江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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「福島県耶麻郡誌」中の怪異伝説  その4

2023-06-03 23:13:33 |  伝説

「福島県耶麻郡誌」中の怪異伝説  その4

                         2023.6
第十八章 口碑傅説
   第一節 口碑(こうひ)

16.翁島(おきなじま:猪苗代町)  
その島は、翁島村字戸ノロの東南三町(330m位)ばかり、猪苗代湖中にある。
(今は、陸と地続きになり、島ではない。)
東西二町三十間(約270m)、南北二町(220m)余りで、様々な樹が生い茂っている。
村老の説に、昔夫婦の老人がいて、ここに長く住んでいた。
そのことに因って翁島と名づけられたと。
中に小さな祠(ほこら)があり、翁明神と言う。

17.百堂山 
磐梯村(磐梯町)字(あざ)本寺の北七町(約760m)ばかりにある。
昔、恵日寺(えにちじ)繁昌の時、百の堂があったとして、この名がある。

18.鬼清水  
本寺の東北二十二町(約2400m)に五鬼巌(ゴキイワヤと読むのだろうか?)というのがある。
その巌の下より清水が湧き出している。
その岩に、昔五つの鬼が常に住んでいて、この清水を呑んでいたと云う。
空海が加持祈祷をした時に、この鬼たちも失せ去ったという。


19.恵日寺寺領  
村老の口碑(こうはい:口伝え)に、恵日寺(えにちじ)繁昌の時は、寺領は、今を以って見るに、十八萬石であった、と言う。
又、葦名家の四天宿老の一人であった富田氏の児も当寺の役人であったと言う。

注:恵日寺(えにちじ)は、磐梯町にある。昔は、大変に栄えていて、往事は、僧300人、僧兵数千人を数えたという。これは、大げさであろう。磐梯町は、冬は、雪におおわれ、寒冷の地である。これだけの人数を養う程の生産力があったとは、思えない。
また、寒冷の地であることと、お寺を援助する武将もいなかったので、衰退したのであろう。
しかし、東北には、数少ない大きな寺院であったことは、間違いなさそうである。

20.梵字清水  
磐梯村字大寺の東北の方三十町(約3300m)にあり。
一間(180cm)四方である。
空海が、河沼郡にて病悩山を加持し、空中に濁鈷を投し、寺院を建てるのに良い勝地を占った。
初めは、どこに落ちたのか、わからなかった。
然るに、この清水の辺に来て休んで、名号を唱えると、梵文(ぼんぶん:サンスクリット文字=古代インド文字)がたちまち空中にあらわれて、西北の方にたなびいたので、その落ちた所を尋ね得たと言う。

 

 



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