かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  132

2021-07-14 18:41:14 | 短歌の鑑賞
   清見糺鑑賞20           鎌倉なぎさの会  鹿取未放


132 一闡堤(いっせんだい)われのおっぱいフェティシズム 煙草やめても死ぬものは死ぬ
「かりん」98年9月号

 「一闡堤」は仏教用語で「解脱の因を欠き、成仏することのできない者」(広辞苑)の意。上句、仏教用語と心理学用語の取り合わせが面白い。自分が煙草を吸うのはおっぱいに対するフェティシズムがあるからだ。おっぱいの代わりに常に煙草を口にくわえていないと落ち着かないのだ。だから止めろと言われてもそう簡単には止められない。煙草を止めて健康に気を付けたって、人間死ぬときは死ぬのだという開き直り。
 ちなみに、作者は癌と分かって酒・煙草とも禁止されたが、入院中も病院内に煙りぼうぼうの「煙草部屋」なるものがあって、そこで吸っていた。葉巻なら、嗅ぎ煙草ならとなかなか止められなかった。お酒も、院内の食堂で飲んだり、近くにあるデパートへ行って、そこで飲んできたりしていた。

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