WANNA PLAY SPORTS?

サッカー、NBA、プロ野球、ラグビー、何でも書きます。想いをそのまま文章にぶつける。

ジダン問題

2006年07月13日 10時23分58秒 | Weblog
今回のドイツW杯決勝でジダンが相手ディフェンダーのマテラッツィに対して頭突きをして退場したことが世界中で論議されている。論議の内容は、ジダン擁護である。マテラッツィがジダンの頭突きの前に何か話している様が映像として世界中に流れ、マテラッツィはジダンに対して何と言ったのか、これが最も話し合われている内容だ。基本的にはマテラッツィがジダンに対して、テロリスト又は母親を馬鹿にする発言をしたというのが最もたる意見とされている。そして頭突きをしたジダンは悪くない、悪いのはマテラッツィだ、と。
ただ良く考えて欲しい。問題を起こしたのはジダンなのである。何と言われようとジダンは暴力を振るってはいけない。サッカーにおいて如何なる暴力行為は許されない。おそらくジダンは今までも何度となく差別発言を試合中に言われ続けてきただろう。そう、おそらくジダンにとって何か差別的なことを言われるのは、言い方は悪いが日常のことなのである。それなのに今回に限ってジダンは切れた。いや、実際問題今回に限ってという言い方は正しくない。1998年W杯のときもサウジアラビア戦で相手を踏みつけて、出場停止処分を食らったし、チャンピオンズ・リーグでも一度、リーグ戦でも二度暴力行為で退場となっている。これらは明らかにジダンの華やかなサッカー人生の中で汚点である。ジダンやロナウドのように有名になればなるほど、相手は言葉で動揺させようとしてくる。ただ絶対にその挑発に乗ってはいけない。
今回の問題に限って言えば、悪いのはジダンである。逆に優勝したのにあれだけ叩かれるマテラッツィが気の毒である。ジダンはフランス国民に対して頭を下げる必要がある。何と言われようと試合中にチームのことを忘れ、自分の気持ちで突っ走ってしまうことなんて許されるわけがない。ジダンは男らしく我を忘れてしまったことを認めるべきである。実際にマテラッツィがなんて言ったかなんて問題ではない。

もう一つ起こっている問題が、クリスティアーノ・ロナウドに対してのイングランドの対応である。クリスティアーノ・ロナウドはイングランド戦でルーニーがリカルド・カルバーリョを踏みつけたことを審判にアピールし、ルーニーはレッドカードを受けた。そしてその試合でイングランドはW杯から姿を消すことになった。クリスティアーノ・ロナウドが現在所属しているのはイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドである。そのため、イングランドのファンからはクリスティアーノ・ロナウドをイングランドに再入国させるべきではない、という動きが起こっている。ただ実際この問題でクリスティアーノ・ロナウドを責めるのはお門違いである。悪いのはルーニーだし、レッドカードの判断は審判が下すものである。クリスティアーノ・ロナウドはルーニーが踏んだだろうとアピールしただけである。こんなアピールはどんな試合でも目にすることだし、サッカー選手なら当たり前のことである。明らかにクリスティアーノ・ロナウドは悪くない。しかも、もしマンチェスター・ユナイテッドからクリスティアーノ・ロナウドがいなくなってしまえば、マンチェスター・ユナイテッドの攻撃の迫力は半減することだろう。クリスティアーノ・ロナウドはイングランドにとっても宝なのである。そんな宝をみすみす手放してはいけない。クリスティアーノ・ロナウドもこのような対応が続くのであれば、レアル・マドリッドかバルセロナに行きたいと口にしている。当たり前のことだ、ブーイングの中でプレーしたい選手なんているわけない。逆にルーニーやファーガソン監督がクリスティアーノ・ロナウドに対して戻ってこいよ、と言うべきだろう。今大会ベスト・ドリブラーともいえる活躍を見せたクリスティアーノ・ロナウドを手放してはならない。

日本代表の今後

2006年07月11日 19時21分07秒 | Weblog
今回のW杯を見て、日本は選手選考の時点で大きな間違いがあったのではないかと思った。今回上位に進出したチームの共通項を探しつつ、日本代表が今度進むべき姿を考えてみたい。
まず今回上位進出したチームに共通していたのは強力なセンターバックの存在である。そして高さに対する圧倒的な強さ。優勝したイタリアはカンナバーロとマテラッツィ。しかもマテラッツィはネスタが怪我したための代役である。カンナバーロも身長は高くないものの、ヘディングで競り負けることはほぼない。タイミングや体の当て方で相手選手に競り勝っている。フランスはガラスとテュラム、ドイツはメッツェルダーとメルテザッカー、アルゼンチンはアジャラとエインセ。優秀なセンターバックが並ぶ。
その他の共通項はボランチの高いボール奪取能力である。ほとんどのチームがダブル・ボランチで試合に臨み、大体の場合一人がゲーム・メーカーで、もう一人が潰し役であった。この大会でもピルロのようにゲーム・メーカーに光が当たることもあったが、より目立ったのは潰し役のほうだった。イタリアのガットゥーゾ、フランスのマケレレ、ドイツのフリングス、アルゼンチンのマスケラーノらその役目を果たしていた。彼らがいるからこそ、中盤は落ち着き、最終ラインに過度の負担がかかることを防いだ。
能力の高いFWが少ない大会ではあったが、それぞれのチームが決まった攻撃パターンを持っていた。イタリアはトップのトーニに当ててからの、全体的な攻め上がり。トーニのキープ力があってこそ成り立っていることは言うまでもない。フランスは一回ジダンを経由してからのサイド攻撃。サイドからリベリーやマルダ、さらにサイドバックのアビダルとサニョルも果敢なオーバーラップを見せた。ポルトガルも言うまでもなく、サイド攻撃。クリスティアーノ・ロナウドとフィーゴの両翼は大会一の破壊力があった。これはロッペンとファン・ペルシーを擁したオランダにも同じことが言える。ドイツは前線のクローゼとポドルスキーの連携プレーで得点を奪った。それで行き詰る場合はサイドからシュバインシュタイガーやラーム、シュナイダーが上がってきた。アルゼンチンやブラジルはとにかくパスを繋いで、一対一は勝負の形。一対一でほぼ勝つテクニックが重要なファクターである。このようにドイツW杯で上位に勝ち進んだチームはそれぞれの形を持っていた。逆に形を持たないイングランドは苦戦してきている印象が残っている。

