことや、イコール (=) 関係になるべき相手、‘John and Tom’が、適切な場所に位置していない、といった複数の理由が原因となります。 (詳しくは、EG95、EG96、参照)

次に、(7a-b)です。まず、(7a)の文そのものは、文法的であり、OKとなります。しかし、‘John and Tom’=‘them’の解釈は不可能で、‘John and Tom’≠‘them’の解釈でなければなりません。そして、一方、(7b)も、それ自体は、OKです。しかし、やはり、‘they’=‘John and Tom’の解釈であってはならず、‘they’≠‘John and Tom’の解釈でなければなりません。

ですので、代名詞の場合、それ自体、文法的な位置制限もなければ、イコール (=) 関係になるべき相手を、同一文の中に求める条件もありませんので、その点、(6b)のように、文そのものがアウトになる、ということはありません。しかし、イコール (=) 関係になってはならない相手に関しては、文法上の条件がありますので、その解釈に関しては、制限が付いてしまう、という特徴があるのがわかります。

今回のポイントは、実は、代名詞も、「文法」による制限を受けるということです。EG100では、代名詞は、現れる位置や、「指すべき相手」に対して、文法による制限は受けない、と述べたので、その点、再帰代名詞とは違って、言うべきことなど何もない、という印象がありました。しかし、逆に、「指してはならない相手」、という違った観点から見ると、文法によって制限を受けている、というべき根拠がありました。

実は、こういった観点から代名詞を見ていくと、実に複雑で、かなりわかりにくい側面があるのですが、今後、少しずつ、その特徴を明らかにしていきたいと思います。

■注 :今回、「主語+動詞+目的語」のカタチでは、目的語が、再帰代名詞でない場合、「主語 = 目的語」の解釈は、不可能になる、と述べていますが、(1)の目的語、‘her glasses’の中で、所有格となっている代名詞‘her’の場合は、‘her’が、目的語そのものではなく、「目的語の一部」である点に注意して下さい。

●関連: EG95EG96EG100

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