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三菱重装置の米2基廃炉 損害賠償協議へ

2013年06月08日 21時29分09秒 | Weblog

東京新聞 2013年6月8日 夕刊

 【ニューヨーク=吉枝道生】米カリフォルニア州のサンオノフレ原発を運営する電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)は七日、廃炉を 決めた2、3号機に関し、異常のあった蒸気発生器を製造した三菱重工業側と、保険の適用も含め損害賠償について協議する方針を明らかにした。

 2、3号機の蒸気発生器は二〇〇九~一〇年に交換されたばかりだったが、配管に多数の異常な摩耗が見つかり、一年半にわたり運転停止していた。昨年夏には電力不足の可能性も指摘されたが、停電などはなかった。1号機は既に廃炉となっている。

 再稼働に対する住民の反対運動もあり、今後の見通しが立たない状態となり、廃炉を決めた。千五百人の従業員を来年までに四百人に減らす計画という。

 三菱重工の米国法人で同原発に関わる三菱ニュークリア・エナジー・システムズは「廃炉の発表に落胆している。今でもこの原発が安全に稼働すると確信しているが、今回の結論に至るには複雑で難しい要因があったのだろう」とコメントした。

 【ニューヨーク=吉枝道生】米カリフォルニア州のサンオノフレ原発2、3号機の廃炉が決まり、再稼働反対を訴えてきた地元住民らは喜びの声を上げた。一方で、従業員千百人が削減されることなどから、地元経済への影響を危惧する意見も出ている。

 原発から八キロほど離れたサンクレメンテに住むドナ・ギルモアさん(66)は「信じられない。私たちが取り組んできたことは無駄ではなかった」と喜びをあらわにした。

 以前から原発には反対で、昨年の運転停止からは活動家らとともに米原子力規制委員会(NRC)に働き掛けるなど、再稼働反対の活動を続けてきた。福島原発の事故後は「原発反対の訴えにメディアが注目するようになった」という。

 同原発の反対運動を続けてきた「フレンズ・オブ・ジ・アース(地球の友)」のケンドラ・オールリッチさん(30)は「福島の悲劇が人々に原子力の現実を教えた」と話し「日本の原発反対の取り組みが私たちや世界各地の運動に大きな影響を与えた」と振り返った。

 地元カリフォルニア州のバーバラ・ボクサー上院議員(民主党)も七日、「この原発は既に安全性が失われていた。地元に問題が起こらないよう安全に廃炉作業を行うことが重要だ」とコメントした。

 米国では最大百四基の原発が稼働していたが、「シェールガス革命」で天然ガスの生産が急増し、低コストの火力発電に対して原発の競争力は低下。老 朽化も進み、高額のメンテナンス費用も大きな負担となっている。今年に入って、キウォーニー原発(ウィスコンシン州)とクリスタル・リバー原発(フロリダ 州)の廃炉が発表されている。

 <蒸気発生器> 原子炉から送られてきた熱水の1次冷却水で、2次冷却水を蒸気にする加圧水型原発特有の装置。この蒸気でタービンを回し、発電す る。温度差のある水が流れる多くの細かい管が集まるが、国内でも管にひび割れが入るなどのトラブルがあり「加圧水型のアキレスけん」とも呼ばれている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013060802000230.html より

 

日経新聞 2013/6/8 9:30

 

米原発2基を廃炉に 三菱重工製の蒸気発生器事故
地元住民の反対強く


【ニューヨーク=小川義也】米カリフォルニア州の電力会社、南カリフォルニア・エジソン(SCE)は7日、三菱重工業製の蒸気発生器のトラブルによる事故で、昨年から運転を停止している同州南部のサンオノフレ原子力発電所の2号機と3号機を廃炉にすると発表した。SCEは早期再稼働を目指していたが、安全性を懸念する地元住民などの反発が強く、断念した。

 SCEは廃炉を決めた理由を「再稼働できるかどうかはっきりしない状態が続くのは、顧客や投資家のほか、長期的な電力需要に対応するためにもよくないと判断した」と説明した。廃炉に伴い、約1500人いる原発の従業員数を来年までに400人程度に削減する方針だ。