それではこれらを日本に当てはめると、まずセンターバックの問題は中澤は高さと強さで世界の猛者相手に抵抗していたものの、宮本は壁とは成りえなかった。やはり高さが足りない。カンナバーロのような巧さがある訳ではなく、プルソやビドゥカ相手の競り合いでは勝てる気がしなかった。当然身長で勝てないと、相手FWを囲むことになる。そうなると守備に費やす人数は増え、攻撃にかえる人数は減ることになる。つまりセンターバックには高さと強さのある選手が必要になる。そんな選手が日本にいない訳ではない。松田や闘莉王などは世界とも渡り合えるポテンシャルを秘めている。ただ新参者を嫌うジーコが彼らを試すことはなかった。新しい日本代表を作る上で優秀なセンターバックは不可欠である。
そして潰し役の存在。おそらくジーコはその役目を福西に求めたのかもしれないが、福西の持ち味は潰しではない。大胆な前線への飛び出しと、攻撃時、守備時の高さこそが最大の持ち味である。潰し役なら今野の方が適役だった。日韓大会では戸田が担ったような役割を果たせる選手が今の日本代表には必要である。オシムは良い潰し役を見つけることが出来るだろうか。
そして最後に攻めの形。今回の日本代表は中村頼みの攻撃だった。そして中村が体調不良に陥ったW杯では日本は攻めの形を作ることが出来ず、奪った得点は二点のみ。キーパー・チャージにしか見えない中村のラッキーな得点と、玉田の素晴らしい動きとシュートから生まれたブラジル戦の先制点。ただこの二点目こそが日本が目指す形ではないだろうか。つまりサイドから相手を崩す。フランスの攻める形であったジダン経由のサイド攻撃を、ジダンを中村に置き換えて考えれば良いのではないのだろうか。中村にかかる負担は減るし、他の選手でもボールを散らすことは出来る。三都主や加地のサイドバックは世界と比べて、そこまで劣っている気はしなかったし、もう少し積極性を見せるようになったら、素晴らしいサイドバックになるだろう。さらに松井や石川、家長など世界との戦いを経験した素晴らしいドリブラーが日本にはたくさんいる。運が良いことにターゲットとなるべき平山という存在もいる。サイド攻撃こそが日本の目指す道ではないだろうか。オシムがどう考えるか分からないが、個人的にはこの方法が一番世界と戦える道だと思う。

次回W杯は南アフリカ開催。アウェーでの戦い方も大きな鍵になるだろうし、アフリカ勢に対しての戦い方も順位を大きく左右するだろう。ただやっぱり一番問題なのは日本がどのように、どんな気持ちで戦うかである。その基準となってくるのは今後2年間の方向性であり、その後の最終予選にどう繋げるかである。今回の反省を生かして、日本代表には大きく成長して欲しい。

ドイツW杯のベストイレブン

2006年07月11日 10時32分54秒 | Weblog
ドイツW杯はイタリアの優勝で幕を下ろし、不可解ながらMVPには決勝で暴力行為により一発退場になったジダンが選ばれた。全体的に守備の堅さとミドルレンジからのシュートが目立った大会ではあったが、この大会のベストイレブンを選出してみたいと思う。
ますは候補選手を挙げていく。GKはヤシン賞に選ばれたブッフォン、ポルトガルのリカルド、ドイツのレーマン、そしてグループリーグ敗退したものの孤軍奮闘が光ったチェコのツェフ。こんなとこだろうか。
そしてDFはまず優勝したイタリアからカンナバーロとザンブロッタ、そしてフランスからはテュラムとサニョル、ドイツのラーム、アルゼンチンのアジャラ、ポルトガルのミゲル、イングランドのアシュリー・コールとテリー。そしてグループリーグ敗退組からはスイスのセンデロス。
中盤はイタリアからはピルロとガットゥーゾ、フランスからはマケレレ、ヴィエラ、ジダン。ドイツからはフリングスとシュバインシュタイガー。いつもの切れがなかったバラックは候補からは外れる。ポルトガルのマニシェ、アルゼンチンのマスケラーノ、ガーナのアピアー、スペインのシャビ、グループリーグ敗退組からはチェコのネドベドとコートジボワールのバカリ・コネ。
前線はドイツのクローゼとポドルスキー、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド、スペインのフェルナンド・トーレス、オランダのファン・ペルシー。候補は思ったより少ない。優勝したイタリアや準優勝のフランスから一人も選ばれていないのが、この大会を通しての守備の堅さを物語っているのではないだろうか。

