かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌一首鑑賞 207

2022-09-20 08:40:57 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                  鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


207 かぜふけばウラシマソウのはなのさきつちにふれたりふれなかったり
                   2003年2月制作

 ウラシマソウは、サトイモ科の植物で、ながい紐のようなものを持つちょっと気味悪い花である。その紐を浦島太郎の釣り糸にみたててこの名前がついているそうだ。一見幼稚に見える、人を食ったような下句が巧みである。美しい花が風に揺れる歌はゴマンとあるが、きみの悪い植物をもちだしたところ、下句の投げ出したようなものいいに、どうにもやりきれない倦怠感のようなものが滲む。食道癌と診断された頃の歌だが、直前か直後かわたしには分からない。
 *正岡子規の藤の花のもじりか。(岡江)
  「瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 清見糺の歌一首鑑賞 206 | トップ | 清見糺の歌一首鑑賞 208 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事