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【SoftBank】システムトラブルを繰り返す理由

2006年11月07日 23時11分15秒 | SoftBank
 ソフトバンクモバイルが10月28日と29日の両日に携帯電話の番号ポータビリティー(MNP)に関する申し込みを含めた受付業務を停止したシステム障害は、予想通りというか、当然というか、またやってくれた、というのが率直な印象だ。「予想外割」という奇抜な商品名をつけての大攻勢であったが、我々システム関係者の間では「想定内」「孫さんまたやったな!」という感だ。

 ADSL(非対称デジタル加入者線)の時にも同様の光景を見た。「Yahoo!BB」という低価格ブロードバンドサービスを開始したものの、街頭でのモデム配りは押し付け販売とも映り批判があった。また、申し込みが処理能力を超え、開通まで数ヶ月待たされるというトラブルが続発した。

 この騒ぎで各方面からひんしゅくを買ったのは5年前のことである。残念ながらその教訓はあまり生きなかったようだ(もちろんこの騒ぎから、日本におけるADSLブロードバンドが急速に普及したという功績はある)。

 まずは意表をつくマーケッティングで衆目を集め、強引な営業手法で市場シェアを抑え、その間に時間稼ぎをしながらどうするか考え、手を打つ。社会的インフラとしての通信業のこれまでの手法とは180度違うスタイルは、既得権をもつ既存勢力にとって、邪魔であると同時に脅威でもある。

 既存秩序の破壊という面では、確かに功績はあるが、同じ壊すにしても米グーグルのようなイノベーティブな技術を持ってスマートに壊していくことができないというのは、策略ばかりが先行しているということなのだろう。

 携帯電話の契約は他社のサービスも決してわかりやすいとはいえないが、今回のソフトバンクの「ゴールドプラン」「新スーパーボーナス」などこれほどややこしい契約、料金体系も珍しいのではないか。

 新スーパーボーナスには割り引きがあるが、それは実際は分割払いへの充当だから、途中解約時には残債が残るのだという。ソフトバンク携帯電話への通話もすべて0円ではなく、「21時―24時台は、一請求月内に最大200分を超過した場合は、30秒ごとに21円(税込)の通話料がかかります」という。その時間帯に毎日10分ほど電話していると月間300分になる。つまり、超過100分で4200円余分に取られるというわけだ。

 最初にこのプランが発表されたときは、内容はもっと複雑でわかりにくかった。なかでも他社の携帯や固定電話への通話料は時間帯や曜日ごとに細かく分かれ、しかも割高だった。例えば、夕方17時から21時までは平日は30秒あたり25.2円で、土日はさらに高く29.4円というのである。結局、孫さんはこの課金体系を引っ込め、他社への通話を一律30秒21円に値下げすると発表したのだが、では最初にあれだけ細かく通話料を分けたのはなぜだったのか。

 私は最近まで、3社の携帯電話を全て持っていた。比較して一番かかりにくい(回線をつかめない、もしくはハンドオーバーがスムーズでない)のはボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)だった。特にひどいのは盛り場(例えば新宿)の土曜日の夕方だったが、ソフトバンク側もこれをよくわかっていて、当初のようにウィークデーよりも土日の夕方をぐんと値上げして使いにくいようにしたのではとも思えてしまう。

 ソフトバンクモバイルは基地局を充実させる計画も発表している。しかし、「予想外割」より前にまず通信インフラを充実させて、通信会社としての基本を整備するのが先であろう。

 情報システム構築の目的が、経営目標を達成するためであるとすれば、新しい戦略実現に必要な情報システムは、経営戦略立案と同時並行的に実現方策が検討されるべきである。実はこのことをきちんと理解していない経営者が多すぎると思う。ITを熟知している代表のごとく言われる孫さんだが、この点を本当に理解されていたのか疑問だ。

 今回のシステム対応について、もし伝えられるように、上記のような複雑な新しい料金プラン等が、MNP実施直前まで限られたメンバーのみにしか知らされていなかったとしたら、システム対応しろというほうが無理というものだ。

 また、MNPのように、他社の仕組みと密接に関係しているシステムの場合、基本的な仕様は決まっていても、具体的な構築に当っては、関係者相互の連携がうまく取れるか否かの確認が重要である。MNP部分と、新販売戦略用システムを共用するシステム構成が、きちんと稼働するかどうかのテストが十分にできていたとは思いにくい。トラブル後、両システムを分離して運用できていることからも判るように、新販売戦略の促進を優先した結果が今回の事故の原因だろう。

 今後、重要な社会インフラに関する信頼性要求レベルが規定され、実際に要求されるようになる。情報通信分野はもちろん重要な社会インフラだ。今回のソフトバンクのようなケースが続くと、本来各社が自主的に実施すべき情報システムの信頼性保証活動が、法的規制策として議論されるようになる可能性もある。これも孫さんのもたらす期待せざる効果なのか。

[2006年11月7日]


ソフトバンクがシステムトラブルを繰り返す理由【コラム】ビジネス-最新ニュースIT-PLUS

 まったく同感だ。

 DoCoMoとauの二強に対抗するためにソフトバンクは奇襲作戦で挑んできた。しかし、その結果は準備不足によるシステムの混乱であった。

 ソフトバンクからすればこれは「予想外」で済ませてしまうのだろうが、万全の準備をしていない事から、これはある程度予想できたと思える。そんなに簡単に「予想外」にシステムがストップしてはならないという責任感に欠けているとしか言いようがない。

 ユーザーが安心して使えるサービスの提供こそが求められるのに、どうも今のところのソフトバンクにはその要求に応えられるだけの資質があるのか疑問に感じる。

 まずは万全の準備をして、システム(基地局、業務システムを含めて)の増強が先決だろう。

 ソフトバンクは新規ユーザー獲得ばかりに目を奪われ、結果として先週末はシェアを落とすという「予想外」の展開になっている。

 早くも「予想外」な奇襲作戦は出だしからつまづいたと言えそうだ。

 今までスピードを重視してきたソフトバンクが今度はどのように軌道修正してくるのかが楽しみだ。


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