40歳からの早期リタイヤ計画

一生独身+賃貸暮らし、手取りの半分を貯め続けて早十数年。IDは怒髪天(JAPANESE R&E)から。

スーパーカブ

2018-01-07 23:50:03 | 05 本
明けましておめでとうございます。
まずは12月中の支出をアップするのが先だが、年明け最初に読んだ本が余りにも良かったので、記憶の薄れないうちにメモしておきたい。

スーパーカブ(トネ・コーケン)
ひとりぼっちの女の子と、世界で最も優れたバイクが紡ぐ、友情の物語。

本の存在は前から知っていて、いつか買って読もうと思っていた。旅行帰り、徳島駅近くの本屋で平積みになっているのを偶然見かけ、関西へ戻るまでの車内で読んだ。ほとんど一気に読了した。

舞台は中央本線日野春駅周辺、R20沿い、山梨と長野の県境。
本文には南アルプス麓とある。自分のイメージでは八ヶ岳の南麓のイメージが強い。八ヶ岳周辺にツーリングへ行った際、記憶に間違いがなければ、日野春駅は何度か立ち停まっている(さすがに小熊がメインバンク?にしている信用金庫までは思い出せないが)。そして、この辺りは何より、小林紀雄・紀晴兄弟の出身が近い。

40も過ぎてもなお微かに覚えている、空間の移動範囲が広がるにつれ少しずつ自分の世界が広がっていくあの感覚が、小熊が少しずつカブの速度を上げたりする度に、自分にも伝わってくる。
大げさでなく昨年夏に北海道をバイクツーリングした際(まだ旅行記をここにアップしていない。早くせねば)や、この年末年始の旅行よりも、心が躍った。これは単に自分が年をとっただけかも知れないが。

カブに乗るための装備を揃えたり、国道20号線や県道を走る上での車両のかわし方あるいはやり過ごし方、そしてバイクでは欠かせない雨のくだり。
バイクは勿論カブ。確か国内販売用のカブにキャブレータ式は無く(礼子がしきりに残念がっているのはこの点)、小熊が手に入れたのはキャブレータ式の最終版。自分のバイクもキャブレータ式なので何となく分かる。って、自分は洗車しかできず、3万キロを超えた今でもオイル交換をバイク屋にお願いしているから、バイク整備の面では小熊の足元にも及ばないのだけれど。

本文中で特に気に入った言葉は、自分でできないことは他人に頼った方が良いこともある(かなり不正確)、と、常に新しいものが最善とは限らない(こっちもかなり不正確)の2つ。

さっき調べたら、既に2巻も出ているらしい。新年早々の楽しみができた。

「コンビニ人間」を読んで(小並感)

2017-06-15 05:48:10 | 05 本
今更ながら、前から読みたいと思っていた「コンビニ人間」を読んだ。
ちょうど、ブックオフで文芸春秋(2016年9月全文掲載号)を108円で入手できたのだ。

感想は、
・主人公の36歳女性に共感するところ多
・ただし、あの男を自宅に招くなんて、自分だったら思い付きもしない
・同じくらいに弟嫁にも共感
・最後の場面は、大昔、横田濱夫か何かで読んだ、「定年退職後に行き場の無くなった元銀行員が自分の勤めていた支店のATM案内を買って出てつまみ出される」話と一緒
・コミュ力が低い人でも、昔は工場勤務や自営業手伝いなどの仕事があった。しかし現在は、そうした仕事は機械・コンピュータに取って変わられてしまい、そうした人にとって適した仕事が無くなった(シロクマ先生の受売り)

それにしても、我ながら小並感あふれる感想だ。

経済産業省の高齢者早く死ね資料について

2017-05-20 14:46:28 | 05 本
ブログのタイトルだが、5月18日に経済産業省が開いた会議の資料を指しており、資料の正式名称は「不安な個人、立ちすくむ国家」である。

(前提)
最初このネタをツイッターで見かけたとき、正直、経済産業省やるじゃんと思ってしまった。その後、TL上で幾つか批判的?なツイートを見かけて思い直し、そこで初めて全65ページを読み始めた。賛成する点もあれば胡散臭さを感じる点もあった。

冒頭に書いたように、この資料は経済産業省の審議会に提出された資料であり(だから資料のクレジット省庁名の記載は不要)、こうしてHPに掲載されている以上、少なくとも上層部の意向が働いていることは間違いない。その点を見誤って経済産業省やるじゃんと思ってしまった自分を小一時間問い詰めてやりたい。
どうせこの手の「中間層を抜きにしてトップ&若者だけで新しいことを考える」なんて、所詮はポーズであるか、あるいは上に好いように使われているに過ぎないのだ、と肝に銘じることにする。

