とりビーな毎日

中年おやじの映画鑑賞メインの趣味の記録です

「人間失格 太宰治と3人の女たち」(ネタバレ注意)

2019-09-28 23:59:00 | 映画
蜷川実花監督の描く太宰像が面白く、見応えがあった。

結局、3人の女性、それぞれに形は異なるものの、愛し、愛されていたということだ。

世間からの悪意の混じった期待を裏切らないトリックスター。
臆病で気が小さいが故に、追い込まれたときの爆発力を持っている。
小栗旬は、そんな太宰を大胆かつ繊細に演じていた。

蜷川実花監督作品らしく、衣装やセットの装飾や色使いが鮮やかで、
冒頭の太宰と子供たちが、彼岸花が一面に咲く中を歩いてくるシーンから、
死を予感させるような、美しくも心がざわざわさせられた。

藤原竜也演じる坂口安吾と太宰の会話シーンであったり、
堅物感満載の高良健吾演じる三島由紀夫であったり、
小ネタ的な面白さもあり、120分間、フルに楽しめた。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:人間失格 太宰治と3人の女たち
製作年:2019年
製作国:日本
配給:松竹、アスミック・エース
監督:蜷川実花
主演:小栗旬
他出演者:宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、壇蜜、藤原竜也
上映時間:120分


「タロウのバカ」(ネタバレ注意)

2019-09-25 23:59:00 | 映画
YOSHI、ぶっ飛んでいる。
デビュー作でなかなかここまで、フリーな演技はできない。
キャラクターと役者の一体感が絶妙。

菅田将暉は久々の高校生役だと思うが、きらきら感があって、
ティーンエイジャーならではのエネルギーを感じた。

太賀は相変わらず、ちょっと屈折した役が似合う。

大森立嗣監督が1990年代にシナリオを執筆したとのことだが、
中流と言われていたものが崩壊し、社会が二極化しつつ、現在に至っているが、
その枠にさえ入らないものに焦点を当てた作品だ。

YOSHI演じるタロウは母親の育児放棄で、学校に行ったことがなく、
遊び場の河原で出会う人々と過ごす毎日だ。
菅田将暉演じるエージは柔道で高校に推薦入学したが、けがで柔道を諦め、高校も退学。
太賀演じるスギオは想いを寄せる洋子が援助交際しているが、想いを伝えられず、
悶々とした日々を過ごしている。

3人が破れかぶれでヤクザを襲って、盗んだ所持品から拳銃を見つけるが、三者三様の反応。
拳銃は最も分別のないタロウが所持することになったが、一般人に見せては、騒動を巻き起こす。
ヤクザに反撃され、行き場のなくなった3人は、拳銃に翻弄されることになる。

タロウはこの後、どう生きていくのだろう。
児童相談所に保護されて、何事もなく、更生するのだろうか。
社会に渦巻く、怒りの行き場所はどこなのだろう。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:タロウのバカ
製作国:日本
配給:東京テアトル
監督:大森立嗣
主演:YOSHI、菅田将暉、太賀
他出演者:奥野瑛太、植田紗々、豊田エリー、國村隼
上映時間:119分


「火口のふたり」(ネタバレ注意)

2019-09-25 23:00:00 | 映画
一言で表現するなら、濃密な過去をともにした二人が再会して体を求め合う話。
別れた後が、幸せでなかったなら、こうなるのかもなあという気もする。
しかも二人は従兄妹なので、お互いのことが耳に入らないこともない関係だ。

結局、世の中だとか周りの人間だとかは、気にする余裕があるから気にする訳で、
自分の心に正直になる覚悟さえあれば、生きていけると思わせてくれた。

点数は、8点(10点満点)。

タイトル:火口のふたり
製作年:2019年
製作国:日本
配給:ファントム・フィルム
監督:荒井晴彦
主演:柄本佑、瀧内公美
上映時間:115分


ラグビーワールドカップ2019 ニュージーランド v 南アフリカ(2019/9/21 横浜国際総合競技場)

2019-09-21 23:59:00 | イベント
横浜国際総合競技場にて、ラグビーワールドカップ2019を観戦。
1次リーグ屈指の好カード。
前回大会優勝のニュージーランドと過去優勝2回の南アフリカの戦い。
ラグビーを生で見るのは初めてだが、選手の体格の立派さに圧倒される。

観客も外国人比率が高く、日本人の盛り上がり方とは違って、動きがオーバー。
各代表で決まった応援フレーズがあるようで、事前に勉強していけば、より盛り上がれたかも。

試合は、南アフリカがペナルティーゴールで先制したが、ニュージーランドが2トライを奪って、
前半を17-3とリードして終了。
後半、南アフリカに1トライを奪われたものの、23-13で快勝。
1次リーグでの無敗記録を更新した。

どんなスポーツにも言えるのだろうが、ニュージーランドは勝負どころでミスをしない。
南アフリカは止められるとわかっていても、前線での突進に頼った戦法になり、
ニュージーランドの素早いパス回しを崩し切れなかったというのが総評だ。
南アフリカは、ほぼスクラムハーフから球が出るので、ニュージーランドとしては、
対応しやすかったということもあったのではないだろうか。

今回は1次リーグ初戦であり、両チームとも手探りの部分があったと思うが、
決勝トーナメントでの真剣勝負を見てみたい。








「アド・アストラ」(ネタバレ注意)

2019-09-20 23:59:00 | 映画
現在のテクノロジーを前提とすると、ファンタジーになってしまうので、
時間感覚といった部分は、この世界に入り込む必要がある。

父親と息子の絆をどこに求めるかだが、仕事に没頭する余り、
それぞれに孤独感に苛まれていることが、お互いの理解につながるという複雑さ。
単純に家族愛のすばらしさを訴えていないところが斬新ではある。

家族よりも仕事。
命令に従って行う仕事ではなく、自らの信念や良心に基づいて行う仕事のすばらしさ。

ただ、ラストシーンでは、ブラッド・ピット演じるロイが離婚した元妻との復縁を期待しており、
父親と再会して思いを知れたことで、家族よりも仕事という価値観に囚われなくなったようでもある。

ハリウッド映画にしては、わかりづらいが、嫌いではない。

点数は、7点(10点満点)。

タイトル:アド・アストラ
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:20世紀フォックス映画
監督:James Gray
主演:Brad Pitt
他出演者:Tommy Lee Jones、Ruth Negga、Liv Tyler、Donald Sutherland
上映時間:123分