かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 163(ネパール)

2020-01-29 20:06:30 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠 20(2009年8月)【牛】『ゆふがほの家』(2006年刊)94頁~
    参加者:N・I、Y・I、泉可奈、S・S、T・S、曽我亮子、
         T・H、渡部慧子、鹿取未放           
    レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
              

163 カトマンズ今宵満月顔白く牛ら遊行す巷ひろらに

            (レポート)
 今宵、カトマンズは満月である。今、牛たちは、その大きな顔に満月の月明かりを受けて、街道をゆったりゆったり歩いている。「遊行す」「巷ひろらに」がミソである。(T・H)


            (まとめ)
 牛の顔が白いのは満月に照らされているせいであろう。「遊行」は、仏教用語で「僧が修行・説法のために諸国を巡りあるくこと」の意味だが、「巷ひろらに」歩いている牛たちを遊行ととらえたところが優れている。月光に照らされて歩む牛たちは聖なるものの原点のようだ。ゆるやかな調べであるが格調が高い。ところで、同じ旅行詠中ムスタンでもニルギリの満月を詠っているので、別の日に満月ということは現実にはないのだが、詩的真実として受け取っておく。「顔白く牛ら遊行す」という情景はどうしても満月でないと成立しないだろう。(鹿取)


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