オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

美麗オショロコマの寄生虫の謎

2014-12-07 22:09:49 | オショロコマの病気
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20XX-7-29  雨 のち 曇

美麗オショロコマの寄生虫の謎

この日、知床のT川で撮影した良型オショロコマの写真を整理しているときに、オショロコマ特有の小型線虫がエラのあたりから出てきて水中を浮遊している様子が撮影されているのに気づいた。






背びれのところにエラから泳ぎだした線虫が写っています。


エラから丸まった線虫が出てきています。ここには少数の線虫しか写っていませんが実はエラのあたりがパーッと白く見えるほど多数の線虫が出てくることもあります。


伸びた格好でせびれの付近を浮遊する線虫。

普通、静止画像ではなかなかうまく撮影できないがこの渓流ではしばしば見られる小型線虫である。

この線虫がエラにびっしり寄生することによりオショロコマが弱っているといった印象はない。

この小型線虫がオショロコマに対してなにか悪さをしているといった印象もない。

線虫寄生のあるオショロコマはいつも元気いっぱいのオショロコマである。この線虫は幼魚からこのような成魚までオショロコマの発育Stageを問わず寄生がみられる。

エラにつく小型線虫は知床の幌萌川、チャラッセナイ川、道南の真狩川のオショロコマで観察しているが、おそらくもっと広範に蔓延している可能性が高いとおもいます。

私は消化管アニサキスについて臨床的に研究していたことがあり論文もいくつか書きました。

この小型線虫は形態からみて成虫ではないと思われます。

おそらく受精卵が水中で孵化し、脱皮をくりかえし第2~3期幼虫がオショロコマのエラに着いているのだと思われます。

さて、一つの仮説ですが、このオショロコマを捕食するのは、まずシマフクロウ、カワガラスなどの鳥類、小型の素早いほ乳類(オコジョ、テン、キタキツネ、タヌキ )もしかしたらヒグマも?? の可能性も考えられます。

汽水域と川を行き来するオショロコマ個体群にもいる場合はトド、アザラシなどの海産ほ乳類が終宿主の可能性もあるでしょう。

この線虫(幼虫)はオショロコマが捕食されることによって捕食者(恐らく終宿主)の消化管内で脱皮をくりかえし成虫(恐らく成虫は体長5cm前後 、雌雄異体で♂♀がいる)になると思われます。

捕食者の消化管内はこの寄生虫の産卵受精の場所であり、捕食者がこの渓流で排便することにより糞便とともに受精卵が大量に水中に排泄されます。 

水中で受精卵から孵化した幼虫は1-2回脱皮をくりかえすうちにオショロコマに経口的に感染しエラに住み着くといった生活環が考えられます。

つまりオショロコマは中間宿主であり、終宿主は野生動物ないし鳥類で、もしかするとオショロコマを生で食べたりするとアニサキスのように人間との関係もでて来るかも知れません。

どなたかこの寄生虫について協同研究してくださる方はいませんでしょうか。

私の不勉強なだけでとっくに調べられているのかもしれませんが、もし未知の寄生虫ならとても興味深い問題だと思います。

一方、十勝川水系音更川のオショロコマの十二指腸には、エラに寄生するものよりはやや大型の線虫が見つかっています。

当初エラについた線虫が一回脱皮したあとは移動して十二指腸につくのだろうか。

それとも上記中間宿主説とは異なりオショロコマの消化管内で成虫になるというオショロコマそのものの自己完結型の寄生虫なのだろうか。





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