さぁ、それでは選考に入ろう。GKはやっぱりブッフォンが飛びぬけている。安定感、さらにコーチング、全ての面でトップレベルである。レーマンやツェフも個人の能力の高さを示したが、ここは優勝したブッフォンに譲るべきだろう。GKはブッフォンとする。
最終ラインは今大会多かった4バックで形成することにする。真ん中はカンナバーロは決まり。もう一人をテュラムにするか、それともアジャラにするか。ただテュラムが決勝まで進んだのに対して、アジャラはベスト8で姿を消した。最後まで奮闘したテュラムを選ぶことにする。つまりセンターバックはユベントスのカンナバーロとテュラムのコンビである。サイドにはザンブロッタは決まり。もう一人をラームか、ミゲルか。どちらも攻撃的なサイドバックとして素晴らしいプレーを見せた。ただ印象という面では大会第一ゴールを奪ったラームが上回る。そのことを考慮してサイドバックには右にザンブロッタ、左にラームとする。
中盤は先に述べておくが、決勝戦にて馬鹿げた行為で退場処分を受けたジダンをベストイレブンに選出するつもりはない。グループリーグでの動きも良くなかった。中盤で特に目に付いた選手はピルロとヴィエラ、そしてマスケラーノ。クリスティアーノ・ロナウドを中盤に加えるなら、彼もここに入ることになる。ちなみにフォーメーションはイタリアとフランスがどちらもワントップだったため、ワントップで行こうと思う。そう考えると、中盤は5人。まず底にマスケラーノを置いて、その前にヴィエラとピルロを立たせる。バルセロナ型である。そしてサイドにクリスティアーノ・ロナウドと誰か。そしてセンターフォワードに誰かを置いて完成となる。
まずワントップは文句なく得点王のクローゼだろう。クローゼがワントップで機能するかは分からないが、FWというポジションはどれだけ得点を奪ったかで評価すべきである。そう考えるとクローゼは外すことができない。ワントップはクローゼで決まり。
問題はクリスティアーノ・ロナウドの逆側のサイドの選手である。候補はファン・ペルシーとフェルナンド・トーレス。ポジション的にはファン・ペルシーが適役だが、インパクトという面ではフェルナンド・トーレス。しかしフェルナンド・トーレスの活躍がほぼグループリーグに限られていたこと、更に相手に恵まれたことを考えると、ファン・ペルシーが優位である。しっかり死の組の強豪相手に自分のプレーを見せたこと、敗れたものの決勝トーナメント一回戦でもポルトガル相手に相手の脅威となり続けた。こう考えると、ファン・ペルシーで決まりだろう。
全ポジションを振り返ってみると、GKにはブッフォン、最終ラインは左からラーム、カンナバーロ、テュラム、ザンブロッタ。中盤は底にマスケラーノ、その前にピルロとヴィエラ。サイドに左にクリスティアーノ・ロナウド、右にファン・ペルシー。そしてワントップにクローゼ。如何だろうか。おそらくファン・ペルシーには納得いかない人も多いのではないだろうか。MVPのジダンを外したことに異議を唱える人もいるかもしれない。その通り、これは独断と偏見によるベストイレブンである。ただ個人的にはこの11人はドイツの地で光り輝いた11人だった。

決勝戦

2006年07月10日 10時54分27秒 | Weblog
決勝戦はつまらなくなるというのが定説だが、この試合もその定説の通りに進んだ。得点はPKとCKからの一点ずつのみ。しかもPKをとられたファールも微妙な判定であり、後味の悪さを残した。ただこの試合、最も盛り上がったのはジダンの退場である。この大会後に現役を引退するジダンにとって、この試合はラストマッチ。そんな試合をジダンは相手DFに対する頭突きで棒に振った。愚の骨頂と言わざるを得ない。8年前は二回のヘッディングで英雄になり、今大会は一回のヘッディングで評価を下げた。ジダンは、こんな形の引退に納得できるのだろうか。伝説を残してきた英雄が、馬鹿げたプレーによって姿を消すのか。
一応試合にも触れておくと、フォーメーションは準決勝と同じ。どちらもワントップで、イタリアはトーニ、フランスはアンリに攻撃を任せた。開始5分、マテラッティのファールで得たPKをジダンが相手ゴールに沈め、1点先制。しかしリプレイを見ると、マテラッティの脚がマルダの脚にかかっているようには見えず、後味の悪さを残す判定となった。しかし前半の内にイタリアは追いつく。ピルロの正確なCKからマテラッティのヘッディング。試合は1‐1となり、このまま均衡状態へ。どちらも守備的に戦うため、攻撃にかける人数が少なく、得点が入る気配はない。試合をコントロールしている時間はイタリアの方が長かったが、相手の最終ラインを崩すまでには至らない。フランスはアンリと、この日一番切れていたマルダの突破以外に攻撃の糸口は見つからない。
こんな試合で鍵になるのは選手交代。どちらのチームも攻撃的な選手をピッチに送り込む。イタリアはデロッシ、イアキンタ、デルピエロを、フランスはディアッラ、ウィルトール、トレセゲに試合を託した。しかし、それでも試合は動かない。やはりここまで6試合戦った疲労からか、選手の脚はもう動かなかった。
そしてPKに突入。フランスは二人目のトレセゲが外したのに対し、イタリアは五人全てがしっかりと決めて、優勝を決めた。決勝がPK戦で決まってしまうのは、フランスにとってかわいそうな気もするが、それがサッカーである。イタリアは1994年にブラジル相手の決勝をPK戦で落としている。あのときのロベルト・バッジョの背中は忘れられない。そしてその悪夢を振り払った今回のイタリアの優勝。カテナチオに代表される強固なディフェンス、そしてピルロを軸とした全員攻撃。選手層も厚さも勝因の一つだろう。フランスは下馬評の低かったこの大会よく戦った。テュラムを中心としたディフェンス。マケレレとビエラのプレス。アンリとジダンの圧倒的な個人技。攻撃は最後までチームとして機能したとは言えなかったが、チーム・ディフェンスは見事だった。
ただこの2チームにとって今後の課題は選手交代である。フランスはジダンが引退、マケレレやテュラム、バルデスも代表引退するだろう。ビエラやウィルトールもその可能性はある。4年後にまだ残っているのはリベリーぐらいだろうか。フランスは変革期に入っていくだろう。そしてイタリアも同じことが言える。4年後に残っているのはジラルディーノとデロッシ、もしかしたらピルロとブッフォンも残っているかもしれない。ただトッティは代表引退を決め、デルピエロやカンナバーロらが4年後に代表に残っているとは思えない。イタリアもこの優勝を期に大きく変わる必要があるだろう。

