D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Guitar Renaissance('03) / 渡辺香津美

2007-05-13 19:26:38 | guitarist
久しぶりの風邪のせいか、体の方もなぜかナチュラル系の音を求めてしまうようです。
こんな時は、逆らわず、なるべくビートレスなアコースティックサウンドを聴くに限りますネ。

本日の一枚は、'03年よりスタートした、渡辺香津美師匠のライフワーク第一弾です。
これは、アコースティックギターを中心としたソロギター・インストゥルメンタル集と言ってよいのかもしれません・・若干のオーバー・ダブは仕方ないでしょう。

元来、師匠はトーン・コントロールに関しては無頓着な方なので、こんな風にとっかえひっかえ違うギターで弾き倒すことによって、音のヴァリエーションを広げるのが良かったのでしょうね。
ジャズ、クラシック、はたまた自身のオリジナルにより、ジャンルを超えた選曲となっているのも興味深いです。

・・山海の珍味をギター一本で如何に料理するか・・その辺が聴き所でしょうね。

1.無伴奏チェロ組曲第1番より“プレリュード”(J.S.バッハ)
Prelude from Suite for Unaccompanied Cello No1 BWV1007 -Johann Sebastian Bach
この超有名なチェロ曲を他の楽器でこれだけ美しく演奏しているのを、多分私は未だ耳にしたことがありません。
初めて聴いた時には、鳥肌が立ちましたネ・・実に美しいです。

2.アクロス・ザ・ユニバース(ザ・ビートルズ)
Across The Universe -John Lennon/Paul McCartney
前曲からの流れが実に違和感無く感じられるのが不思議です。
スペースを上手く生かしたアレンジがすばらしいですね。

3.メドレー;ジャンゴ~マイナー・スイング(J.ルイス~D.ラインハルト)
Medley;Django~Minor Swing -John Lewis~Stephane Grappelly/Django Reinhardt
MJQで有名な名曲からタイトル本人の名演に繋ぐアレンジ・・古き良きスイング・ジャズのエッセンスが満載です。
ノイジーなカッティングでガンガン演ってるのがカッコいいですね。

4.ウエーブ B・A・C・H(渡辺香津美)
Wave B・A・C・H -Kazumi Watanabe
ガットギターによる#1の主旋律をバックに、フリー・インプロビゼーションを展開。
時折メロディがシンクロしたりハモったりしながら、美しい世界が繰り広げられていますネ。
バックはもしかしたらサンプリングかも・・。

5.亡き王女のためのパヴァーヌ(M.ラヴェル)
Pavane Pour Une Infante Defunt -Maurice Ravel
ラヴェルの名曲をAlan Gubbay氏のアレンジで料理・・おそらく2本で演ってるんでしょうネ。
ラヴェル好きのカミさんが言うには、元々ピアノ曲で、タイトルの“亡き”はゴロ合わせで付けたもの・・死人に贈ったのではないそうです。
クラシックのネタなのにジャジーなのが面白いですネ。

6.サヨナラ(渡辺香津美)
Sayonara -Kazumi Watanabe
少々つかみ所がありませんが、雰囲気のあるいい曲ですね。

7.パッシー・ホーム(渡辺香津美)
Passy Home -Kazumi Watanabe
スチール弦の響きがエキゾチックです・・スパニッシュぽいメロディのせいかな。
7拍子なんかが、実に私のツボを刺激してくれます。(笑)

8.玉子の時間~for Takemitsu~(渡辺香津美)
Tamago No Jikan -Kazumi Watanabe
少々コミカルで子供っぽいネタを、あえて気難しげなジャズで演ってるって感じでしょうか。

9.ワルツ・フォー・デビー(B.エヴァンス)
Watz For Debby -Bill Evans
エヴァンスの名曲・・そして私の大好きな曲でもあります。
アール・クルーの同様のヴァージョンもありますが、全然アプローチが違いますね。
・・香津美師匠はかなりクールに演ってます。

10.ペーパー・ブルース(渡辺香津美)
Paper Blues -Kazumi Watanabe
そのまんまブルーズですが、このラインナップの中では随分異色に感じますネ。

11.マイルストーンズ(M.デイヴィス)
Milestones -Miles Davis
すんなり演らないのが、マイルスに対する敬意でしょうか。
ハードに一発!師匠らしい演奏じゃないでしょうか。

12.セ・トゥ・デラ・シア・モルテ“貴女が私の死の栄光を”(A.スカルラッティ)
Se Tu Della Mia Morte -Alessandro Scarlatti
タニカワ・コウヨウ氏のアレンジとクレジットされてますね。
ガットギターをバックに、甘い音色のエレクトリックギターでのマッタリと叙情的な展開です。
スカルラッティといえば、親父のアレッサンドロと息子のドメニコが、バロック時代の有名作曲家一族として名高いですネ。
ドメニコが“大バッハ”(#1の作者)とほぼ同世代ながら、作風が全く違いとても近代風で、特にピアノソナタがすばらしいんです。
父のアレッサンドロはマルチな方だったようで、この作品もそんな珠玉の名作群のひとつのようです。

このパフォーマンスは'02年8/21,22の王子ホールと、同年11/11ソニー・スタジオとで収録されたようです。
程良い緊張感を持って敢行されたと聞きます。
私もいつか師匠の演奏を、是非生で体験してみたいものです。

つい先日、このシリーズの4作目がリリースされましたネ。
・・シリーズ化されても、困っちゃうんですが・・。(涙)


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2 コメント

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Unknown (FUSION)
2007-05-16 00:33:24
お邪魔します。

実はこのシリーズ、全く聴いていません・・・と言うかCD持ってません(汗)。正直何故か触手が伸びないのですよネ。今回のレヴューを読んで異常なほどに聴きたい衝動に駆られています。
しかし、elmar35さんの所へ立ち寄る度に欲しいCDが増えていきます・・困りました(苦笑)
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FUSION様 (elmar35)
2007-05-17 22:13:11
コメントありがとうございます。
そうですか・・すんません。(笑)
このシリーズ、結構値も張ってるので余計買いにくいですよね。
まあ、ソロなんで、師匠と言えども別物と思われても差し支え無いかと・・。
余裕の出来た時にでも纏めて如何でしょうか。
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