遙かなる透明という幻影の言語を尋ねて彷徨う。

現代詩および短詩系文学(短歌・俳句)を尋ねて。〔言葉〕まかせの〔脚〕まかせ!非日常の風に吹かれる旅の果てまで。

現代詩「はながい」

2010-09-05 | 現代詩作品
はながい*



祖母が「ばたばた茶」を立てると
隣近所から集まる笑顔が
炉端に後生の身をさらして和やかだった


あれから近所の笑顔も
祖母ともども雲の彼方へ
いま、ふり向く少年の日の肌寒く


無言を装って流れる朝の小川
取り壊した古い家の炉端あたりに佇むと
香ばしい「ばたばた茶」が立ちあがり
急に
牛の突進だ!


雪解け水に混じる
死者たちの声
牛の鼻輪、鼻繋、花籠、  
川の綱を手離したのは誰だ
想像力の欠如のしぶきに打たれる          
むづかしい言葉は、罪だ



* 牛の鼻に通す環状の木。はなぎ。