「AIR/エア」（ネタバレ注意）

ナイキの「エアジョーダン」誕生の裏話。
1984年当時のバスケットシューズのシェアがコンバース、アディダス、ナイキの順だったというのも時代を感じる。
最も劣勢だったナイキが、マイケル・ジョーダンに契約相手を絞り込んで、いかにシューズの使用契約に持ち込んだかの物語。

主役のナイキのバスケットシューズ担当のソニー・ヴァッカロをマット・デイモンが演じる。
ナイキCEOのフィル・ナイトを監督も兼ねているベン・アフレックが演じる。
この作品のキーになるマイケル・ジョーダンの母親デロリス・ジョーダンをヴィオラ・デイヴィスが演じる。
マイケル・ジョーダンに映画化の許可を申し入れたときの条件が、母親役にヴィオラ・デイヴィスの起用だったらしい。

山場は、ソニーがマイケル・ジョーダン親子を説得するシーン。
「誰が履くかで、ただのシューズに意味が生まれる」、「歴史に名を残す選手になることを確信してシューズを提供する」というもの。
しかし、もう一山あり、シューズの売上の一定比率をマイケル・ジョーダンの収入とするという契約条件。
デロリスとソニーの交渉シーンの緊迫感とフィル・ナイトの決断にしびれた。
業界のルールを破って、新しいことをリスクを取ってやるというのは、その後のナイキの成長を思わせるシーンだった。
これはアスリートの権利拡大の先駆けとなったものでもある。

面白かったのが、フィル・ナイトの振る舞い。
瞑想を生活に取り入れているところとか、個性が際立つ人物像が面白かった。

点数は、10点（10点満点）。

タイトル：AIR/エア
原題：AIR
製作年：2023年
製作国：アメリカ
配給：ワーナー・ブラザース映画
監督：Ben Affleck
主演：Matt Damon
他出演者：Ben Affleck、Jason Bateman、Chris Messina、Marlon Wayans、Chris Tucker、Viola Davis
上映時間：112分

「生きる LIVING」（ネタバレ注意）

1952年公開の黒澤明監督作品「生きる」の英国でのリメイク。
たまたまかもしれないが、客層に年配の方が多かったように感じた。
約70年前の作品なので、さすがに、リアルタイムで観た人はほぼ映画館に来ないだろうが、TV放送や配信で観た人も多いのだろう。

ビル・ナイが演じる市役所勤めの主人公が渋く、まさに英国紳士。
一番びっくりなのが、蒸気機関車が牽引する列車での通勤シーンだ。
これは、毎日が旅行だなと。

ただ、人間の想いみたいなところは、今の時代と変わらない気がした。
そこがリメイクされた理由であり、黒澤監督が今も世界でリスペクトされている理由だろう。

自分は黒澤監督のオリジナル作品を観ていないが、日本人が演じている「生きる」を観たくなった。

点数は、7点（10点満点）。

タイトル：生きる LIVING
原題：LIVING
製作年：2022年
製作国：イギリス
配給：東宝
監督：Oliver Hermanus
主演：Bill Nighy
他出演者：Aimee Lou Wood、Alex Sharp、Tom Burke
上映時間：103分