かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  343

2021-10-27 15:45:08 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究41(2016年8月実施)『寒気氾濫』(1997年)
     【明快なる樹々】P139
      参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


343 生き方の違いに寒き風が吹きバスを待つ間の友の背わが背

      (レポート)
 なるほど、生き方の違いを痛感するときとは寒風の中なのかもしれない。背とは当人の思惑の及ばないところで、それを、バスを待つ間に友の背を見た。友のさまざまなある時、ある事が想起された。が、同時に、作者自身も、この世に背を晒している。友の背と作者の背は当然違っていよう。生き方が違うのだから。けれど、このように無防備に背を晒しながら生きているのだなあという一首。(慧子)


   (当日意見)
★生き方が違うと分かった瞬間、寒い風が吹いた。(真帆)
★はい、生き方が違うので日頃から反りが合わない友なんですね。たまたまその友と一緒にバスを
 待つ羽目になってしまった。おそらく共通の話題も乏しいし、無理に話しても会話は続かないの
 でしょう。お互い気詰まりな感じでなかなか来ないバスを待っていると「友の背わが背」に寒い
 風が吹き抜けていった。(鹿取)


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