かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 99

2020-09-18 16:52:45 | 短歌の鑑賞
   渡辺松男研究11(2014年1月)
       【『精神現象学』】『寒気氾濫』(一九九七年)四〇頁~
       参加者:崎尾廣子、鈴木良明、渡部慧子、鹿取未放
        レポーター:鈴木良明 司会と記録:鹿取 未放
       

99 赤城山から双眼鏡に見ゆるもの霜の柱の新宿のビル

         
          我が家から見える都庁のビル群、望遠で



         入院していた都内の病院から見た新宿のビル群

      (レポート)
 赤城山から双眼鏡で遠望すると、現代文明の象徴であるような新宿のビル群は、なんと霜柱のように危ういものに見えてくる。そのように詠む作者の姿からは、子供のころから馴染んできた赤城山(一八二八m)に対する揺るぎない信頼が感じられる。(鈴木)


      (発言)
 ★望遠鏡だと赤城山から新宿が見えるんですね。うちは、南側のベランダからランドマ
  ークタワー始めみなとみらいのビル群が見えて、北側の玄関からは都庁のビル群が見
  えます、もちろんどちらも肉眼で。別に都庁見えても有難くないですけど。(鹿取)
 ★赤城山の赤が命の赤って感じ。下の句は白っぽくてかそかなものという感じ。(慧子)
 ★まあ、かそかなものというか、実際は揺るぎない工法で立てられているのでしょうけ
  れど、人工物であるビル群を霜柱のように脆くて危ういものと作者はみてるんでしょ
  うね。銀色の冷たい感じの人工物。この一連の最初の方でも言ったけどバベルの塔み
  たいな。(鹿取)
 ★「ような」としなかったのがいいね。「ような」がないと不完全だけど「ような」を
  入れると歌が弱くなるから。(鈴木)
 ★隠喩って技法でしょう。「ような」とか「ごとく」とか言わないけど比喩になってい
  る。(鹿取) 



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