「一度死んでみた」（ネタバレ注意）

auのCM「三太郎」シリーズをヒットさせた浜崎慎治監督作品。
豪華俳優をちょい役で使うシーンに真骨頂が表れていた。
そういう意味で、何気ないシーンも集中して見れた。
宇宙飛行士の野口聡一さんが本人役で出演して、大役を果たされていたのも、面白かった。

主役の広瀬すずは伸び伸びとした演技。
デスメタルバンドのボーカルというちょっと外した設定がいい。

コメディーでありながら、伏線が回収されていくところが気持ちいい。
脚本はソフトバンクのCM「白戸家」シリーズの澤本嘉光さん。

深いメッセージのある作品ではないのだろうが、
人間は死んだ後にその人の価値がわかる、ということは感じた。

一方、死を「怖いもの」として描いていないところが斬新ではあった。
現実にはそんなことはありえないが、生き返れるなら、死ぬことと寝ていることは同じだろう。
死ぬ間際に、LINE消さなきゃとか、リアルにありそうで面白かった。

点数は、7点（10点満点）。

タイトル：一度死んでみた
製作年：2020年
製作国：日本
配給：松竹
監督：浜崎慎治
主演：広瀬すず
他出演者：吉沢亮、堤真一、リリー・フランキー、小澤征悦、嶋田久作、木村多江、松田翔太
上映時間：93分

「弥生、三月 -君を愛した30年-」（ネタバレ注意）

波留と成田凌が演じる男女の高校生から40代後半までの人生を描く作品。
さすがに、20代後半の二人は40代には見えなかったが。
ただし、年代によって、別の役者が演じては、一人の人間の人生の重みは出ないだろう。

二人はお互いに好意を抱きつつ、結ばれることなく生きていくが、
仮に二人が20代で結婚したとしても、幸せになったかはわからないし、
大多数の人は若い頃の夢かなわず、一生を終えるものである。
人間は流されるし、よかれと思ってやったことが裏目に出ることも多々ある。

夢や目標も大事だが、今の自分にできることしか、結局できない。
できることには、他人を応援するとか、許すとか、過去に囚われないことも含まれる。

二人が50代、60代になってどう生きていくかは描かれないが、
人生100年時代になり、ここから先がさらに長いのである。

点数は、8点（10点満点）。

タイトル：弥生、三月 -君を愛した30年-
製作年：2020年
製作国：日本
配給：東宝
監督：遊川和彦
主演：波留、成田凌
他出演者：杉咲花、岡田健史、小澤征悦、黒木瞳
上映時間：110分

「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」（ネタバレ注意）

ミュージック・ビデオのような展開の速さ。
ハーレイ・クインは一切、悩まない。ジョーカーと対照的だ。
頭を空っぽにして楽しむ作品。
映画の楽しみ方というか、精神の二極化みたいなものを感じる。

点数は、7点（10点満点）。

タイトル：ハーレイ・クインの華麗なる覚醒　BIRDS OF PREY
製作年：2020年
製作国：アメリカ
配給：ワーナー・ブラザース映画
監督：Cathy Yan
主演：Margot Robbie
他出演者：Mary Elizabeth Winstead、Jurnee Smollett-Bell、Rosie Perez、Ella Jay Basco、Chris Massina、Ewan McGregor
上映時間：109分

「黒い司法 0%からの奇跡」（ネタバレ注意）

邦題から感じる堅いイメージと違ったヒューマン・ドラマ。
黒人差別が当たり前だった1980年代のアラバマ州を舞台にした冤罪と闘う弁護士の実話。

犯人をでっち上げることで遺族が救われると思い込んでいた保安官が怖すぎる。
真犯人を捕まえていないのに、同じような事件が発生したら、どうするつもりだったのか。
さらに無実の人を犯人に仕立て上げることになったはずだ。
こうして憎悪の連鎖が作られていたのが、アメリカ南部の黒人差別だったのだろう。

現在からみると過去のおぞましい記憶とも取れるが、差別はなくなっていない。
差別ではなくとも、過去の悪習から脱することは容易ではない。

そんな中で社会をよくすることに命を捧げている人がいることは素晴らしい。
人間の愚かさと偉大さの対比。まさしく、ブラックとホワイト。
この両極端を味わえる作品である。

点数は、9点（10点満点）。

タイトル：黒い司法 0%からの奇跡
原題：Just Mercy
製作年：2019年
製作国：アメリカ
配給：20世紀フォックス映画
監督：Destin Daniel Cretton
主演：Michael B. Jordan
他出演者：Jamie Foxx、Tim Blake Nelson、Brie Larson
上映時間：137分

「ジョジョ・ラビット」（ネタバレ注意）

サイトの評価が高いので鑑賞。
確かに俳優たちの演技がすばらしく、主役のローマン・グリフィン・デイビスも、
母親役のスカーレット・ヨハンソン、クレンツェンドルフ大尉役のサム・ロックウェルもいい。

少年の成長物語としてはよくできていると思ったが、
この題材をドイツ人以外がヒューマンドラマとして描くことには違和感を感じた。
終戦から70年以上が経過し、人類共通の悲劇としてフラットに語れるようになったということだろうか。

価値観の崩壊と再構築の物語でもあるが、目の前の人間に対する愛情がきっかけになるというところはいい。
何が幸せなのかは民族や地域によって違っても、幸せになりたいという気持ちは万国共通だと思う。
隣人を愛することが難しいからキリスト教が成り立っているのだとすれば、
宗教が必要のない世界がいつか訪れるのだろうか。

点数は、6点（10点満点）。

タイトル：ジョジョ・ラビット
製作年：2019年
製作国：アメリカ
配給：20世紀フォックス映画
監督：Taika Waititi
主演：Roman Griffin Davis
他出演者：Thomasin McKenzie、Scarlett Johansson、Taika Waititi、Rebel Wilson、Stephen Merchant、Alfie Allen、Archie Yates、Sam Rockwell
上映時間：109分