実はまったく違うものを買う目的で行ったのに、見つからずに売り場をさまよっていて見つけたのがこのアルバム。まあ、よくあることである。
Jigsawと言えば「Sky High」。
私たちの世代にとっては誰しも聞いたことのある大ヒット曲。
とりわけ日本ではJigsawと言えばこの「Sky High」のワンヒット・ワンダーと思われていて、これ以外の楽曲がほとんど評価されていない。
一発屋の悲しき性である。日本ではミル・マスカラスの入場曲としても知られていて、
マイナー調のキャッチーかつ重厚なメロディーがいかにもプロレスで使われそうな雰囲気だけど、
後半は転調してそれこそ抜けるような青空をイメージしたさわやかな曲調へと変化する。
この曲が収められたアルバム『Jigsaw』は最近、彼らの数枚のアルバムと共に盛りだくさんのボーナス・トラックをつけてリ・イシューされた。
VANDAの佐野邦彦氏が丁寧なライナー・ノートを書かれている。
それにしてもこのアルバムを聞けば聞くほど、この大ヒットしたタイトル曲だけが異質な曲だということが分かる。
メンバーには、以前弟の結婚式用BGMでも取り上げたFlying MachineやFortunesなど、
いわゆるブリティッシュ・ポップスのグループ出身者がいるので、
ブリティッシュ独特のちょっとウェットな香りを残しつつも、洗練されたメロディーで非常に水準の高いポップスが展開されている。
「Sky High」の感じとはずいぶんと雰囲気が違うのである。
そういうわけでJigsawを「Sky High」だけのグループだと思っていると、いい意味で裏切られる。
こんないいグループが大ヒットのゆえに却って低い評価に甘んじているのがちょっと残念だけど、
30年以上も経た今年、こういうグループのアルバムがしっかりとしたパッケージでリ・イシューされるということは、
とても正しいことのような気がする。