ITmedia D モバイルにW-SIM訴訟の内容が出ていた。
既報のとおり、3月24日にヒューネット・ディスプレイテクノロジー(HDT)はウィルコムの通信モジュール「W-SIM」が特許権を侵害しているとして訴訟提起を行った。同社が保有する特許は、携帯端末と通信モジュール部分を分離して考えるという、「基本的なところ」(HDT)に関わるものだという。
今回の訴訟でポイントとなる特許の内容は、特許電子図書館から確認できる。特許・実用新案公報DBから「文献種別」をBにして、特許第3048964号を検索すれば中身を閲覧できる。出願日は1997年と、かなり古い日付。もともとは個人が発明したアイデアだったが、HDTが「ベーシックな範囲でとれているため」この特許を買い取った。
同特許は、移動体端末と電話送受信ユニットを分離してとらえるという発想に関わるもの。図面には“通信モジュールを端末に挿し込んで利用する”場面も描かれており、確かにウィルコムのW-SIMを連想させる。
「詳細な説明」の項目には、この発明を活かすことでユーザーが「複数の回線を契約することなしに、時、場所、場合に応じた快適な移動体通信を実現する電話送受信ユニット、移動体通信中継端末、及び移動体通信端末を」利用できると説明されている。説明ではまた、従来は通信モジュールと端末が分離されていなかったため、「PHS一体型端末とPHS端末等とを適宜使い分けているユーザもいた。それぞれ別個に回線使用料を支払わなくてはならず、ユーザの負担が大きくなってしまうという問題があった」と指摘している。W-SIMが開発されたきっかけとなった考え方と、根本的には同じだろう。
HDTは2005年10月頃から、同特許の存在を主張しウィルコムと交渉を行っていた。特許に対する正当な対価を求めていたと見られるが、折り合いがつかなかったことから訴訟提起に至った。「W-SIMの譲渡差し止め」というのは「一般的な言葉を使えば、W-SIMを利用した端末の販売差し止め、ということになる」(HDT)。訴訟の行方次第では、ユーザーは「W-ZERO3」などの端末を購入できなくなる。
なお、HDTは現時点でW-SIMと競合するような製品を開発しているわけではない。同社の主な事業は、液晶製造の技術・特許をライセンス供与すること。「携帯電話にQVGA液晶を搭載することを提案したのは、弊社が一番早かったのではないか」(HDT)という。今回、かつて“取得に値する”と判断して購入した知的財産権を、ウィルコムに対して主張していきたい考えだ。
今回の訴訟で影響を受けるのは、ウィルコムだけではない可能性がある。通信モジュールと端末とを分離して利用するという仕組みは、ソフトバンクやイー・アクセスなども導入を検討していること。通信キャリアお仕着せの端末を提供するのでなく、通信モジュールだけ提供して外側の端末は各メーカーに開発してもらう……というモデルを確立することで、携帯音楽プレーヤーメーカーや携帯ゲーム機メーカーも音声端末に参入できるようにする、という考えだった。
それだけに、先陣を切ってW-SIMの発想を具現化したウィルコムが、HDTの主張とどう折り合いをつけるかは気になるところ。訴訟の成り行き次第では、ソフトバンクやイー・アクセスが「HDTからの訴訟を恐れて」新機軸の端末を打ち出せない可能性もある。なお27日時点でもウィルコムのもとに訴状が届いておらず、追加のコメントはないとのことだった。
「W-SIM訴訟」、影響を受けるのはウィルコムだけではない?
HDTの言い分の「携帯電話にQVGA液晶搭載」というのはW-SIMとはまったく別の問題なのに、そんなことを持ち出すこと自体怪しい会社だ。
日本ではほとんどがQVGA液晶搭載の携帯電話になりつつあるのに、W-SIMのようなものを持たない会社にはQVGA液晶の件は何も言わないつもりなのだろうか。
既報のとおり、3月24日にヒューネット・ディスプレイテクノロジー(HDT)はウィルコムの通信モジュール「W-SIM」が特許権を侵害しているとして訴訟提起を行った。同社が保有する特許は、携帯端末と通信モジュール部分を分離して考えるという、「基本的なところ」(HDT)に関わるものだという。
今回の訴訟でポイントとなる特許の内容は、特許電子図書館から確認できる。特許・実用新案公報DBから「文献種別」をBにして、特許第3048964号を検索すれば中身を閲覧できる。出願日は1997年と、かなり古い日付。もともとは個人が発明したアイデアだったが、HDTが「ベーシックな範囲でとれているため」この特許を買い取った。
同特許は、移動体端末と電話送受信ユニットを分離してとらえるという発想に関わるもの。図面には“通信モジュールを端末に挿し込んで利用する”場面も描かれており、確かにウィルコムのW-SIMを連想させる。
「詳細な説明」の項目には、この発明を活かすことでユーザーが「複数の回線を契約することなしに、時、場所、場合に応じた快適な移動体通信を実現する電話送受信ユニット、移動体通信中継端末、及び移動体通信端末を」利用できると説明されている。説明ではまた、従来は通信モジュールと端末が分離されていなかったため、「PHS一体型端末とPHS端末等とを適宜使い分けているユーザもいた。それぞれ別個に回線使用料を支払わなくてはならず、ユーザの負担が大きくなってしまうという問題があった」と指摘している。W-SIMが開発されたきっかけとなった考え方と、根本的には同じだろう。
HDTは2005年10月頃から、同特許の存在を主張しウィルコムと交渉を行っていた。特許に対する正当な対価を求めていたと見られるが、折り合いがつかなかったことから訴訟提起に至った。「W-SIMの譲渡差し止め」というのは「一般的な言葉を使えば、W-SIMを利用した端末の販売差し止め、ということになる」(HDT)。訴訟の行方次第では、ユーザーは「W-ZERO3」などの端末を購入できなくなる。
なお、HDTは現時点でW-SIMと競合するような製品を開発しているわけではない。同社の主な事業は、液晶製造の技術・特許をライセンス供与すること。「携帯電話にQVGA液晶を搭載することを提案したのは、弊社が一番早かったのではないか」(HDT)という。今回、かつて“取得に値する”と判断して購入した知的財産権を、ウィルコムに対して主張していきたい考えだ。
今回の訴訟で影響を受けるのは、ウィルコムだけではない可能性がある。通信モジュールと端末とを分離して利用するという仕組みは、ソフトバンクやイー・アクセスなども導入を検討していること。通信キャリアお仕着せの端末を提供するのでなく、通信モジュールだけ提供して外側の端末は各メーカーに開発してもらう……というモデルを確立することで、携帯音楽プレーヤーメーカーや携帯ゲーム機メーカーも音声端末に参入できるようにする、という考えだった。
それだけに、先陣を切ってW-SIMの発想を具現化したウィルコムが、HDTの主張とどう折り合いをつけるかは気になるところ。訴訟の成り行き次第では、ソフトバンクやイー・アクセスが「HDTからの訴訟を恐れて」新機軸の端末を打ち出せない可能性もある。なお27日時点でもウィルコムのもとに訴状が届いておらず、追加のコメントはないとのことだった。
「W-SIM訴訟」、影響を受けるのはウィルコムだけではない?
HDTの言い分の「携帯電話にQVGA液晶搭載」というのはW-SIMとはまったく別の問題なのに、そんなことを持ち出すこと自体怪しい会社だ。
日本ではほとんどがQVGA液晶搭載の携帯電話になりつつあるのに、W-SIMのようなものを持たない会社にはQVGA液晶の件は何も言わないつもりなのだろうか。