社長の独り言

資産運用コンサルタントの社長日記です

高速ツアーバス 格安競争の裏側

2007-05-01 08:56:51 | 日常
昨日のNHKのスペシャル番組で取り上げられた、
高速ツアーバスの裏側について、コメントします。

夜9時、大阪駅から1㎞程離れた民間の駐車場が突如変貌する。
およそ40台の超大型バスが頻繁に発着する。春休みの学生、
単身赴任のサラリーマンなど千人を超える乗客が路上にあふれ出す。
ここは東京、九州などへ旅立っていく「都市間ツアーバス」のターミナルだ。
2000年に行われたバス業界の規制緩和で高速バス界は大きく変貌した。
「ドル箱路線」と呼ばれ、最も激しい競争が繰り広げられる大阪-東京路線。
かつては8000円台だった片道運賃が格安競争により半額以下に減少した。
とりわけ成長著しいのが、規制緩和によって参入した
バス会社を傘下におさめる旅行会社だ。徹底したマーケティング戦略、
さらにインターネットを駆使し、客の争奪戦を繰り広げる。
その一方で、下請けのバス会社は、激しい車体の消耗と
安いバス代に苦悩しながら、安全運行の努力を続けている。
急成長を続け業界の覇権を握ろうとする旅行会社。
激しい安売り競争の中で揺れる下請けのバス会社。
そして新興の「都市間ツアーバス」に対し、安全面での警鐘を鳴らす
老舗の大手バス会社。一年で一番賑わう春の観光シーズン、
各社はどう動いたのか。規制緩和がもたらした苛烈な競争の舞台裏を描く。

以上が番組の内容でした。
まず、強く感じたのが旅行会社の姿勢、スタンスでした。
兎に角、乗客数を増やしたい、空席率を減らしたいとの
方針があり、価格のダンピング合戦をしている。
その結果、コストのツケをまわされるのが、下請け、孫請けの
バス会社です。
旅行会社は、バス会社との関係をどのように位置付けしているか?
完全に、役所と業者の関係に見えました。
つまり、「使ってやる」というスタンスです。

一方、バス会社は安価な料金に我慢せざるを得ない中、
赤字になっても、仕事を請けることになります。
赤字でも、お金がないと整備代、人件費を捻出出来ません。
番組では、ある孫受けバス会社を取材しました。
その会社のバス運転手の勤務体制な過酷なものでした。
東京ー大阪を一往復すると3日かかります。
それを、3回連続勤務し1日の休みがあります。
つまり、1ヶ月のうち休みは3日だけです。
それで、給与は月30万円程度です。

この現状をまねいているのは、旅行会社だけの問題ではありません。
行政にも大きな責任があります。
格安競争を監督する法整備がないのです。
つまり、一定価格以下を排除する法整備が無い為、
旅行会社は、ダンピング競争になります。
運輸局も目安となる、価格を示していますが、
これを遵守させる為の法整備が出来ていません。

今年、事故を起こした「あずみの観光」の場合も
この価格を大きく下回る価格で、仕事を請け負っていました。
その結果が、人件費を削ることになり運転手に過酷な
勤務をさせ、最終的に事故を起こす結果となりました。

乗客数を増やし、売上を増やす旅行会社、
都心の一等地に本社を構え、パーティーでシャンパンを
飲み、バカ騒ぎをしている旅行会社。
その陰では、地方の片田舎に本社を置き、
赤字に悩むバス会社。
この業界の構図は明らかに間違っています。
お互いがパートナーとして、共に発展してこそ
お互いの将来は明るいものになります。
一人勝ちは有り得ません。
この旅行会社もいつかは
そのツケを払うことになるでしょう。