かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  261

2021-07-08 17:13:37 | 短歌の鑑賞
 渡辺松男研究31まとめ(15年9月)
    【はずかしさのまんなか】『寒気氾濫』(1997年)107頁~
     参加者:石井彩子、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放



261 はずかしさのまんなかにある耳の穴卯月はつかな風にふるえる

     (レポート)
〈解釈〉はずかしさの真ん中にあるのは耳の穴だという。卯月のはつかな風にふかれその耳が震えているよ。
〈鑑賞〉「はずかしさ」はなんだろう? 恥ずかしい気持になって草原にいる?でもじゃあなぜ「まんなか」なの?羞恥心のど真ん中にある穴とは?生殖の春を見ていることか。ひらひら風になびいている兎の耳を景の最後にすえ、連作は読者に文芸鑑賞の楽しさと、あたたかなゆとりを残してくれているようだ。(真帆)


       (当日意見)
★この年頃は何でもかんでも恥ずかしいと思う年頃でしょ。主体がお嬢さんだと思うので。
    (曽我)
★「兎の耳を景の最後にすえ」とありますけど、「卯月」を読み間違われたかしら?
 〈われ〉の耳なのではないですか。(鹿取)
★これは自分の耳の穴です。(石井)
★私は人間の存在そのものが恥ずかしいものであって、その象徴としてこの耳の穴を持っ
 てきたのかなと思います。(慧子)
★私もそう思います。「恥」っていう字、心は耳に現れて、恥ずかしいと耳がまっ赤
 になったりしますよね。だから「耳」に「心」と書くのだとばかり思っていました。
    (鹿取)  

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 渡辺松男の一首鑑賞  260 | トップ | 清見糺の短歌鑑賞  127 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

短歌の鑑賞」カテゴリの最新記事