ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

J1第11節 ヴァンフォーレ甲府対FC東京(甲府・小瀬スポーツ公園陸上競技場)1-3

2006-05-05 07:11:48 | サッカー
晴れ。ゴールデン・ウィークは何かと疲れてしまって更新も遅れがちになってしまっている。
いささかネタが古くなってしまった感もあるけれど、5月3日のFC東京の試合結果を書いておこうと思う。

青と赤の呉越同舟。妙な親近感というか近親憎悪というか・・・。

ゴールデン・ウィークの後半が始まり、Jリーグも3連戦の2戦目となった。
さわやかな五月晴れのもと甲府でヴァンフォーレ甲府との対戦。
甲州街道を下って甲府に行くわけだが、中央高速の大渋滞も予想されるため、朝4時前に起きだして出発した。

アウェイに出かけるときにはいつもわくわくするものだが、とりわけ今日は遠足気分。
下りの大渋滞が始まる前にまんまと都内を脱出できたおかげで、小瀬スポーツ公園に着いたのは何と朝の7時前。
甲府郊外の、のんびりとした田園地帯の中にあるスポーツ公園。
視界をさえぎる高い建物がないので、甲府が四方を山に囲まれている盆地であることが良く分かる。
八ヶ岳連峰がまだ雪をかぶって輝いており、美しい。心がすっと洗われていくよう。
この風景を見に来ただけでも早起きしてきたかいがあるというもの。

・・・とにかくかつて経験したことのない異様な感じ。
特にアウェイに行くと、青赤を見つけてはホッとしたりするものだが、今回ばかりは右を見ても左を見ても青赤。
胸を見て「はくばく」とあるのを確認しないといけない。
そのせいか、浦和あたりにあるような殺伐とした雰囲気がない。
売店のおばちゃんやボランティア・スタッフの方々も「ようこそいらっしゃいました」と歓迎してくれる。
極めつけは中学生ぐらいの男の子に「ご苦労様です。今日はお互いがんばりましょう」と声をかけられたこと。
「お、おう!がんばろうな」嬉しくなってしまった。
甲府がJ1に上がったことで、こういう形で甲府の人たちの間にサッカーが根付いていくのはすばらしいことだと思う。
地元と一体となって前に進むクラブ。これぞJリーグ。

公園の周りをジョギングしたり、子供と広場でボールを蹴ったり、芝生で早々とビールを飲んだりして、
まるで休日の公園にいる感覚で長い待ち時間をのんびりと過ごした。

「似ている!」
とにかく青赤以外にもよく似ているのだ。
甲府のサッカーはボールを持ったらワンタッチ・ツータッチでパス交換しながら縦にすばやく攻め込んでいく、カウンター主体の攻撃。
意思統一されていてよく走る。
かつての東京がJ1昇格当初に見せた、ひたむきさがある。
そして、サポーターのチャントも東京と同じ曲がいくつもあって、これまたよく似ている。
「ブラジル」や「コーヒールンバ」が流れてきたときには東京のゴール裏から思わず苦笑いがもれたほど。

1万5千のキャパのスタンドは前売り完売の超満員に膨れ上がっており、バックもメインもゴール裏に唱和していい雰囲気を作っている。
それでも、青赤なのでどうもアウェイの感じがしない。

試合は序盤から東京が攻める。
まだガーロ監督の目指すサッカーが完成されたというわけではなくて、どことなく中途半端な感じが否めないが、
パスを繋ごう、それによって主導権をもって戦おうという意識だけは伝わってくる。
しかし、フィニッシュの精度が悪い。最後のところでもたついたりミスしたりする。
28分ごろだったか甲府のペナルティエリア付近まで攻め込んでボールを受けた梶山が、シュートコースも空いていて、
フリーで自分が打てる体勢にいたのに、横パスをルーカスに送ってしまったシーンがあった。
「そこまできたらもうシュートだろう!」というようなところでパスしてしまう梶山。
このあたりのメンタリティがまだまだだなと思う。梶山は原さんの「遺言」を忘れたのか?

攻め込んでいながら、決められず逆にカウンターから失点してしまってバランスを崩す。
これが東京の悪いパターンで、今日もそんな展開になってしまった。
中央付近で奪われたボールを速く前に運ばれサイドに開いていた宇留野に決められ1点献上。
これで、スタンドも一体となって俄然盛り上がってきた。かなりやばい展開。
案の定、東京は中盤がずるずると下がりだして空いたスペースを甲府に使われ始める。
プレスも甘くなり、流れは徐々に甲府に傾き始めた。

後半、赤嶺に代えてリチェーリを投入。反撃を開始。
青赤の先輩としての意地を見せなければいけない。
甲府はラインを高く保ってコンパクトな陣形で攻めてくる。
東京もハーフタイムの修正が効いたのか、受けに回らず中盤を押し上げて打ち合いの展開となる。
引いて守られるよりこの展開のほうが東京にとってもいい。試合も盛り上がるし。

宮沢に代わって入った小澤が前線で動き待ってかく乱し、リズムが生まれ始める。
そして川口。彼の献身的な動きが無言のうちにイレブンを引っ張っていく。
キャプテンシーを持った頼もしい男だと思う。
ルーカスが中盤でタメを作ってくれて、リチェーリにパスが出る。
それが右のファーサイドでフリーで待ち受けていた川口へ。川口がしっかりとそれを決めて同点。
やはり川口がやってくれた。

CKからのルーカスがヘッドで決めた2点目を演出したのも川口だ。
川口が前線へと持ち込んだボールがCKを呼び込んだもの。
この逆転で東京のゴール裏が俄然盛り上がる。

この後の残り15分、甲府はホームの後押しを受けて攻め込む。
何度もひやひやしながら我慢の連続。
しかし、東京はここでも気持ちで守りに入ることがなかった。
それを引っ張っていったのはまたしても川口。
ロスタイム。川口のクロスにしっかりと合わせたルーカスがロング・レンジのシュートをきれいに決めて、勝負は決した。

僕の中ではMOMは川口信男だ。若い東京にあって磐田でいくつものタイトルを取ってきた彼の存在は大きい。
移籍してきたばかりの東京で彼が献身的に見せてくれるこの心のこもったプレーはどうだ。
そしてしっかりと若手を鼓舞して引っ張っていこうとしている。
梶山やノリオ、馬場憂太あたりはぜひとも見習ってほしい。
本当に頼もしい男が加わってくれた。

アウェイでの逆転勝ちを見たのはいつ以来だろうか?今季初の連勝。
天気にも恵まれ、何はともあれ最高のアウェイだった。
おまけに抽選に当たってお米までもらい、何から何まで快心の甲府遠足だった。


最新の画像もっと見る