とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「哀れなるものたち」(ネタバレ注意)

2024-01-30 23:59:00 | 映画
人間にとって、「自由」とはどういうことかを描いた作品だった。

主人公のベラを演じたエマ・ストーンの演技に魅了される。
ベラは自殺した女性に、胎児の脳を移植して再生させたという設定。
最初は子供だったが、急激に成長し、大人の女性になっていく。

エマの成長に比べて、取り巻く男性は成長しない。
ベラから見ると「哀れなるものたち」ということになるのだろう。

無防備で生きていける強さが欲しいなと感じた。
若いときは多かれ少なかれ、体当たりでできていたことが、齢を取ると、だんだんできなくなってくる。
成長し続けることの難しさが客観的に示される。
なかなかに残酷ではある。
そういう意味では、映画を観ている自分も「哀れなるものたち」だと思えてくる。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:哀れなるものたち
原題:Poor Things
製作年:2023年
製作国:イギリス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:Yorgos Lanthimos
主演:Emma Stone
他出演者:Mark Ruffalo、Willem Dafoe、Ramy Youssef、Christopher Abbott、Jerrod Carmichael
上映時間:142分


「ある閉ざされた雪の山荘で」(ネタバレ注意)

2024-01-27 23:59:00 | 映画
東野圭吾の小説の映画化。
原作小説の発表は1992年と30年以上も前だ。
当時はスマホは当然のことながら、インターネットも普及していないので、現在とは設定が異なる部分も多々ありそう。
先に小説を読むか悩んだものの、読まずに映画を鑑賞。

人里離れた山荘で、劇団のオーディションとしての合宿が開催され、男女7人の俳優が招かれる。
物語としては、重岡大樹が演じる久我の存在がキーポイントになっている。
久我以外のオーディション参加者は劇団員で、元々の知り合いで、少なからぬ因縁が存在しているよう。
久我の視点は、映画の鑑賞者の立場と重なってくる。

4日間の合宿が終わり、事件の真相が解き明かされるのだが、多重構造の仕掛けが施されていた、というもの。

ハッピーだけの終わり方ではなかったが、未来に希望を感じるエンディングは東野流か。

岡山天音の髪型とジャージが気になった。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:ある閉ざされた雪の山荘で
製作年:2023年
製作国:日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督:飯塚健
主演:重岡大樹
他出演者:中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗
上映時間:109分


「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(ネタバレ注意)

2024-01-27 23:50:00 | 映画
地上波日本テレビと配信Huluで共同製作の連続ドラマ「君と世界が終わる日に」の完結編。
竹内涼真が娘を探して、ゾンビ(このドラマではゴーレムと呼ぶ)と闘う父親、間宮響を熱演。

他にも若手俳優たちが活躍するところが見物だ。
主題歌を歌うあの名優も登場。

間宮の娘をさらってワクチン開発を進める西条を演じた吉田鋼太郎の悪役っぷりが気持ちいい。
悪役はとことんずるくて、しぶといのがいい。

エンターテインメントの世界だが、切実に「生きる」ことが表現されているところは、そういう境遇の人も世界には存在する現実に引き戻される。
こんな惨禍が起これば、自分は1分で死ぬだろうと思う。
命の軽さを表現することで、こんな世界にしないことで、命の重さを訴えているのだと思いたい。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:劇場版 君と世界が終わる日に FINAL
製作年:2024年
製作国:日本
配給:東宝
監督:菅原伸太郎
主演:竹内涼真
他出演者:高橋文哉、堀田真由、板垣李光人、窪塚愛流、橘優輝、吉柳咲良、須賀健太、味方良介、黒羽麻璃央、吉田鋼太郎
上映時間:116分


「法廷遊戯」(ネタバレ注意)

2024-01-21 21:15:00 | 映画
冤罪と無罪の間で揺れ動く結末。
北村匠海が演じた結城の法制度の隙間を突く発想、杉咲花が演じた美鈴の背負った覚悟、永瀬廉が演じた清義の美鈴への想い。
永瀬廉、杉咲花、北村匠海、それぞれに役と向き合った演技が素晴らしかった。
なかでも、杉咲花のラストの絶望の演技が心に残った。

柄本明、筒井道隆、大森南朋のベテランも持ち味を発揮。

なかなかに重厚な作品だった。
必見。

点数は、9点(10点満点)。

タイトル:法廷遊戯
製作年:2023年
製作国:日本
配給:東映
監督:深川栄洋
主演:永瀬廉
他出演者:杉咲花、北村匠海、戸塚純貴、黒沢あすか、倉野章子、やべけんじ、タモト清嵐、柄本明、生瀬勝久、筒井道隆、大森南朋
上映時間:97分


キュビスム展(国立西洋美術館)

2024-01-21 21:00:00 | 美術館
国立西洋美術館にて、「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 美の革命」を鑑賞。

パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって生み出されたキュビスムの変遷を追う展示。
芸術の試行錯誤の旅といった趣き。

解釈を必要とする芸術作品というのは、批評家の仕事も増やしただろうし、産業としての芸術の発展に貢献したことは間違いない。
何をテーマにどんな技法で表現するかといったプロデューサー的な視点の重要度が高まり、現代に至るわけだ。
絵画に多様性をもたらしたという面でも、面白かった。





アルベール・グレーズ「収穫物の脱穀」(1912年)


フアン・グリス「朝の食卓」(1915年)