今日は久々の『BOOK観察』でございます・・・テレビばっか見てないでちょっとは本読まなくちゃと思うんですけどねぇ、なかなか。
さて、今回は現在映画が公開中の「博士の愛した数式」の原作を読みました。
ちょっと気になっていた映画なんですが、映画館に足を運ぶほどのものかな・・・と、ちょっと躊躇っておりました。
そんな折、給食のおばちゃんさんのブログに「イマイチだった」との感想がアップされておりました。
その感想を読み、私は躊躇いをなくし、映画ではなく小説を読むことに決めたのでした。
本来は映画を観てから原作を読みたい質なのですが…
それでは、小説の感想を
私、本って基本的に朝晩の通勤時間でチマチマ読み進めるのですが、今回は続きが気になってしょうがなく、お昼休みに読んだり、家に帰ってから読んだりと、一気に読み上げてしまいました。
すごく良かったです。まず、設定がおもしろいですね、よく思いつくもんです。それに全体の構成がとても良いと思います。
80分しか記憶のもたない数学者と家政婦、そしてその二人の仲をつなげる役割を見事に担っている家政婦の息子√(ルート)。
このルートがたかだか10歳という年齢にしてなんと出来た人間か!
博士に対しても、母親に対しても、子供とは思えぬ気遣いです。
中盤、予期せぬタイミングで突然込み上げてきた涙。
「僕の記憶は 80分しか もたない…」
うかつにも電車の中で泣きそうになりました。
映画のプロモで流れているあのシーンだと思われます。
その一言に泣き崩れる博士を見て「80分しか記憶がもたない」ということがどういうことなのか、その現実を毎朝突きつけられている博士の気持ちが一体どんなものなのか・・・それは私の想像を遙かに超えるものであることに気付き、何とも言えない切ない気持ちになりました。
どんな障害を背負おうと、人は生きていかなければならない・・・そこに命がある限り。
読み終わった今、映画を観に行こうか少し迷ってたりするんですが・・・
正直、この物語を映画にしておもしろいのかな、という疑問を抱きます。
お話としては一気に読みほしてしまうほどおもしろかったのですが、主に家政婦さんの心理描写をしたもので、映像になった時、どこまで深く感じ取ることが出来るのだろう、と。
給食のおばちゃんさんが「最初から最後まで淡々としていてインパクトのなく、イマイチだった」とおっしゃられていたように、確かに話の中で特に盛り上がるような出来事もなければ、ビックリするような結末が待ち受けているお話ではありません。ただ、主人公の気持ちに感情移入することが出来れば、きっと何かを得られる、そして温かい気持ちになれる作品だとは思います。
今は本の余韻に浸っていたい気もしますし、大画面で見る必要もないと思いますので、やはりDVDの発売を待とうかな。
映画を観て「イマイチだった」と感じられたのなら、小説を読んでみてはいかがでしょうか
「博士の愛した数式」 映画公式サイト