かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 160

2021-02-13 18:36:21 | 短歌の鑑賞
 ブログ版 渡辺松男研究 2014年9月 
   【夢解き師】『寒気氾濫』(1997年)67頁~
   参加者:石井彩子、泉可奈、泉真帆、崎尾廣子、鈴木良明、
       曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
                       

160 欠陥とみなされているわが黙も夕べは河豚のようにすずしい

          (レポート)
 私の沈黙を欠陥だと見なしているものがいる。けれどその私の黙しも、夕方ともなればまるで河豚のようにすずしいものだ。結句に清々しさの実感があると思う。(真帆)


         (意見)
★皆さん意見がないようですけど、あまり考えすぎないでいいんじゃないですか。〈われ〉が寡黙
 なことを周囲では(主に職場でしょうかね)欠陥のようにみなしているけれど、この寡黙も夕べ
 は河豚のように涼しいと素直に読みました。「夕べは」ととりたてているのは職場がはねた後と
 いうことでしょうか。「すずしい」というのも松男さん愛用の感覚表現で、気温や衣服のすずし
 さとかを超えた、何か手ざわり感のある言葉なのですが説明するのが難しい。でも、共感できま
 す。同じような「すずしい」はこれまでにも出てきたし、後の歌集にも出てきます。この160
 番歌は寡黙と河豚の取り合わせが余裕があるようで面白いですね。(鹿取)
★河豚刺しを思っちゃうんですよ(笑)。お皿が透けて見えるでしょう。あの涼しさったらないです
 よ(笑)。(鈴木)


         (まとめ)
火口原わが耳となるすずしさよ夏の夜深く落石つづく『寒気氾濫』
透りたる尾鰭を見れば永遠はすずしそうなり化石の石斑魚(うぐい)『泡宇宙の蛙』



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