このページを書く理由は、もちろん誰かに対して何かを物申したいとかではなく、単に自分自身の今後を考える際の材料として興味深いと思っただけで、折角だから、他人の感想を読む前に自分の考え・感想をどこかに残しておこうと思っただけだ。(ちなみに【P32】のアンケート調査「社会を変えられるか」で言えば、自分の回答は「そう思わない」である。)


(総論)
良いと思う点は、第1に、高齢者医療費削減や母子家庭貧困に目を向けたこと。ただ、これって最近流行りの「こども保険」につながるのではないだろうか。と思ったら資料の最後にやっぱり「こども保険」が出ている。

第2に、選挙の投票とSNSの関係も何気にすごいと思う。これがBREXIT投票や米大統領選挙を念頭においているのか否か、自分には良く分からないけれど、国内では与党一強の中で、よくこんな危険なページを載せたものだと驚いた。

逆に気に入らない点は、まず第1に、冒頭の入り方が雑で思い込みが激しすぎる点。
例えば、いきなり「液状化【P7】」していると言われても、その根拠はどこにも記されていない(出典も不明。とすると、PJメンバーの自作かも知れない)。また、「人生100年【P6】」も何を指しているのか不明(平均寿命は80代半ば)だし、「人生二毛作【P12】」に至っては昭和で既に使われていたフレーズである。あと、「~ではないか。」といった、いきなりの問題提起が多すぎて萎える(新興宗教や自己啓発セミナー、生命保険の勧誘っぽい)。これらの言葉の唐突感はどこかのコンサルタントっぽい。

第2に、【P8】のタイトル(「政府は個人の人生の選択を支えられているか」)のつけ方にも現れているように、殊更に「自己責任」「個人の自主性」を強調するのか(冒頭【P5】の吹き出し「受験、就活、婚活、保活、自分でそんなに決めろと言われても、そんなにうまくいかない」と矛盾していることを、経済産業省に気づいて欲しい)不明である。っていうかどうしてそんなに「個人の選択を【P6】」とか「挑戦【P6】」、言い換えれば「他人に起業させること」が好きなんだろうか。

第3に、こんな分厚い資料で一般のサラリーマンや自営業者に関するページが皆無なのが不思議である。


この資料を全体的に見ると、母子家庭と一部の尖った人、そして大学の若手研究者に対しては救済措置を施すが、それ以外の大多数特に高齢者に対しては冷たい内容となっている(その意味で、この資料は、冒頭【P5】の吹き出し中「政府の視線の先はいつもエリート化弱者」そのままである)。
これについては良いとも悪いとも一概には言えないと思う。上記の「救済措置を施す」対象者については異論もないし、同じく上記の「高齢者に対しては冷たい」だって、別になんとも感じない。
一方で、一般のサラリーマンや自営業者に対しては負担増(税・社会保障)とコミュニティへの自主的な参加によるただ働きを強いている。

ちなみに、色々気に入らない点も含め書いていますが、衰弱した高齢者に対し早く死ねと言わんばかりのこのペーパー、嫌いじゃありません。


(各論/1.液状化する個人と不安な個人)
【P5】「受験、就活、婚活、保活、自分でそんなに決めろと言われても、そんなにうまくいかない」には同意。
逆に、「お金よりも安心とつながりが欲しい」は嘘臭い。あと読んでて鼻につくのは「まわりが起業とかしててあせる」「世界に見放されそう」「そろそろシンガポールに脱出かな」「なんで個の国は変われないんだろう」。

(各論/2.政府は個人の人生の選択を支えられているか)
本資料のメインとも言える人生すごろく(【P10~11】)はすごく面白かったし、感覚的にも全くその通りだと思う。ただ、このページだけ出典がないのは不可解。使用した資料名やその出典箇所、そして四則演算の方法まで記載して欲しい。
また、こちらも本資料のメインである高齢者医療(【P22~25】)に関しても、全く異論は無い。自分の親が生きているうちはともかく、正直言って早く削ってもらいたい。

ただ、「多くに人が健康で長生き(【P14~15】)」には違和感がある。寝たきりや要介護の期間の長短以上に、その年齢層の絶対数が増えていることの方を問題視すべきであり、この図表(健康寿命、高齢者の体力運動能力)以上に【P22】(年齢階級別一人当たり医療費)が重要なはず。
あと細かい点では、「ちっとも【P9】」という修飾語が気持ち悪いのと、若者の社会貢献意識(【P13】)は嘘臭い。都合よくデータ持ってきた感じがしてならない。


(各論/3.我々はどうすれば良いか)
正直、この部分でいきなり(考えてみれば予想通りだが)従来型の国の方針が出てきて萎えた。
特に、最後の数ページ(【P61~62】)に無理やり好事例を持ってきて前向きっぽくするのはやめて欲しい。特に「道路の維持補修を自分たちで行ったら出生率が上がりました」って馬鹿じゃねえか。

