とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「ミッドナイトスワン」(ネタバレ注意)

2020-09-29 23:59:00 | 映画
俳優草彅剛の代表作品になるかもしれない。
草彅剛が演じるトランスジェンダーの凪沙の抱える孤独感が胸に痛い。

人間というのは、年齢を重ねると、誰かのために生きたいという衝動が芽生えてくるものなのだろうか。
従兄妹の娘を実の娘のように慈しんで、母親と呼ばれて喜ぶ。
恐らく、女性として思うように生きられない自分とは違う人生を歩んで欲しいという願いがあり、
もしかすると、自分の命がそう長くないこともわかって、そうしていたようにも思える。

一方、お金があっても幸せでなかったりするし、自分が一番欲しいと思っているものが手に入れば、
その瞬間は幸せだと感じれるだろうが、それはそれで、長続きしない気がする。

月並みだが、何事もほどほどがいいのだろうか。
追いかけたいもの、追いかけるものがあることが幸せなのかなと思う。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:ミッドナイトスワン
製作年:2020年
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
監督:内田英治
主演:草彅剛
他出演者:服部樹咲、田中俊介、吉村界人、真田怜臣、上野鈴華、佐藤江梨子、平山祐介、根岸季衣、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖
上映時間:124分


ピーター・ドイグ展(東京国立近代美術館)

2020-09-29 23:00:00 | 美術館
東京国立近代美術館で開催の「ピーター・ドイグ展」を鑑賞。

ピーター・ドイグは1959年、スコットランドのエジンバラ生まれ。現在61歳。
映画「13日の金曜日」から着想を得たと本人が話しているボートが多くの作品に描かれている。
映画の上映会のポスターには、「東京物語」や「HANA-BI」といった日本映画のものもあり、親近感が持てる。

大画面の作品が多いが、淡い色彩であったり、筆使いが繊細でそれほどの威圧感はない。
物語の一場面を切り取ったようであり、画の構成に現代アートの手法を使っていたり、バランス感を感じる。

コントロールされた衝動とでも言えばよいのだろうか。
現代社会を生きていく術が折り込まれた作品と言えるかもしれない。



のまれる

「人数の町」(ネタバレ注意)

2020-09-26 23:59:00 | 映画
コロナ禍で公開時期がずれたことも一因だろうが、中村倫也作品が目白押し。
普通の人から個性的な役まで幅広く演じられるところが売れている理由だと思う。
この作品では、普通の人をリアルに演じることで、他の登場人物の異常さを引き立てている。

失踪者が集められた町という発想が、都市伝説のようで、どう描くのかどきどきした。
町の全体像がわからなかったことが不気味ではあったが、
パーツからは、ゴルフ場でロケしたようにも見え、
本来描きたかったスケール感で統一する予算がなかったのだろうと勘ぐってしまった。

現実にはこのような町はなくても、衣食住を手にするために、自分の意志を放棄して、
世の中の流れに流される大衆への批判があるように感じた。

ラストシーンに込められたメッセージが深い。
自由には苦労を伴うが美しい、と思って、生きていきたい。

点数は、6点(10点満点)。

タイトル:人数の町
製作年:2020年
製作国:日本
配給:キノフィルムズ
監督:荒木伸二
主演:中村倫也、石橋静河
他出演者:立花理恵、橋野純平、植村宏司、菅野莉央、松浦祐也、草野イニ、川村紗也、柳英理紗、山中聡
上映時間:111分


バンクシー展 天才か反逆者か(横浜)

2020-09-25 23:59:00 | イベント
横浜アソビルにて、「バンクシー展 天才か反逆者か」を鑑賞。

バンクシーは現代社会の商業主義や政治だったり、
これまでの美術館に展示されるような芸術作品のあり方について批判した作品で知られている。
世界中に神出鬼没のストリートアーティストだ。

この展覧会自体が、バンクシー自身が公認したものではなく、
主催者がコレクターの作品を拝借して、行っているらしい。

凄いのは、商業主義を批判しながら、商業主義を利用して、ムーブメントを起こしているところだ。
このあたりが、資本主義が最初に発展して、衰退も経験しているイギリス人の強みかもしれない。

人間というのは既成概念が強固であればあるほど、少しずらされると不安になるといった
心理的な効果をうまく利用している。

そういう意味ではバンクシーの作品は、メッセージを伝えるキャッチコピーとして面白い。
表現がおぞまし過ぎると人は見向きしないところ、絶妙にユーモアを利かせている。
そこに根本的な世界への愛情を感じ取ることができる。

「愛情ある批判」こそがバンクシーの真骨頂と思えた。








「TENET テネット」(ネタバレ注意)

2020-09-20 23:59:00 | 映画
面白いかどうかの前に理解できるか不安を抱えつつ鑑賞。

人間が過去に戻れる装置があり、過去に戻ると時間が逆に進むという理屈だと思っていたが、
そうでないような部分もあり、よくわからなかった。
確かに迫力映像ではあるが、ストーリーも入り組んでおり、1回観ただけでは理解不能だ。
だからと言って、もう1回観るのはしんどい。

シリアスとコメディーの境界も分かり辛くて、純粋に映像を観て、楽しむのが正解なんだろう。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:TENET テネット
製作年:2020年
製作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:Christopher Nolan
主演:John David Washington
他出演者:Robert Pattinson、Elizabeth Debicki、Michael Caine、Kenneth Branagh
上映時間:150分