この大会のMVPは誰だろう。候補はブッフォン、カンナバーロ、ピルロ、ザンブロッタの4人だろう。他のチームから選ばれる可能性は低そうだ。ただMVPより価値あるのが優勝という称号ではないだろうか。おめでとう、イタリア。

三位決定戦

2006年07月09日 10時26分58秒 | Weblog
カードはドイツ対ポルトガル。おそらくモチベーションでは開催国のドイツのほうが高かった。やはり開催国として三位以内に入ることが必要とされていることは否めなかった。それでもドイツはセンターバックにフート、さらに怪我のバラックに代えてケールを起用してきた。対するポルトガルはベスト4で負けた時点で、かなり気落ちしているように考えられた。三位決定戦では怪我のフィーゴを外し、シモンを入れ、出場停止のリカルド・カルバーリョに代えてリカルド・コスタ。さらに準決勝で右脚を痛めたミゲルも出場することは出来ず、パウロ・フェレイラを右サイドバックに起用した。
試合は五分の展開。どちらが勝ってもおかしくない展開だった。そんな試合を決めたのがシュバインシュタイガーだった。ミドルシュートを二発叩き込み、さらにFKから相手のオウンゴールを導き出した。三度ともシュバインシュタイガーをマークしていたのは、ペチート。ペチートにとっては厳しい試合になった。ただ実際、試合を分けたのはGKの差だった。ポルトガルのリカルドはこの大会イングランド戦でPKを止めるなど、活躍が光っていた。それに対してドイツはレーマンではなく、カーンを起用。チーム第二GKではあるが、前回大会のMVPであり、バイエルンの守護神である。この二人の実力を量りにかけると、明らかにカーンに傾くだろう。リカルドはPKこそ強さを見せるものの、世界に名をはせるようなGKではない。それに対してカーンは世界の誰もが知っているようなGKである。この試合カーンはオウンゴールになりそうなクリアや、パウレタの至近距離からのシュート、全てを止めた。それに対してリカルドは先制点となった正面に来たシュバインシュタイガーのシュートに触れることが出来なかった。確かに無回転だったため、揺れたとは思うが、せめてパンチングはしなくてはいけないとこだった。カーンはクリスティアーノ・ロナウドの無回転のFKをしっかりを弾き出した。GKの差が3-1という得点差に表れたといっても過言ではない。それほどこの日のカーンは輝いていた。ただこの大会カーンをドイツの正GKに起用すれば良かったか、という話になるとそれは別問題である。レーマンはカーンに勝るとも劣らないGKだし、昨シーズンの活躍ではレーマンに分があった。準決勝のイタリアの先制点や追加点はカーンでも止められなかっただろう。それぐらいすばらしいシュートだった。
最終的にポルトガルは4位、ドイツは3位となった。ポルトガルにとっては黄金世代ラストの大会。フィーゴも次の大会はいない。チームの核であったパウレタやリカルド・カルバーリョもいない可能性が高い。ただクリスティアーノ・ロナウドという新しいチームの象徴が表れた。今後ポルトガルがチームとしてどのように変わっていくか楽しみである。ドイツは若い選手が多い大会だった。ラームやメルテザッカー、シュバインシュタイガー、ポドルスキなど次の大会までにはスパースターになっていてもおかしくない若手スターが登場した。問題はGKだろう。レーマンもカーンも次の大会はおそらくいない。ヒルデブランドがゴールを守っているのだろうか。一つ言えることは4年後のドイツは優勝候補である。

