「グッドバイ～嘘からはじまる人生喜劇～」（ネタバレ注意）

ケラリーノ・サンドロヴィッチの舞台が原作。
ヒロイン役の小池栄子は舞台からの続投。確かに当たり役だ。
そこに主人公のダメ男に大泉洋。これまた当たり役だ。
大泉ファンとしては、彼の演技を見ているだけで満足だ。

小池栄子のだみ声や濱田岳の金歯は舞台っぽい演出。
舞台ならアドリブで毎日、変えるところがいろいろあって面白いだろうなと。

ベテランの役者が楽しんで演じているところが見所。

点数は、8点（10点満点）。

タイトル：グッドバイ～嘘からはじまる人生喜劇～
製作年：2019年
製作国：日本
配給：キノフィルムズ
監督：成島出
主演：大泉洋、小池栄子
他出演者：水川あさみ、橋本愛、緒川たまき、木村多江、戸田恵子、濱田岳、松重豊
上映時間：106分

狩野派 画壇を制した眼と手（出光美術館）

出光美術館にて、「狩野派 画壇を制した眼と手」を鑑賞。

狩野派の作品を単純に展示するのでなく、室町時代から江戸時代にまで、狩野派が画壇に君臨し続けた背景に迫る内容。
名品の「鑑定と模写による眼と手の記憶」が、新しい作品を生み出すための絵師としての技術の養成と伝承に役立ったということは想像の範疇だが、
鑑定収入も工房を維持するための重要な財源だったということに納得。

鑑定した作品の中には贋作も含まれていたようだが、真筆でないことをわかって鑑定した可能性もあるだろう。
ただ、そういう可能性もわかったうえで、作品を収集した出光佐三の懐の広さに感服した。

作品そのものの真贋よりは、作品が数奇な運命を経て現代まで残り、こうして観ることができることに面白さを感じる。

「37セカンズ」（ネタバレ注意）

ヒロイン役の佳山明の体当たりの演技が胸に刺さる。
無理に演じようとすると、脇を固めるベテラン俳優の演技とギャップが出てしまうかもしれないが、
すごく自然に演じているように見えた。
俳優と役が融合しているというか、役になりきれたのは、同じような経験があったからだろうか。

ヒロインは障がい者ということもあるが、人間が大人になっていくための葛藤が訪れる時期が遅かっただけで、
普通の青春映画としても楽しめた。
自宅と仕事場の往復だった人生が、ここまで変えられるかもしれないことに感動した。

若者を育てるのは親だけではなくて、いい大人との出会いなのかなと。
まあ、社会には危険なことがたくさんあるのも現実だが。

点数は、10点（10点満点）。

タイトル：37セカンズ
製作年：2019年
製作国：日本
配給：エレファントハウス
監督：HIKARI
主演：佳山明
他出演者：神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏
上映時間：115分

「1917 命をかけた伝令」（ネタバレ注意）

全編ワンカット映像、というのが売り文句だが、テーマの表現に意味のある撮影方法だと感じた。
戦争映画にありがちな大げさな爆発シーンもあるが、メインは末端の兵士の心理描写。

超重要任務を与えられた兵士の周りで起こる出来事の映像しかないので、
少ない情報で任務を全うせねばならない兵士の不安や孤独を感じることができる。
戦友との友情や命の尊さも。

また、戦場の描写がリアル。
塹壕の狭さや、無造作に転がっている死体。
実物を見たことはないが・・・。

これほど重要な任務を本当に末端の兵士二人に任せたのかという疑問を感じたが、
そこはフィクションでいいのかもしれない。

点数は、9点（10点満点）。

タイトル：1917 命をかけた伝令
原題：1917
製作年：2019年
製作国：アメリカ、イギリス
配給：東宝東和
監督：Sam Mendes
主演：George McKay
他出演者：Dean-Charles Chapman、Mark Strong、Richard Madden、Benedict Cumberbatch、Andrew Scott、Colin Firth
上映時間：119分

「影裏」（ネタバレ注意）

綾野剛と松田龍平の演技に感じるものはあったが、何を言いたいのかよくわからない話になっていた。
「人間には表と裏がある」というのは当たり前だ。
物語の舞台が盛岡というところ以外に新しさを感じれなかった。

点数は、5点（10点満点）。

タイトル：影裏
製作年：2020年
製作国：日本
配給：ソニー・ミュージックエンタテインメント
監督：大友啓史
主演：綾野剛
他出演者：筒井真理子、中村倫也、國村隼、安田顕、松田龍平
上映時間：134分