社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

宋文洲さんのメルマガ

2007-05-26 00:23:52 | 日常
宋文洲さんのメルマガからのコラムを紹介します。

中国の株バブルが問題になる
宋 文洲

成長を謳歌している中国経済は、大変難しい局面に
突入する可能性が高くなりました。中国の株式市場はあらゆる
バブルの要素を全部揃えました。中国人しか飲まない
「マウタイ」というお酒を生産しているメーカーのPERは60倍にも
達しています。長寿薬でも生産しているかのようです。

銀行の店頭では口座開設を待つ人々が長い行列を成していました。一億人以上
の個人投資家が既に口座を開設し、預金を引き出して株に注ぎ込みます。その
口座開設の勢いはいまだに衰えるどころか、ますます過熱気味になっている模
様です。

退職生活者からOL、家政婦までも株式投資に手を染め、損した人がいないとい
うことでますます株神話を助長し、企業分析もせず噂で株価が急上昇するケー
スが目立ちます。

昨年末に2,000ポイント台の株価は今や4,000を越え、この原稿を書い
ている22日の今日も上がり続けています。

不当に高い株価を正当化するための理屈はたくさん発明され、人々はその理屈
に無条件に賛同し、見かけ資産の増加に陶酔しています。

中国政府が加熱を警戒し、金利上げに踏み込みましたが、発表した翌日にも、
むしろ株価が上がる始末になってしまいました。理由は面白いです。利上げし
ても株価が下がらないのだから安心して株が買えるというのです。

長い間不振だった中国株がある程度上昇するのは自然なことですが、いくらな
んでもここまで上昇するとは専門家も当局も想像もできませんでした。人民元
安と低金利で金余り現象を引き起こした上、上場企業の大幅な利益改善も安心
感を与えました。それと株式市場以外に投資先が少ないことも要因です。

しかし、多くの利益を弾きだしたのは巨大な石油会社、銀行と通信会社であり、
独占の結果です。中国を含む世界の市場で世界レベルの競争に参加しているモ
ノ作り会社はわずかな利益しか手に入れていません。

人々はいずれ冷静になります。価値の無いものはいずれ認識されます。そのと
きに逆回転が始まります。ほとんどの人々が株式市場での痛い経験をしていな
いため、この先は読めない領域です。

中国株式市場は世界のそれと隔離されているので暴落時の影響は限定的でしょ
うが、問題はそれがきっかけに起きる経済のスローダウンです。人民元の是正
とアメリカの景気後退もあって中国経済はいつまでも強気一辺倒のはずがあり
ません。

多くの人々はオリンピックまで株の上昇が続くと考えていますが、この考え自
体が問題です。

中国株式に投資している読者が居られたら暫くは慎重に考えたほうが良さそう
です。中国経済も他の市場と同様に厳しい洗礼を受けない限り、本物になれな
いと思います。もちろん、株式投資は最終的には自己責任で判断するものとい
うことは言うまでもありません。