準決勝 -劇的と凡戦-

2006年07月07日 10時54分01秒 | Weblog
ここまで残ったチームは4チーム。32チーム参加し、残っているのは4チームだけ。そこにはブラジルもアルゼンチンもオランダもイングランドもいない。準決勝のカードはイタリア対ドイツ、そしてポルトガル対フランス。
イタリア対ドイツ。予想ではカテナチオのイタリア対攻めるドイツという構図だった。しかし、試合が始まると、その構図が間違いだったことに気付く。この試合イタリアはワントップで臨んだ。前にトーニを置き、トップ下にトッティ。そして左にペロッタ、右にカモラネージ、底にガットゥーゾとピルロを並べた。一見守備的なフォーメーションに見えるが、攻撃時になると左右の中盤とピルロは前線に駆け上がる。更にサイドバックのグロッソとザンブロッタも時を見て果敢なオーバーラップを見せた。完全に守りに専念しているのはセンターバックの二人とガットゥーゾだけ。対するドイツはフリングスが出場停止の為、代わりにケールを起用。更に疲れが目立つシュバインシュタイガーに代えてボロウスキを中盤の左サイドに置いた。試合をコントロールしたのはイタリア。ドイツはツートップ、特にクローゼが相手センターバックに潰され、なかなか攻撃の形が見えなかった。頼みのバラックもコンディションが良いとは言えず、守勢に回ることが多くなった。イタリアがピルロを中心にボールを回す。前線のトーニも前こそ向かせてもらえなかったものの、体を張ったポストプレーで溜めを作った。しかし、どちらも強固なセンターバックと世界に名をはせるGKが完璧な壁となって立ちはだかる。90分間得点が入ることはなかった。こういう試合で鍵となってくるのは選手交代である。両チームとも攻撃的な選手交代を見せる。ドイツはオドンコール、シュバインシュタイガー、ヌビル。イタリアはジラルディーノ、イアキンタ、デルピエロを投入。攻撃的な選手のみピッチに送り出された。ただより攻撃的だったのはイタリアの選手交代だった。ドイツがそれぞれのポジションで交代したのに比べて、イタリアは中盤にFWを組み込んでいった。最終的にはほぼスリートップ体制になり左からデルピエロ、ジラルディーノ、イアキンタと並べ、その後ろにトッティとピルロ。ボランチはガットゥーゾ一人に任せて、サイドバックもがんがん上がる。そしてその超攻撃的フォーメーションが延長終了二分前に実を結ぶこととなった。CKのこぼれ球をピルロがキープして、前に残っていたグロッソにスルーパス。それをこれ以上ないシュートでレーマンの壁を破った。残り一分となったドイツは捨て身の攻撃を仕掛ける。しかしイタリアは守って、カウンターを試みる。前線でジラルディーノがキープし、デルピエロに決定的なラストパス。これをデルピエロ・ゾーンからしっかりと沈めた。最終スコアは2-0、イタリアが制した。開催国ドイツはここで姿を消すこととなった。イタリアが見せた、攻めようとする姿勢が勝利を呼び込んだ。
ポルトガル対フランス。どちらも予想通りのフォーメーションワントップにその後ろに三枚並べて、ボランチは二枚。いつも通りのフォーメーションである。この試合は先に結果を言ってしまおう。1-0でフランスが勝利。アンリがPKを得て、ジダンが蹴りこんだ。PKで試合が決したことからも分かるように、試合としてはあまり面白くなかった。つまらなかったのはフランスに責任がある。フランスは前半ボールキープから、アンリがPKを得て、一点リードする。そしてその後はその一点を守りに行った。前にいるのはジダンとアンリだけであり、面白みに欠けた。対するポルトガルは前半から攻めようとするものの、どうも空回りしていた。原因は人数差にあった。相手がGK合わせて9人で守っているのに対して、ポルトガルで攻めているのは4人だけ。しかもトップのパウレタに切れがなく、デコ、クリスティアーノ・ロナウド、フィーゴも孤立していた。上がるべき選手だったマニシェはいつもの攻撃的な姿勢を見せず、ポルトガルの攻撃は個人技しかなかった。それでもドリブルで崩せるところがポルトガルの凄いところだが、何しろペナルティー・エリア内の人数が少ない為、ゴールに繋がらない。もう一つポルトガルが痛かったのは、ここまで安定したプレーを見せていたリカルド・カルバーリョにミスが多かったことだ。全体的に雑なプレーが多かった。疲れから来るものだろうか。決勝点となったPKもリカルド・カルバーリョが与えてしまったものである。守備の要が崩壊し、自慢の攻撃陣も抑え込まれたポルトガルに勝つ術は残っていなかった。対するフランスはテュラムを中心とした固いディフェンスと、個人技から得たPKで決勝への出場権を得た。面白い試合ではなかったが、これもW杯である。

この結果、三位決定戦はドイツ対ポルトガル。決勝はイタリア対フランスに決まった。まず三位決定戦から話すと、モチベーションが高いのはドイツだろう。開催国として、最低でも三位には入っておきたいところ。クローゼやポドルスキも得点王争いをしているため、どんどん攻めてくる可能性が高い。フリングスも出場停止が解け、いつもの形に戻る。GKはカーンを起用するかもしれない。対するポルトガルは、モチベーションがかなり落ちてそうだ。負傷しているクリスティアーノ・ロナウドやフィーゴを無理して出場させるだろうか。ただこの試合はどちらも守りきりたいという試合ではない。壮絶な攻め合いとなるだろう。おそらく決勝よりも面白い試合になる。
そして決勝。どちらもがっちり守ってくるだろう。おそらくつまらない試合となる。では、どちらが優位かと考えると、優位なのはイタリアである。鉄壁の守備は言うまでもなく、さらに中盤の底に位置するピルロが利いている。トップ下に位置するであろうトッティを含めて、攻撃の起点が二つあるのは大きい。前線のトーニもポストプレーで貢献している。途中交代の駒もデルピエロやイアキンタ、インザーギと豊富だ。この試合からデロッシも出場できる。イタリア優位は動かない。フランスは守備こそ堅いものの、攻撃の形がない。前線のアンリが機能しているとは言えず、ジダンやリベリーの突破頼みである。フランスが勝つためには先制点を奪うしかない。そして守っての速攻狙い、それしかない。
この試合鍵を握るのはやはり先制点だ。イタリアが先制点を取れば、おそらく決まりだ。イタリアが優勝するだろう。ただフランスが先制点を取ると、試合は面白くなる。何しろイタリアには攻撃の駒がたくさんいる。この先制点に注目して決勝戦を見てみたい。

