社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

プロフェショナル 

2007-05-08 23:41:39 | 日常
今夜のNHK「プロフェショナル 仕事の流儀」は
経営者 坂本さんでした。
経営者とはどうあるべきか?を考えさせるものでした。


毎年200億円の赤字を出していた大手半導体メーカーを
わずか1年で黒字企業によみがえらせた経営者、坂本幸雄(59歳)。
体育大学を卒業後、アメリカの大手半導体メーカーに就職。
工場の倉庫係から始まり、役員までのぼりつめた異色の経歴。
国内外の半導体企業を次々に建て直し、再建のプロとして名をとどろかせる。
現在、1兆6000億円を投資し、シェア世界一に挑む。
巨大マネーが動く現場に密着し、経営者の流儀に迫る。

坂本はアメリカの大手半導体メーカーを退社後、赤字企業を次々と再建し、
「再生請負人」の異名を取ってきた。現在の会社も、
3年連続200億を超える赤字を出していたにも関わらず、
わずか1年で黒字化した。なぜ坂本の元では会社がよみがえるのか。
それは、刻々と変わる会社の状況を坂本が逐一把握し、
その都度適切な手を打つからだ。坂本は毎朝出社すると、
まず工場の生産状況を示すデータを頭にたたき込む。
それが終われば営業マンたちの立ちミーティングに参加し、
現場の生の情報を仕入れる。「社長が社長室にこもって
長期戦略ばかり考えているなんてあり得ない。
日々の細かな情報が頭に入ってなかったら、長期戦略なんて立てようがない」

「会社のすべてを知る」。その最大の利点は、
経営判断のスピードにある。経営者は常に決断を迫られる存在だが、
坂本が決断を棚上げすることはめったにない。
必要な情報は、すでに頭の中にあるからだ。
「トップが迷っていつまでも決断しないことが、最大の罪」
と坂本は考える。その経営哲学は、坂本の異色の経歴と無縁ではない。
体育大学を卒業し、就職したアメリカの半導体メーカーでは、
工場の倉庫係からたたき上げた。経営判断の遅れが、
どれほど現場に迷惑をかけるか。坂本は体に刻み込んでいる。

坂本は時に、数千億円の金が動く大きな決断を迫られる。
一歩間違えれば、会社が傾きかねない。だが猛烈な重圧がかかる時こそ
、坂本はすべてを一人で背負うことにこだわる。
「たとえワンマンと言われようと、大きな投資はトップが一人で
決めなければならない。大勢の意見を聞いていたら、
リスクをとることができず、中庸な経営判断に終始してしまう。
半導体業界では、そういう会社は生き残れない」

以上が番組の内容です。
坂本さんのすばらしいところは、
第一に、社長も従業員も同じ目線で仕事をすることです。
だから、従業員は「坂本さん」と呼びます。
社長、部長という肩書きでいい気になっている日本の管理職
彼らに明日はないでしょう。
第二は、リーダーが決断をし、その責任は全て負うこと。
決断が出来ない、責任も負わないリーダーが多くありませんか?

日本の会社では、当たり前に行われていることを
180度転換しています。
しかし、坂本さんのスタンスこそが
リーダーとして示すべき姿だと思います。


精神論リーダー

2007-05-08 00:42:09 | 日常
宋 文洲さんのコラムから面白い記事を紹介します。
皆さんの周りにも、こんな人いませんか?

「この頃の世間は思いやりがない。私の所の幹部も思いやりが足りない。
日本の学校では思いやりを教えない。マスコミも思いやりを忘れている…」

 先日、友人と銀座の料理屋に食事に行った時に、
隣の席で経営者風の男性が、お連れの女性に、
思いやりについて熱く語っていました。それから30分後、
その男性はネオン街に消えていきました。

 私は、この男性が女性の前でいかに自分が思いやりを持っている人間なのか、
宣伝したい気持ちはよく分かりました。
ですが、この人を思いやりに溢れている、
と素直に認めることはできませんでした。

 この男性は自分が吸った12本の吸殻の入った灰皿、
私の前に置いていたのです。
吸殻の煙と臭いが30分にわたって私を燻べ続けました。
おかげさまで燻製ソーセージの気持ちがよく分かりました。

 男性が立ち去った席を見て、私の友人が言いました。
「宋さん、こんな人に思いやりを語られたくないですね」

自分を客観的に見られない人ほど好む

 精神論を好む人は、自分を客観的に見ることはできません。
自分が主張している精神論に自らの行動は抵触しているのだ、
と気づく力はないのです。精神論を語るリーダーには共通項があります。
思い込みの膨張と具体論の欠如です。

 私が見るに、だいたい精神論を好むリーダーは実務に携わっていません。
ですから理不尽な現実に直面すると、持論では解決しないと分かるはずです。
精神論を過剰に語る組織は、良い組織ではありません。
宗教のように、自分の精神論に合わない現実を無視してしまうからです。
「市場対応」という最もシンプルかつ具体的そして難しい作業には、
高尚な精神論は何の役にも立たないのです。

例えば、変化を求める時。“精神論リーダー”は
「変化の意欲さえあれば変化できる」と思い込み、
大声で組織に変化を呼びかけます。何年間も「変化! 変化!」
と熱く呼びかけても、なかなか変わらない状況を見て
「チェンジ!」と言い方を変えてみたりします。
しかし、組織は意欲で変わるものではなく、
異なる選択肢と具体的な道筋を知って変化するのです。
変化とは、異なるオプションへのシフトであり、
決して無から有を生み出すものではありません。
精神論以外の異なるオプションを知らないリーダーこそ変化すべきなのに。

 例えば、結果を出したい時。「結果が全て!」「勝てば官軍」
という旧式の言い方もあれば「儲けるが勝ち」という新型の言い方もあります。
しかし、結果の重要性は誰でも分かります。
部下たちが困っているのは、どうしたら結果を出せるかの具体論です。
一緒になって具体論を編み出そうとしない“精神論リーダー”は
「どうしたらいいか」に答えず、「必死になれば必ず結果が出る」
と嘘をつくのです。「必死」は必ず死ぬことです。
死んだら何の結果も出せないのです。“
精神論リーダー”は、必ず自分は安全な所にいながら、部下に犠牲を求めます。

 例えば、社員を大事にすることについて。“
精神論リーダー”はこの言葉が大好きです。
「会社は社員のものです」と嘘をつきながら、
「俺は部下たちを食わしている」と奴隷の主を気取るのです。
そんな会社に限って残業が横行し、残業代もろくに払わないのです。
そんな会社に限って、辞める社員を裏切り者扱いするのです。
「会社は株主のもの」と会社法に書いてあるのに、
わざと「社員のもの」と強弁する神経は分かりません。“
精神論リーダー”は「会社は株主のものであり、
顧客と社員のために存在する」ことを具現化できない人たちです。

他人に押しつける精神論はない

 私が知っている素晴らしいリーダーたちがいます。
トヨタ自動車の張富士夫元社長、全日本空輸の大橋洋治元社長、
伊藤忠商事の丹羽宇一郎元社長、東芝の西室泰三元社長と
皆さんは「もと」になりましたが、今の景気の「もと」を作った人々です。
どなたも大変な哲学と精神力の持ち主ですが、
決して自らそれを多く語りません。
私はどなたともお話をさせていただいたことがあります。
その時、どなたも身を乗り出し、若造の私に具体的な意見を求められたのです。
この時の姿は、決して忘れることはできません。

 我々は、精神を大事にしたいからこそ、
他人に押しつけることはできないのです。
我々は、精神を大事にしたいからこそ、
他人を動かす道具にすることはできないのです。