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「痔」には、ミイラが効くという説 「益軒全集 大和本草批正」

2019-11-14 00:10:01 | ミイラ薬
「痔」には、ミイラが効くという説
                            2019.11

「益軒全集 大和本草批正」(小野蘭山、 1729-1810)には、当時の、ミイラの薬効について、批判的に述べています。
ミイラの薬効は、ミイラ作りに使用されたバルサム(樹脂)と同じであり、バルサムは、「痔」には効く油である、(つまりは、他には効き目なし)と述べています。
題名に「批正」と付いている通り、間違いを正すと言うことで、ミイラの薬効についての伝聞の誤りを正したものです。
とはいえ、現代から見れば、間違っている部分もあります。これは、仕方の無いことでしょう。
  
以下、本文。

みいら  舶来の物である。数種類ある。

木乃伊(ミイラ)は、人を密漬にしたものを云う。
唐音(注:唐音とは、中国語での発音。木乃伊の現代北京音は、MuNaiYi ムーナイイー)もないという。
ミイラは、外国語(蛮名)も「みい」であり、発音が似ているので、一時的に「木乃伊 ミイラ」にあてた。
この説は、「六物新誌」に詳しく書かれている。

ミイラは、ヱゲフ(エジプト)、テンランド(天方国、アラビア)ランドは、島のことである、及びアレキサンテレイヤ(アレキサンドリア:エジプトの海港都市。ここにはミイラがないが、この港からミイラがヨーロッパに輸出された。)の古い墓より、掘り出したものである。
その国の習慣として、人が死ねば、腸や胃等の内蔵を除去し、バルサムに浸し、布にくるんで葬むった。
それで、布目といって、上質の薬とした。
偽物にも、布目があるのもある。骨が有る物を上質とする。
骨ミイラと称した。

そのように処理された遺体が葬むられて、長い年月が過ぎ、その人の親族がいなくなり、その主のいない屍を掘り出すが、これがミイラである。
高貴な人は、本物のバルサムを用い、身分の低い者は、鉱物油(原文は、池油)を用いたので、これを(低級品)下物とした。

おらんだ話と云う仮名本に、ミイラのことについて数種類の説が記載されているが、皆誤りである。
バルサムは、木の脂(ヤニ)であり、痔には効果のある油である。






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