ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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J1第34節 ヴァンフォーレ甲府対FC東京(甲府・小瀬スポーツ公園陸上競技場)0-1

2007-12-05 14:08:14 | サッカー
昨年も訪れたアウェイ甲府戦
昨年も思ったことだが、甲府の試合運営は素朴で温かい。アウェイチームが本当に歓迎されているんだなということを感じる。
今回も無料でほうとうの麺や観光案内のパンフレットを配っていた。別に物をくれたからというわけではないが、
試合に訪れた人たちに山梨を好きになってもらいたいという、地元の方々のもてなしの心を感じる。

さて、今年のJリーグもいよいよ最終節。個人的にもいろいろとあっていつになく長く感じられたシーズンだった。
率直に言って今年ほどつまらないシーズンはなかった。思い返してみて印象に残っている試合がないのだ。
「何かが足りない」、そういう"引っかかり"を感じながらスタジアムへ通い続けた。
試合を見ながら奮い立つような「何か」が足りない。それは何なのか。
03年のホーム最終節ヴェルディ戦、04年のナビスコカップ決勝、
05年のホームガンバ戦、06年の同じくホームガンバ戦、ホーム川崎戦・・・。
勝てないまでもひりひりとした興奮を味わうことのできた試合が毎年少なくとも1試合はあった。
見終わって「いいもの見せてもらったなあ」、「今年はこの試合が見られたからいいや」、と思える試合が何試合かはあった。
でも、今年のシーズンはそういう痺れるようなゲームにはついぞ出会えなかった。(残りの天皇杯には期待したいけど・・・)
そして、この甲府戦でも結局、そういう沸き立つような興奮を味わうことはできなかった。
"引っかかり"はこの試合でもぬぐえなかった。

序盤から試合を支配したのは甲府だった。2部降格が決定したチームの消化試合とは思えない闘争心で向かってくる。
最後ぐらいはホームで勝ってサポーターを喜ばせてあげたいというモチベーションを感じる。
セカンドボールをきっちりと競ってマイボールにすると、ショートパスを美しく繋いでくる。
スペースを埋める動きが鮮やかで、東京のプレスがかからない。
詰まってきたなと感じると即座にサイドチェンジを織り交ぜてくる。これぞモダンフットボールだ。
このチームがどうして降格するのかと思う。
バレーが去った後の甲府はペナルティエリアで最後の仕事をする選手がいない。
決定的なFWを欠いたことが大きい。惜しいと思う。このオートマティズムやオフ・ザ・ボールのクレバーな動き。
大木監督のサッカーはほとんど完成していたのに、最後のワンピースを埋められなかった。

東京は梶山、馬場の調子がいまひとつ。G大阪戦で見せたような流動的な躍動感が見られない。
石川は右サイドで奮闘するが、徳永との連携があまり見られない。左サイドの鈴木規郎は精細を欠いて動きが鈍い。

原さんのサイドアタックは完全にワンパターン化してしまっている。なぜか。
ひとえに中で仕事ができる選手がいないからではないかと思う。
外から中、中から外という自在なボール捌きがサイドアタックの生命線である。
02年、03年頃にケリーがトップ下を務めていたときにはセンターにきちっとボールが収まった。
右を疾走する石川からケリーにクロスが当たる。
それを石川を追い越した加地にもう一度捌き、中でアマラオとケリーが待ち受ける。
あるいは宮沢から正確なフィードを受け取った戸田がトップスピードで左サイド奥深くまで抉って行く。
スピーディで果敢なサイド攻撃で年間4位の座を射止めた03年頃が、
今思えば原トーキョーの最も完成していた時期だったのだと思う。(かなりノスタルジックな回顧だが・・・)

今はサイドで石川が奥深くまで持ち込んでも後ろからのフォローがない。
苦し紛れにクロスを入れても相手DFに囲まれて孤立するルーカスがいるばかりである。
一本調子で工夫がない。そしてそのパターンを相手に完全に読まれている。
中で待ち受けるべき馬場や栗澤の出来如何で石川が機能不全に陥ってしまう。
規郎に至ってはサイドでどういう動きをすればいいのかさえ分かっていない。
結局サイドアタックの再構築ができないまま1年を費やしたということだ。

ゲームは攻め立てる甲府に受けに廻る東京という構図のまま、時間だけが過ぎていく。
東京にとっては凡そ山場のない単調な展開。後半負傷で馬場がアウト、
代わりに入った川口がトップになり、ルーカスが1.5列目に下がる。
運動量の多い川口が前線でかき回すことで、ルーカスが前を向けるようになる。
甲府のディフェンス陣に疲れもあってか次第にギャップができてきた。
川口の奮闘で何とか流れを手繰り寄せた東京は、そのギャップを突いて終盤ルーカスがPKをゲット。
自らそれを沈めて辛くも逃げ切った。
勝利には再三のピンチを凌いだ塩田の鉄壁のセーヴィングも大きい。

最終戦でなんとか勝点3をもぎ取ったというだけの凡戦である。
甲府のサッカーのほうが格段に面白かった。
そう、面白い、わくわくするようなスペクタクル。それが今年の東京には見られなかった。
画して原さんの志向するサッカーは今年、開花することなく終わった。
そのことについてはまた書こうと思うが、来年は監督も代わり恐らくサッカーの質も変わるだろう。
ひとまずリーグ戦はこれで終わったが、残る天皇杯で最後の意地を見せて欲しい。

甲府からの帰り、観戦の仲間たちとほうとうを食べた。
寒いこれからの季節はかぼちゃやきのこがたっぷり入ったほうとうは体も温まってほっこりとする。
来年はこれが出来ないのが残念。甲府にはぜひ1年でJ1に戻ってきて欲しい。
もちろん東京がJ1にい続けることが前提だけど。


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