goo blog サービス終了のお知らせ 

英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(96)

2005年08月17日 | 代名詞
EG95の続きです。再帰代名詞のルールと、他の規則との連携性についてです。以下、見ましょう。

(1)Tom wants Mary to protect herself. (〇)
  (トムは、メアリーに自分の身は自分で守って欲しいと思っている。)

(2)Tom deceived Mary to protect himself. (〇)
  (トムは、自分の身を守るために、メアリーを騙した。)

(1)は、‘Mary’=‘herself’で、OKとなり、一方、(2)は、‘Tom’=‘himself’で、OKとなる文です。そこで、(1)と(2)のような、再帰代名詞の現れ方は、基本的には、以下のルールにしたがう、という特徴がありました。 (EG95、参照)

(3)再帰代名詞と、‘each other’は、①・主格を与えられる位置に生じては
   ならない (再帰代名詞のみ、所有格も、不可)、②・最も近い主語
   (解釈上の主語も含む) を相手に選ぶ、という、2つの条件を、
   同時に満たしていなければならない。

そこで、(1)は、「‘want’+A (目的語)+‘to’不定詞 (A に ~ して欲しい)」の構文ですから、‘Mary’と、‘to’不定詞‘to protect herself’の間には、「主語・述語」の関係があります。そこで、‘protect’から、目的格を与えられた‘herself’は、最も近い主語として、‘Tom’ではなく、‘Mary’を選びますが、これは、ルール(3)の、①も、②もクリアしているので、‘Mary’=‘herself’は、正しい解釈だとわかります。 (「‘want’+A (目的語)+‘to’不定詞 (A に ~ して欲しい)」の構文に関しては、EG94、参照)

一方、(2)では、‘to’不定詞‘to protect himself’が、単純に、副詞的用法の‘to’不定詞なので、‘to protect himself’は、その主語として、‘Mary’ではなく、‘Tom’を選びます。そこで、‘protect’から、目的格を与えられた‘himself’は、最も近い主語として、‘Mary’ではなく、‘Tom’を選んでいるわけですが、これも、ルール(3)の、①と②を、両方ともクリアしているので、‘Tom’=‘himself’が、正しく決定されています。 (ここでの‘to’不定詞に関しては、EG42、EG93、参照)

(4)It seems to Mary [ that Tom respects himself ]. (〇)
  (メアリーには [ トムが自分で自分を尊敬している ] ように見える。)

(5)Tom seems to Mary _ to respect himself. (〇) (訳同上)

そこで、再帰代名詞と、移動による変形との関わりあいを見てみたいと思います。(4)では、‘that’節内で、‘Tom’=‘himself’がOKですが、一方、(5)でも、‘Tom’=‘himself’が、そのまま成り立っていて、OKです。(5)は、(4)をもとにした、「変形」と考えられていますので、(4)の解釈が、そのまま、(5)でも、成り立っているわけですね。 (‘seem’の構文については、EG62、参照)

(6)It seems to himself [ that Tom respects Mary ]. (×)
  ([ トムはメアリーを尊敬している ] と、彼自身、そう思える。)

(7)Tom seems to himself _ to respect Mary. (〇) (訳同上)

今度は、(6)から、(7)への変形となりますが、ここで注目すべきは、何と、(6)がアウトであるにも関わらず、(7)がOKになる、ということです。しかし、そのことが、(7)は、(6)からの変形ではない、ということを、意味するものではありません。

(8)It seems to John [ that Tom respects Mary ]. (〇)
  (ジョンには、[ トムはメアリーを尊敬している ] ように見える。)

(9)Tom seems to John _ to respect Mary. (〇) (訳同上)

(8)と(9)は、‘seem’の直後が、‘to himself’ではなく、‘to John’となっていますが、 (8)から(9)への変形は、何の問題もなく、OKになります。ですので、(6)と(7)の間にある問題点は、むしろ、‘to himself’ の解釈が、正しく成り立つか否かにある、と見るのが正しく、‘seem’の構文における「変形」そのものと、再帰代名詞の解釈に関する問題は、それぞれ別個に独立している、と考えられます。

これを、もう少し、詳しく言うと、‘seem’の構文では、例えば、(4)から(5)の変形のように、‘that’節内の文法性は、そのまま、その一部である主語が‘seem’の主語位置に移動した変形後にも、影響を与える要因となりますが、一方、‘that’節の外にある要素は、もともと、‘seem’の構文における移動の対象ではないため、‘that’節内の文法性とは、直接的には、無関係です。

つまり、この場合、‘that’節の外にあり、かつ、正しい相手をもつことができずにアウトになる(6)の‘himself’は、(6)から(7)への変形によって、(7)のカタチになることで、偶然にも、ルール(3)に適合したために、救い出され、OKとなったと見るべきなので、やはり、‘seem’の構文における変形は、そのまま、保持した方がよい、と言えるでしょう。以下の例からも、この考えは支持される、と思われます。

(10)It seems to Mary [ that Tom respects herself ]. (×)
  (メアリーには [ トムが彼女を尊敬している ] ように見える。)

(11)Tom seems to Mary _ to respect herself. (×) (訳同上)

(10)と(11)は、両方とも、アウトです。これは、やはり、(10)がアウトになる原因が、that’節の外ではなく、‘that’節の中にあるからで、‘Tom’=‘herself’の解釈は、(‘Tom’という名前の女性、というケース以外は) 不可能です。

ですので、(11)がアウトである原因は、やはり、(10)の‘that’節内の文法性が、そのまま、(11)にも、持ちこされて、‘Tom’=‘herself’の解釈が不可能だから、というのが自然です。 そして、さらに、(10)と(11)は、両方とも、‘to Mary’があるにも関わらず、‘Mary’=‘herself’の解釈が成り立たない、ということが、ルール(3)の正しさを、同時に支持しています。

今回のポイントは、再帰代名詞の解釈と、特定の構文における「変形」との関わりあいです。再帰代名詞の解釈に関するルールは、‘seem’の構文のように、特定の変形が、正しく成立していると、それを基盤とした、密接なリンクによって、見通しのよいやり方で、比較的、広範囲にわたる説明を可能にします。

今回、示されたやり方が意味するのは、一見、複雑そうに見えて、何となく感覚的なフィーリングで理解する、という、どこにでも、ありがちではあるけども、しかし、どこか危なっかしい英語学習法が、実は単純な規則性とその連携性の理解において、飛躍的にステップアップする (精度を増す) ことを可能にするという、効率性の良さです。

コトバの学習は、何かと例外事項も多く、その扱いが面倒な側面もあるのですが、例外的なことを、極力、最小限に押さえ込み、実用性の高い部分ほど、秩序だった説明が可能になるならば、このやり方に依存しない手はありません。

実は、もっと複雑な例になってくると、再帰代名詞や‘each other’は、まだまだ、言うべきことがあるのですが、それは、かなり上級レベルの手法になってきますので、今後の機会を見計らい、改めて、ということにします。

●関連: EG42EG62EG93EG95

みんなの英会話奮闘記★  ★元祖ブログランキング★  ★英語・人気blogランキング


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。