欧州の、欧州による、欧州のためのW杯

2006年07月04日 21時58分19秒 | Weblog
今回のドイツW杯、ベスト4に残ったチームを見てみると、ドイツ、イタリア、イングランド、ポルトガル。もうそこにはアルゼンチンやブラジルはいない。そう、残っているのは欧州勢だけなのだ。確かに今までも欧州でW杯が開催されるときは欧州が有利、W杯が南米で開催されるときは南米が有利と言われていた。しかし、ここまで顕著に表れるものだろうか。大会前はブラジルが優勝候補筆頭にあげられ、その対抗馬としてアルゼンチンやドイツ、イタリアの名前が挙げられていた。なぜ、こんなにも早く南米は消えてしまい、欧州はしぶとく勝ち進んでいるのだろうか。
南米勢が早くもW杯から消えてしまった理由。両チームとも欧州で活躍する選手が多く、地理的なことは理由に出来ない。個人的に思う、彼らが早々と姿を消してしまった理由は、プレッシャー、そして守りにいった姿勢にあったのではないだろうか。南米の二チーム、アルゼンチンとブラジルは大会前から優勝候補に挙げられ、特にブラジルは優勝間違いなしと言われていた。そして大会が開幕すると今度はアルゼンチンが見事な試合運びを披露し、このまま優勝まで突っ走るのではないかという報道が増えていった。
そして決勝トーナメントに入ると、彼らの戦いぶりは変わった。特にそれぞれが敗れ去ることとなったドイツ戦とフランス戦は、監督の消極的な選手交代やフォーメーションが批判の対象となった。アルゼンチンはドイツ戦で、いつものフォーメーションで臨んだものの、試合途中から守備面を考慮して、クレスポとリケルメという攻撃の軸を引っ込め、カンビアッソとクルスを投入した。そしてブラジルはフランス戦にいつものフォーメーションで臨んだものの、前線のアドリアーノを外し、ジュニーニョ・ベルナンブカーノを代わりに入れた。明らかに前線の怖さは半減、中盤もいつもと違った形になり、機能したとは言えなかった。しかも後半先制された後、アドリアーノを投入してから、ブラジルのリズムは良くなった。しかし、時既に遅し。アルゼンチンとブラジルは自らの消極的な姿勢により、大舞台から姿を消すことになった。
それに対して、欧州勢は良く攻める。ドイツはサイドのラームは繰り返し、オーバーラップを繰り返すし、クリンスマン監督の選手交代も攻撃的だ。準々決勝ではオドンコール、ボロウスキー、ヌビルと攻撃的な選手を次々とピッチに送り込んだ。イタリアはカテナチオに代表されるような守備的なチームに見えるが、ボランチにはピルロやペロッタといった攻撃的な選手を配置し、さらにザンブロッタやグロッソも時を見て、縦の突破を見せる。フランスもイタリアと同じように守備的なチームに見えるが、チャンスになるとビエラ、マケレレといったボランチ陣までもが攻撃参加を見せる。そしてポルトガル。おそらく準決勝に残ったチームで一番攻撃的ではないだろうか。前の四人は攻撃中心に戦い、ボランチの片方と、右サイドのミゲルもひるむことなく、前線に飛び出していく。守備にしても驚くほど攻撃的。警告や退場数が物語るとおり、攻撃的なタックルが多い。反則が多いのは、褒めることではないが、この事実がどれだけチームとして攻撃的にプレーしているか表している。
今年の欧州勢は攻撃的である。しかし、その姿勢を準決勝でも貫くことが出来るか。それが準決勝の鍵になるだろう。守りに入った瞬間、そのチームが敗退する可能性は高まる。そんな点に注目して、準決勝を見てみたいと思う。

