かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 75 

2023-07-20 17:38:05 | 短歌の鑑賞
 2023年版渡辺松男研究⑩(13年11月)まとめ 
    【からーん】『寒気氾濫』(1997年)36頁~
    参加者:崎尾廣子、鈴木良明(紙上参加)曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子
    司会と記録及びまとめ:鹿取 未放

 ◆怪我のため突如欠席となった鈴木良明は、レポート・記録を読んでからコメン  トを書いています。


75 空からきて空へ消えゆくもののかげ埴輪曇らせ過ぎてゆきたり

      (レポート)
 眼前に「埴輪」がある。「空からきて空へ消えゆくもののかげ」とは、光陰、つまり時だ。ゆっくり言葉をかさね、虚をたっぷり含む歌いおこしによって、一首を大きくしている。埴輪の制作時代までさかのぼる読みとなる。「曇らせ」に埴輪暦とでも呼びたい長い時のうつりの明暗を思う。(慧子)


        (当日意見)
★雲の歌だと思います。雲がすぎていく時は埴輪が曇る。そして雲が消えると埴輪
 は明るくなる。埴輪というものへの執心というか偏愛みたいなものが作者にはあ
 って、この作者は埴輪の歌をたくさん作っています。埴輪の歴史も含めて本質の
 ようなものに迫りたい思いはあるかもしれない。その点ではレポートの後半部分
 にはわりと同感です。(鹿取)
★わたしは「もののかげ」の「かげ」が光陰の「陰」だと思っていた。光のことを
 古典では「かげ」というからこれは時のことかと。(慧子)
★光陰の光は太陽で、陰は月のことなんだけど、それで月日、時間。(鹿取)

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