 事故は昨年1月、運転中だった3号機で交換したばかりの蒸気発生器の配管に異常な摩耗が起きて発生。放射性物質を含む微量の水が漏れた。定 期点検中だった2号機でも同様の摩耗が見つかったため、米原子力規制委員会(NRC)は原因の究明と操業の安全性が確保されるまで稼働を禁止した。

 SCEは昨年10月、摩耗の程度が比較的少なかった2号機について、出力を落として再稼働する計画をNRCに提出。ただ、地元住民や環境団体などが「危険な実験だ」として強く反発。再稼働に向けた手続きが難航していた。

 この問題で、SCEの親会社であるエジソン・インターナショナルは三菱重工に対し、検査や補修費用としてこれまでに1億ドル(約97億円) 以上を請求している。SCEは7日の声明で、廃炉に伴う損害賠償を三菱重工に求める方針を表明しており、三菱重工の負担がさらに膨らむ可能性もある。

 

日経新聞 2013/3/9 18:33

三菱重工に58億円追加請求 米原発事故で
事業に影響懸念も

 【ヒューストン=小川義也】米カリフォルニア州のサンオノフレ原子力発電所の事故を巡り、原因となった中核装置「蒸気発生器」を製造した 三菱重工業が、同原発を所有する米電力会社から検査・補修費用などとして6100万ドル(約58億円)を追加請求されたことが明らかになった。三菱重工と 電力会社が設計上の問題点を事前に把握していたことも判明した。三菱重工にとって海外で拡大を狙う原発事業に影響がでる懸念もある。

 蒸気発生器は原子炉で沸騰した水から熱を取り出す装置。事故は2012年1月、蒸気発生器の配管に異常摩耗が起きて発生。放射性物質を含む水が漏れた。事故から1年以上たった今も同原発は運転を停止している。

 米原子力規制委員会(NRC)が8日公表した三菱重工の事故報告書によると、三菱重工と地元の電力大手、南カリフォルニア・エジソン (SCE)は振動に伴う配管の摩耗を抑える設計変更をいったんは検討したものの、「変更しなくても十分に安全性が保てる」と最終的に判断した。

 SCEの親会社エジソン・インターナショナルによると、補修や代替電力の調達などにかかった費用は昨年12月末時点で累計4億200万ドル (約385億円)。このうち6100万ドルを三菱重工に追加請求した。三菱重工の米国法人は先に請求された4500万ドル(約43億円)を「すでに支払っ た」としている。追加請求分は今後、SCE側と協議する見通しだ。

 問題が長期化すれば三菱重工の費用負担が膨らむほか、すでに3基を受注している米国での原発建設などに影響を及ぼす可能性もある。

 
 
日経新聞 2013/3/9 12:28

三菱重工など、問題を事前に把握 米原発事故

 【ヒューストン=小川義也】米カリフォルニア州のサンオノフレ原子力発電所の事故で、原因の蒸気発生器を製造した三菱重工業と同原発を所有する米電力会社が、設計上の問題点を事前に把握しながら、設計変更などの対応を見送っていたことが8日わかった。

 事故は昨年1月、交換したばかりの蒸気発生器の配管に異常な摩耗が起きて発生。放射性物質を含む水が漏れた。

 米原子力規制委員会(NRC)が8日公表した三菱重工の事故報告書によると、三菱重工と地元の電力大手、南カリフォルニア・エジソン(SCE)は振動に伴う配管の摩耗を抑える設計変更を2005年に検討したものの、最終的に当初設計のまま交換していた。

 三菱重工米国法人によると、事故が起きた蒸気発生器は業界で標準的に採用されている手法に基づいて設計された。変更を見送った理由については「変更しなくても十分に安全性が保てると、SCEが最終的に判断したため」としている。

 SCEは事故から1年以上たった今も運転を停止している同原発の早期再稼働を目指しているが、環境団体などが強く反対している。