準々決勝 二日目

2006年07月03日 11時18分34秒 | Weblog
今日のカードはイングランド対ポルトガル、そしてフランス対ブラジル。どちらのカードにしても決勝でもおかしくないカードである。
イングランド対ポルトガル。ポルトガルはデコとコスティーニャが出場停止。その為、イングランド優位の声が多かった。スコラリ監督は二人の代わりにチアーゴとペチートを起用。あえてシモンやヴィアナでなく、チアーゴを起用したことで、中盤に厚さが出て、中盤でもイングランド相手に五分の戦いをしていた。それに対してイングランドは相変わらず4-5-1で試合に臨んだ。このフォーメーションでは前線のルーニーが潰されるのは前の試合からも明らかであり、この試合でも同様の結果になった。エリクソン監督はクラウチを起用して、ベンチにはウォルコットしかいない状態を恐れ、またも馬鹿げたワントップにしてしまった。しかも後半すぐベッカムが負傷退場。頼みのセットプレーも通用しなくなった。そしてルーニーがレッドカードで退場。イングランドは境地に立たされた。しかし神はまだイングランドを完全に見放したわけではなかった。ポルトガルのエース、パウレタはひどい動きで途中交代。フィーゴも負傷で途中交代。デコもいない為、相手の攻撃を担っていたのはクリスティアーノ・ロナウドだけ。彼を止めるのに悪戦苦闘していたものの、なんとか延長戦も守りきり、PK戦に持ち込んだ。しかし、イングランドはここで力尽きた。チームの中心であるランパードとジェラードのPKは止められ、万事休す。ポルトガルが準決勝進出を決めた。ポルトガルとしては、相手の自滅もあったが、予定通りの試合運び。次戦の出場停止もペチートだけ。デコとコスティーニャが戻ってくるため、大きな問題にはならない。そしてクリスティアーノ・ロナウドも本来の切れを取り戻した。唯一心配なのはエースのパウレタだけ。動きが悪すぎる。次の試合は彼が鍵となるだろう。イングランドは今大会のメンバーは黄金世代と呼ばれていた。しかし、またもや準々決勝敗退。しかし、選手のプレーがそこまで悪かったとは思わない。問題は選手がフィットするフォーメーションを見つけることが出来なかったエリクソン監督にある。4-5-1ではルーニーは機能しない。さらに中盤の中心に位置するジェラードとランパードもどこか狭そうにプレーしていた。そんな状態では勝てるほど、W杯は甘くない。選手選考にも問題があった。果たして17歳のウォルコットを招集したのは正しかったのか。オーウェンの怪我で、残ったFWは3人。しかもそれでウォルコットが出場できないのであれば、実質FWは2人しかいない。その為、エリクソン監督はリスクを避け、ワントップ以外のチョイスはなくなった。ウォルコットでなく、デフォーやビーティー、ベントといった中堅選手を招集していればワントップにこだわることもなかったはずだ。イングランドは確かにイングランド史上ベスト5に入るような強いチームでこのW杯に臨んだ。しかし、夢は夢で終わってしまった。ただ次の大会も今の黄金世代が残っている可能性は十分にある。ベッカムやジェラード、ランパードがこんな活躍だけでW杯を去るのは、あまりにも悲しすぎる。次の大会に夢の続きが見てみたい。
そしてフランス対ブラジル。1998年のW杯決勝ではフランスが3-0でブラジルを破り、その時以来のW杯での対戦となった。しかし、結果を先に言うと1-0でフランスの勝ち。またもジダンにやられた形だ。フランスはこの試合素晴らしかった。最終ラインとボランチを中心とした素早いプレス、守ってからのジダンを中心とした速攻、精度の高いセットプレー。全ての面でブラジルを上回っていた。特筆すべきはジダンの活躍。前線で巧みなテクニックでボールをキープし、味方が前線に上がってくる時間を稼いだ。そしてセットプレー時の精度の高いキック。先制点のアンリのゴールをアシストしたのもジダンの正確なキックだった。この大会を最後に現役から退くことを示唆しているジダンが、ここにきて全盛期のプレーを取り戻した。準決勝でもこの男の活躍が試合を左右することになりそうだ。対するブラジルはいつものブラジルではなかった。そのことを最も表していたのが、フォーメーションである。いつもの4-4-2ではあるが、アドリアーノを下げて、ロナウジーニョの位置を上げ、ジュニーニョ・ベルナンブカーノを中盤に入れた。このフォーメーション変更には二つの理由が考えられる。一つはエメルソンが怪我で出場できず、ジウベルト・シウバでは中盤からの構成力が心許ないため。もう一つが相手フランスのジダンが調子を上げていることを考えて、中盤に守備的な選手を増やした。思うところ、後者がパレイラ監督の心境ではなかったかと察する。しかし、この心持ちが間違いだったのではないだろうか。なぜならブラジルは王者である。いつもの試合をしたら、勝てる可能性が高かった。にも関わらず、ブラジルは相手に合わせた。結果として、ロナウジーニョは相手に囲まれ、負傷明けのカカーにも本来の切れはなく、ブラジルは攻撃の形を作ることが出来なかった。さらに後半途中一点リードしてから、ブラジルはアドリアーノを投入して、いつものフォーメーションに戻した。そしてブラジルはいつもの攻撃を取り戻し、流れは完全にブラジルに傾いた。結果論ではあるが、やはりブラジルはいつものメンバーで試合を臨むべきだった。アドリアーノが前線にいたほうが、ボールは収まるし、ロナウジーニョやカカーのマークは甘くなる。さらに相手ボランチが攻撃参加する回数も少なくなるだろう。王者であるはずのブラジルが王者らしさをなくした瞬間、ブラジルは敗れた。優勝候補筆頭に上げられながら、最後まで横綱相撲をし続けることはできなかった。その精神的な弱さがブラジルをW杯連覇の夢から遠ざけてしまった。

さぁ、この結果によって準決勝のカードはポルトガル対フランスに決まった。両チームとも勢いに乗っている。ただブラジルに勝ったフランスは間違いなく自信をつけた。しかもアンリが得点を決め、ジダンが攻撃のタクトを振るうというフランスの形を取り戻した。優位なのはフランスである。ポルトガルとしては、まずジダンを止めることが大切だ。おそらく準決勝ではジダンにコスティーニャをマンマークで付けるのではないだろうか。そうすることで、なるべくジダンの存在を消そうとするのではないだろうか。さらにポルトガルにはデコが戻ってくる。一試合休んだため、休養も十分だ。そしてウイングのクリスティアーノ・ロナウドとフィーゴも本来の切れを取り戻している。そう考えると、やっぱり五分の戦いが見られそうだ。心配なのがフランスの体力面。ベテランが多く、しかもブラジル相手に全力で戦い抜いた。それでも五分五分と考えるのが妥当だろう。どちらが勝ってもおかしくない。当然この試合もジダンのラストダンスとなる可能性は大いにある。ポルトガルのデコが代わりにキングに君臨する可能性もある。目を離せない好ゲームが期待できそうだ。

そして最後にドイツ対イタリアについて少し付け足すが、フリングスが準々決勝の試合のあとの乱闘騒ぎによって、出場停止処分を課される可能性が高くなった。そうなるとドイツは明らかに不利である。フリングスはドイツの守備の中心だった。しかもバラックも満身創痍で試合に臨むことになる。イタリアにとってはこれほどの追い風はない。開催国にとってこの試合は大きな山場になりそうだ。