最後の方、【P53】20個の吹き出しが経済産業省の進めたい方向であり、逆にその少し前【P50】にある「戦前に作られた制度」の5つは逆に打破したいのだろう。この20個の中には最近流行(例えばこども保険、ESR等)の言葉もあったり、他にも資産課税という言葉もある。

(自分自身について)
結局大切なのはこのパラグラフである。
【P53】仮にこの資料通りに世の中が変わっていったとして、自分にとってプラスなのは高齢者医療費の削減くらい。ベーシックインカムはなんとも言えない。少なくとも他にはマイナスこそあれプラス要素は無い。(ただどっちにしても世の中がプラスに転がっていくとは思っていないのだが。)

特に恐れるべきは資産課税強化。自分は定年過ぎたら働きたくもないし、たいして働けるスキルも人間関係も持っていない。貯金を取り崩して生活するだけだろう。


ちなみに、現時点では人の感想などはまだほとんど読んでいない(ツイッターで2、3見かけたのみ。他人のHPなどは全く見ていない)。この記事をアップした後に、色々検索して他の人の感想等を読んでみたいと思っている。

「住友銀行秘史」を読んだ

2016-10-28 21:02:13 | 05 本
ネット上で一部話題の(新聞にも時々広告が載ってます)「住友銀行秘史」を読んだ。

扱っているテーマは非常に面白いし、作者の当時のメモをそのまま文字にしているせいか、生々しさを感じた。(主なテーマはイトマン事件そのものではなく、むしろイトマン事件に対する住友銀行上層部の対応や内部権力闘争。作者が許永中本人らとやり合ったりしているわけではない。)

ただ、多くの人が指摘しているように、行間から漂う作者の自己顕示欲に読んでいて辟易した。
そして何より、メモをそのまま文字した生々しさと引換えに、誰が何を言ったのかが非常に分かりづらい。主語は誰なのか、引用部分はどこからどこまでなのか、その辺が一々気になって、最後には読んでいて飽きてきた。

きっと読み返すことはないと思い、即ブックOフへ600円で売りました。

「東芝 粉飾の原点」を読んだ

2016-07-22 22:17:56 | 05 本
ベストセラーらしい東芝の暴露本
AMAZON では一週間待ちになっている。

自分は、幸いにも数字のチャレンジを強いられているわけではないけれど、別の意味で色々詰められていることが他人事とは思えず、あと、粉飾の結果として多くの人がリストラされたことが気になって、一時間半ほどで一気読みした(会社近くの紀伊国屋には普通に置いてあった)。

この本を読むに付け、ただでさえ大嫌いな、世の中にはびこるビジネス書や自己啓発本が、一層大嫌いになった。特に自分は「白」いものを「黒」と言うのが苦手なので。
(あ、こういう暴露本とか、いわゆる教科書的な本は嫌いじゃないのですよ)

「21世紀の資本」 資本収益率r>経済成長率g の解説本

2014-12-15 21:48:56 | 05 本
今年に入って話題の「21世紀の資本」和訳本が本屋に並んでいた。
以前から気にはなっていたものの、読むかどうか分からない本を6千円出して買う勇気は無く、お決まりの解説本に流れることにした。

和訳本は、分かりやすいという人もいるし、一冊の中の筋道が定まっていなくて読みにくい、という人もいる。だが少なくとも、自分があんな長編を読破するとは思えない。

今回、偉そうなブログタイトルをつけてはいるが、夏頃に仕事の合間に読んだ、週間東洋経済や週間ダイヤモンドが唯一の知識。「r>gで格差拡大!」程度の知識しかない。

おっさん御用達の雑誌で終わりにするにしては気になるし、かといって、単に「アベノミクスが~」とか「格差が~」とかいう解説本も面白くなく、もっと教科書っぽいことを書いている本を探していた。…そしてたどり着いたのが、

「現代思想 臨時増刊号 ピケティ『21世紀の資本』」

これ↑でも偏っているのでは(特に出版社が)、と思う向きもあると思うが、教科書という意味ではこれが一番言いように思う。ピケティ本人がインタビュー出てるし、それなりに数式も出てくる。
(※逆に、話の種にしたいとか解説本を求めるのであれば、数ヶ月前の週間東洋経済や週間ダイヤモンドがいいと思う。)

確か、以前は「21世紀の資本論」として紹介されていた気がする。ただ、この現代思想インタビューで、著者は、マルクスの資本論に影響されていないと言っている。そのせいだろうか、「論」の一文字が消えている。

っていうか、本当に、r>gがここ1~2世紀の歴史的事実(第二次世界大戦等の一部次期を除いて)であることを述べているだけ本なのだろうか。気になる。