肉眼で見えるが写真は望遠で撮っている、蜃気楼のように見える都庁群
見方によっては、霜の柱に見えなくもない
ベランダから見たみなとみらいの夜景、右端が横浜ランドマークタワー
2023年版渡辺松男研究⑪(2014年1月)
【精神現象学】『寒気氾濫』(1997年)40頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:鈴木良明 司会と記録:鹿取 未放
91 赤城山から双眼鏡に見ゆるもの霜の柱の新宿のビル
(レポート)
赤城山から双眼鏡で遠望すると、現代文明の象徴であるような新宿のビル群は、なんと霜柱のように危ういものに見えてくる。そのように詠む作者の姿からは、子供のころから馴染んできた赤城山(一八二八m)に対する揺るぎない信頼が感じられる。 (鈴木)
(発言)
★望遠鏡だと赤城山から新宿が見えるんですね。うちは、南側のベランダからランド
マークタワー始めみなとみらいのビル群が見えて、北側の玄関からは都庁のビル群
が見えます、もちろんどちらも肉眼で。別に都庁が見えても有難くないですけど。
都庁群は遠いので何か蜃気楼のように見えますね。(鹿取)
★まあ、実際は揺るぎない工法で立てられているのでしょうけれど、人工物であるビ
ル群を霜の柱のように脆くて危ういものと作者はみてるんでしょうね。銀色の冷た
い感じの人工物。(鹿取)
★「ような」としなかったのがいいね。「ような」がないと不完全だけど「ような」
を入れると歌が弱くなるから。(鈴木)
★仙波龍英に「夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで」〈『わ
たしは可愛い三月兎』(紫陽社・1985年)〉があって、渡辺さんより10年以上
前の歌集ですが、渋谷のPARCOを墓碑とうたっています。哲学と風俗のような違
いはあるのですが、けっこう近い感覚かもしれません。(鹿取)
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