準々決勝 一日目

2006年07月01日 20時54分31秒 | Weblog

今日のカードはアルゼンチン対ドイツ、そしてイタリア対ウクライナ。注目は優勝候補同士の対戦となったアルゼンチンとドイツの対決。
開催国ドイツとしては準々決勝で姿を消すわけには行かず、この対戦が大きな山だった。それに対して、総合力で上回るアルゼンチンが怖いのは、ドイツの勢いと地元のサポーターである。この試合、両チームとも守備的に戦い、結果は1-1となり、PK戦でドイツが勝利した。鍵となったのは選手交代にあった。まずドイツは一点先行されてこともあり、攻撃的な選手を送り込んだ。シュナイダーに代えて俊足のオドンコール。さらにシュバインシュタイガーに代えて、ゲームメーカーであるボロウスキ。そして追いついた後も、得点者のクローゼに代えて、ベテランFWのヌビル。クリンスマン監督は見事なまでに攻撃的な選手だけを交代投入していった。それに対してアルゼンチンのペケルマン監督は一点のリードを守りに行った。まず負傷したアボンダンシエリに代えて、第二GKのフランコ。これはアクシデント的な交代だった。そしてチームの攻撃の核であるリケルメに代えて、ボランチのカンビアッソ。そしてクレスポに代えて、セットプレーでの守備も考えて長身のクルス。完全に一点を守りに行った。そしてその作戦は外れた。何しろクローゼに同点弾を叩き込まれてしまったのだ。しかし1-1になっても、アルゼンチンに攻撃の駒は残っていなかった。残っていたのはツートップのクルスとテベス。そして右サイドのマキシ・ロドリゲスのみ。ボランチのカンビアッソとマスケラーノはバランサーと潰し役。決して攻撃に秀でた選手ではない。そしてもう一人のルイス・ゴンザレスはスタミナ切れで、本来の切れはない。つまり、前の三枚のみで攻撃を任されたわけである。そして攻撃は基本的に最終ラインからクルスの頭目掛けて、ボールを蹴っていくというシンプルなものだけとなった。ドイツの最終ラインは高さがあるため、クルスの高さもさほど通用しなかった。可能性を感じさせたのはテベスの個人突破だけだったが、テベスにしてももう脚は動いていなかった。もしペケルマンがあそこでリケルメを代えていなかったら。メッシを投入していたら。そう思わずには、いられなかった。カンビアッソを中盤を落ち着かせる為に投入するのは分かる。ただなぜ攻撃を司るリケルメと交代だったのか。スタミナ切れのルイス・ゴンザレスでも良かったはずだ。そしてクルスの投入も攻撃的な意味があったとは考えにくい。高さに特長のあるドイツの最終ラインが最も嫌がるタイプは、すばしっこいメッシだったはずだ。しかしペケルマンはクルスを投入した。彼の投入はセットプレー時の高さの為に他ならない。なぜペケルマンは守りに行ってしまったのか。攻め続けていれば、違う結果になったはずだ。少なくてもペケルマンは同点になった場合を考えておくべきだった。同点になった場合、攻撃の駒が三枚しかいないことを考えていたのだろうか。しかもPK戦になったら明らかにドイツが優位だ。レーマンとフランコではGKとしてのレベルが違う。レーマンは今年のチャンピオンズ・リーグ決勝にも出場した選手なのだ。しかもドイツにとってはホーム。これほどの追い風はない。つまりアルゼンチンはPK戦になる前に、試合を決めなければいけなかった。ペケルマンはここまで考えていたのだろうか。そうとは思えない。アルゼンチンは今大会屈指の選手層の厚さを誇っていた。しかし、最後の最後にその選手層を生かすことなく、W杯を去ることになってしまった。その責任はペケルマンにある。考えが甘かったと言わざるを得ない。今回のアルゼンチンはペケルマンがワールド・ユースを制したときのメンバーが多く、ペケルマンを父のように慕う選手が多かったと聞く。しかし最後はそのペケルマンの采配に泣いた。決してペケルマンの監督としての能力を疑っている訳ではない。ただこの試合、彼は試合を読み損ねた。そしてその結果アルゼンチンはW杯を去ることとなった。ペケルマンは代表監督を辞任するらしい。またいつしかこの敗戦を糧に勝てる監督となったペケルマンが率いるアルゼンチンを見てみたい。そしておそらくそのチームの中心はメッシが担っていることだろう。
アルゼンチン対ドイツについては長々書いたが、はっきり言ってイタリア対ウクライナに関してそんなに書くことはない。結果は3-0でイタリアの勝利だったわけだが、両チームの力を考えると妥当な結果だろう。唯一心配されていたネスタの穴もバルザーリが埋めた。イタリアとしては準決勝に向けて、いい試運転となった。試合終盤にはキープレーヤーを休ませることも出来た。万全な体制で準決勝に臨むことができる。ウクライナはベスト8になっただけでも十分奇跡である。コートジボワールやガーナ、チェコ、オランダは間違いなくウクライナより強かった。それでもベスト8になったのはウクライナ。強運というか、シェフチェンコの執念というか。

この結果によって準決勝はドイツ対イタリアの対戦が決まった。一番気になるのはバラックの体調である。準々決勝で脚を痛め、プレーするのも厳しい状態になった。ただバラックが戻ってこない限り、ドイツの勝利はない。準決勝優位なのはイタリアだ。準々決勝は比較的楽な試合をこなし、スタミナ面、体調も心配ない。ネスタも戻ってくるだろう。ここに来て、またイタリアは完璧な面子が揃った。穴は見つからない。ドイツは厳しい試合を強いられそうだ。満身創痍とは正しく今のドイツのこと。バラックの怪我、そして120分を戦い抜いた疲労。いくら地元の声援があるとはいえ、ドイツは厳しい。確かに勢いだけを考えるとドイツに分があるかもしれないが、やはりイタリアが勝つ気がしてならない。ドイツのW杯がここで幕を閉じる可能性は高い。